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平成23年度 U-18男子トップエンデバー開催報告 【第3日目】

2012年3月22日

 合宿の最終日はスクリメージを中心に行われた。教わったことをすべて出し切るにはあまりに短すぎる期間だったが、それでも意識のなかにそれらを置いてプレイすることがこの日のスクリメージでは求められる。果たしてゲームは激しく争う展開になり、ところどころで2日間の成果とも呼べるプレイが出ていた。

 佐々木三男ECSは合宿に一定の手応えを感じるとともに、今回のトップエンデバーが基礎中心になったことについてこう述べている。
「女子は成功しているのですが、男子はやはり長身者の育成が直近の課題です。185センチ以下の背の小さい選手たちは技術的に大きな問題はないと思います。しかし背の大きい選手たちはまだまだ基礎技術が足りません。それはこれまで指導がされていないこともあったものですから、今回は基礎的な練習になりました。つまりは長身者を育てたいという意図があったわけです」

 その一方で佐々木ECSはこうも言っている。
「ただ、だからといって185センチ以下の選手がすべてにおいて問題なかったかといえばそうではありません。これは背の大きい選手にも共通していることですが、まだまだ状況判断ができていません。バスケットでは身長に関係なく、全員が同じプレイに対して、同じ判断ができないといけません。しかしそれができていない。でもそれは全員が正しい判断をする材料を持っていないのかもしれない。そういう意味では、我々がそういった判断のための材料を根気よく打ち出して、繰り返しの練習をしていく必要があるのかなと感じました」

 2泊3日という短い期間ではあるが、そのなかでいかに高いレベルでの状況判断力を磨いていくか。全国有数の選手たちが集まって鎬を削る場があれば、そこで多くのことを学ぶことができる。選手たちもそのあたりは強く実感しているようだ。徳島・徳島市立高校2年の生原秀将選手が「みんなのレベルが高くて、自分の通用する部分、通用しない部分がありました。今回のトップエンデバーはそういった基準がわかったので、非常によかったと思います」と言えば、昨年高校3冠を達成した宮崎・延岡学園高校から選ばれた2年生の山田将吾選手は「自分はハッキリ言ってダメじゃないかなと思っていたのですが、みんなが頑張っているところを見て、自分も頑張らないといけないと刺激を受けました。個人的には自分の得意なパワープレイを出すこともできたけど、うまくできないプレイもあったので、チームに帰ってからもそういうところを練習していきたいと思います」と言っている。同年代で刺激を与え合うことが彼らの上達には必要であり、トップエンデバーは技術向上の場というだけではなく、参加する選手たちの向上心をも揺さぶる場でもあるわけだ。

 そして男子最終日の3月11日は、昨年「東日本大震災」が発生した日でもある。練習前に全員で哀悼の意を表し、犠牲者の方々に黙とうを捧げた。宮城県で被災した明成高校2年の目黒翔馬選手は「昨年あの地震があって練習ができない期間、バスケットができない期間があったので、今、こうしてバスケットができることに本当に感謝しています。もちろん、いまだに地震の影響でバスケットができていない人もいると思うので、そういう人たちのためにも感謝の気持ちを持って頑張りたいと思っています」と言っている。

 バスケットができることに感謝して――「平成23年度U-18男子トップエンデバー」は幕を閉じた。