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第4回JBAコーチカンファレンス 開催報告

2019年1月7日

東野技術委員長からは情熱のこもった内容が語られた

北海道や九州からも多くのコーチが参加

 12月22日(土)・23日(日)の2日間にわたり、日本大学文理学部 百周年記念館にて、2年ぶり4回目となるJBAコーチカンファレンスを開催、2日間で延べ500名近くの方に参加いただきました。

 今回は、昨今のスポーツ界、バスケットボール界の問題を鑑み、「アジア・世界および日本代表チームに関する情報を共有し、日本バスケットボールの競技力向上、普及・発展およびそれらに寄与するコーチの資質向上を目指す」という従来通りの内容に、「スポーツの高潔性を脅かす行為について認識を深め、スポーツの高潔性を守り、かつ、価値を高めるための考え方や方策について学ぶ」を開催趣旨に加え、計4コマのセッションを実施しました。

 
【第1部】12月22日(土)
「“Japan‘s way(日本のバスケットボールが追求していくこと)”について」をテーマに、東野智弥技術委員長は、技術委員会の構成と役割、強化・育成・普及の各方面で実行してきたプロジェクトの狙いや成果と課題を語りました。技術委員会には、全9部門から構成される専門部会が存在し、強化、スポーツパフォーマンス、指導者養成など、各領域の専門家が結集された中で、『英知を結集させ、教訓を積み重ねる“Action&Legacy”』をキーワードに、国際大会で顕在化された代表チームの課題に対して、議論をし、普及や育成、次世代の強化へ繋げていく活動について説明がありました。また、男女日本代表には、選手・スタッフが自ら考えた“JAPAN PRIDE”が存在し、具体的な行動指針としてそれらを体現することに誇りを持って代表活動に励んでいることが紹介されました。

【第2部】12月22日(土)
 昨今のスポーツ界での諸問題を踏まえて実施された「スポーツ・インテグリティについて考える」のセッションでは、JBA指導者養成部会より永田直也氏が登壇。知識を伝達する方式ではなく、自分の考えを深め、他の人の考え方を知ることによる気付きや発見を得ることを目的に、積極的に意見を交わしあうグループワークを中心とした構成で行われました。スポーツ基本法が定めるスポーツの価値などを説明した上で、「あなたが考えるバスケットボールの持つ魅力、素晴らしさとは?」、「どのような行動・行為がバスケットボールのインテグリティを脅かすか?」等々のテーマでのグループワークを実施。また、実際に指導現場で見受けられがちな事例を映像で示し、その内容について議論する機会を設けました。各グループ内での積極的な意見交換は勿論ながら、全体への積極的な発表もありました。

【第3部】12月23日(日)
「女子選手の育成、アジア・世界の状況について~U17 女子ワールドカップ・U18 女子アジア選手権より~」をテーマに、萩原美樹子氏は、女子アンダーカテゴリーが世界に挑む上での強みと共に、各世代で共通する課題、これまでの取り組み、諸外国の特徴について報告しました。プレー中の局面別に抽出された各課題については、動画を交えて解説すると共に、代表合宿の中での練習ドリルを紹介。今後、世界の舞台でさらに勝ち星を積み上げていく上で日本代表が目指すバスケットスタイルや、理想とされる選手像、「日常」となる国内で重点的に鍛える必要性のある項目について、諸外国の特徴や取り組みを踏まえ、提言がなされました。

【第4部】12月23日(日)
「2016年からの男子日本代表の取り組みから、今後の選手育成を考える」について、男子日本代表のサポートスタッフを務める鈴木良和氏から、育成世代のコーチが考えを深めるべき項目について、示唆に富む内容が投げ掛けられました。その内容は、トランジションディフェンスの考え方、年代に応じた戦術的な負荷、身体接触の負荷など多岐に渡り、最後には、フリオ・ラマス氏から育成世代のコーチに向けたメッセージも紹介されました。
鈴木良和氏は、世界基準を知るルカ・パビチェビッチ氏、フリオ・ラマス氏のもとでサポートスタッフを務めており、その経験を生かした話は具体性があり、指導の一貫性について改めて認識が深められる内容でした。

 バスケットボールの技術や戦術は勿論、スポーツを取り巻く環境が大きく変わっています。過去の経験則や、従来の考え方にとらわれず、環境の変化に適応し、選手に的確な指導をしていくためには、学び続けることが必要不可欠です。当協会の理念「バスケで日本を元気に」の実現に向けて、指導者自身が学び続けることができる環境を今後も構築していきます。