ニュース

FIBA女子アジアカップ2025[準決勝]日本 90-81 中国「本当に勝つことしか考えていなかった」田中こころ選手

2025年7月20日

勝利に向かって勢いづけた19歳・田中こころ選手

渡嘉敷来夢選手は2枚の2mを相手に腰を落としてグッドディフェンス

 「FIBA女子アジアカップ2025」は開催国・中国との準決勝。コーリー・ゲインズヘッドコーチは「中国で、中国と決勝進出を懸けた試合は楽しみでしかない」と話していた言葉が選手たちにも伝播し、全員が良い表情でコートに入って来ました。

 中国遠征メンバーはすでに脅威の高さを体感していますが、#8 髙田真希選手(デンソー アイリス)や#10 渡嘉敷来夢選手(アイシン ウィングス)らにとって、はじめて見る18歳の#19 ZIYU ZHANG選手のウォームアップを苦笑いしながら目で追います。登録は220cmですが、226cmとも228cmとも言われており、205cmの#15 Xu Han選手が小さく感じるほどです。予選グループフェーズ3戦でのシュート成功率は81%、韓国戦では8本すべてを成功させ、ゴール下は敵なしです。

 試合が始まるや否や、日本の19歳も黙っていませんでした。3ポイントシュートで先制し、積極的にゴールを狙うことでゲームメイクする田中こころ選手(ENEOSサンフラワーズ)らしさを存分に発揮。第1クォーターから5本の3ポイントシュートを決め、早くも21点をマーク。中国の大歓声を静まり返すだけではなく、ため息をつかせました。「本当に勝つことしか考えていなかったですし、その気持ちが出て前半は良い形で終わることができました」と田中選手がゲームを支配します。しかし、経験ある選手が多い中国は要所で日本の勢いを止め、ZHANG選手にペイントエリアを支配され、49-51と3点を追いかけて前半を終えます。

 ゲインズヘッドコーチが講じた高さ対策は「決められても仕方ない。すぐに切り替えてトランジションを出すこと」と、日本の土俵で戦う指示を出します。人数をかけて守るのは当然ですが、ファーストコンタクトとして193cmの渡嘉敷選手に「もう1on1で守るしかない。お前に任せた」とゲインズヘッドコーチは託します。腰を落としてペイントエリア内に入られないように、ボールを受けさせないようにスキルと気持ちで対抗。これまで8割を超えていたシュート率を50%まで抑えました。ゲインズヘッドコーチは「渡嘉敷選手のおかげで、あの大きな中国を守り切ることができました」と感謝します。ディフェンスを成功させたことでペースが上がり、47.1%の高確率で3ポイントシュートを決めた日本が90-81で中国を振り切り、7大会連続決勝進出を決めました。

 3ポイントシュートを4本成功させ、27点の田中選手に次ぐ18点で勝利に貢献した#52 宮澤夕貴選手(富士通 レッドウェーブ)。積極的にゴールを狙っただけではなく、9本のリバウンドがチームを救いました。

「ディフェンスではフィジカルにガマンしながら戦えていたことで、リバウンドを一人に任せることなくみんなで飛び込んでファイトできていました。相手にシュートを決められても、自分たちのペースで走りながら戦い続けられたことが良かったです。試合を重ねる毎に良いチームになっています」(宮澤選手)

 試合後、髙田真希選手(デンソー アイリス)は「本当に素晴らしい勝利でした。身長差がある相手にも屈せず、しっかりと身体をぶつけながらセンター陣だけではなく、まわりの選手たちもフォローしてくれたことで、そこから良いオフェンスの展開へ持って行くことができました」とディフェンスを勝因に挙げます。ゲインズヘッドコーチも、「誰もが大きな中国を相手に接触を恐れず、フィジカルに戦ってくれた12人全員のおかげで勝利できました。相手の19番がコートに立っているときは、速攻を出しやすくなる利点もあります。そこでやられてもすぐに切り替えて、オープンシュートを作れたことが良かったです。もちろん高さを生かした中国のオフェンスは脅威ですが、日本のオフェンスにもメリットは大きいです」とあらためて12人全員でペースとスペースを保って戦う日本のスタイルに手応えを感じていました。

 決勝の相手はオーストラリア。予選グループフェーズは67−79で敗れましたが、「このままでアジアカップは終われないという自分のプライドがありました。コーリーヘッドコーチからオーストラリア戦の前に、『お前らしいプレーをしろ』と言われたことで気持ちを切り替えることができました」と田中選手のスイッチを入れた相手に対し、リベンジを目指します。

 中国戦に勝利した歓びも束の間、ゲインズヘッドコーチは「まだまだ大会は終わっていない」と手綱を締めます。「オーストラリアはグレートチームであり、予選グループフェーズで敗れた強い相手です。決勝へ向けてもう一度気持ちを切り替えて臨むことが大事になります。私自身も含めてミスから学び、みんなで修正して最後の戦いへ向かいます」とふたたび準備をはじめました。髙田キャプテンも、「この試合には勝ちましたが、まだ優勝はしていません。次も良いゲームをして、最後は笑顔で終われるようにがんばります」と目標としてきたあと1勝をつかみ取りにいきます。オーストラリア戦は本日7月20日(日)20:30よりティップオフ。

■FIBAアジアカップ2025
日程:2025年7月13日〜20日
開催地:中国・深圳(深圳スポーツセンター)
出場国(予選グループフェーズ)
【グループA】中国(4)、ニュージーランド(26)、韓国(14)、インドネシア(57)
【グループB】日本(9)、オーストラリア(2)、フィリピン(44)、レバノン(54)
※()内数字はFIBAランキング(2025年7月7日時点)
試合日程(日本時間)
 日本 72-68 レバノン
 日本 85-82 フィリピン
 日本 67-79 オーストラリア
 日本 77-62 ニュージーランド
 準決勝:日本 90-81 中国
 7月20日(日) 20:30 決勝:日本 vs オーストリア
放送・配信
BSフジ・フジテレビ
CSフジテレビNEXT・TWO
FOD
DAZN