分析を始めるにあたって、5人制とは異なる 3x3のルールを理解しなければならない。3x3 は5人制と同じバスケットボールではあるが、コートの大きさやボールの規格以外にも、スキルや戦術に影響を及ぼす 5人制とは異なるルールがある。それらを理解し、活用することが勝つためのアドバンテージになり得るからである。表の6つが戦術的に影響が大きく、3x3を考えるうえで重要なルールである。
タイムマネジメントの方法が異なり、得点の価値も違うので、アーク内外での攻め方と守り方のコンセプトは大きく変わってくる。5人制の24秒ショットクロックルールに比べて12秒は非常に短く、しかも一旦ボールをアークの外に出す時間が必要なため、チームオフェンスを組み立てることが非常に難しい。そして個人ファウルの概念がなく、ファウルアウト(退場) がないことはディフェンスを有利にする。実際に試合を見た方は、これらのルールを理解すると、なぜあれだけフィジカルなゲームになっているかを理解することができるだろう。また 3x3の一番の魅力は、試合にコーチやスタッフが介入できないことかもしれない。
コート上ではプレーヤー同士の声 (コミュニケーション) が飛び交い、コート外からもプレーヤーのショットクロックをカウントする声が響きわたるのを思い出す方も多いだろう。コート上でプレーする者だけでなく、コート外に控えるプレーヤーも、文字どおり「4人目」の役割を果たし続け、勝利に貢献しなければならない。3x3は、スキル、フィジカル、スタミナ、賢さ、コミュニケーション、リーダーシップ、タフネスのすべてを武器にして総合的に戦う新しいバスケットボールである。参考資料として、3x3 コート (右)と5 人制バスケットボールとの主なルールの違いを一覧 にして示しておきたい。レポートを読む方の理解の一助になれば幸いである。
3x3バスケットボールの独特なルール
①試合時間/ノックアウト |
---|
試合時間に関係なく、21点取ったら試合終了 →常にタイムマネジメントが必要な5人制とは、勝ち方やリードの守り方がまったく異なる。 |
②得点ルール |
アークの内側が1ポイント/アークの外側が2ポイント →アークの外の得点が倍なので、得点効率上2ポイントシュートの価値がより大きくなる。 |
③ショットクロック |
12秒で攻撃しなければならない →オフェンスをセットする時間が短い。 |
④攻守交代(オフェンスはアークの外へボールを運ぶ) |
バスケットと逆方向へ向かわないといけない →攻める方向、守る方向がポゼッションのなかで変化する。 |
⑤ ファウル |
個人ファウル/チームファウルは6回まで →ファウルアウトがないので、常にフィジカルなゲームになる。 (※チームファウル7回目から2FT、10回目から2FT+ボールポゼッションのペナルティーあり) |
⑥ コーチやマネージャーが声かけできない |
プレーヤー自身でゲームコーチングを行わなければならない →試合に勝つための戦術的アジャストや、交代、タイムアウトもプレーヤーが行う。 |
ルールの違い一覧
5人制 | 3人制 | |
---|---|---|
ボール | 男子7号/女子6号 | 大きさ6号・重さ7号の統一球 |
チーム人数 | 12人 | 4人 |
タイムアウト | 前半2回、後半3回 | 1回(30秒) |
ゲーム開始 | ジャンプボール | コインフリップ |
試合時間と勝敗 | 10分✕4回 | 10分(21点先取でKO勝利) |
延長 | 5分のオーバータイム | 2点先取で勝利 |
得点 | FT1点/2点/3点 | FT1点/1点/2点 |
ショットクロック | 24秒 | 12秒 |
個人ファウル | 5回で退場 | ファウルアウトなし(アンスポ2回で退場) |
チームファウル罰則 | 各ピリオド5回目から2FT | 7回目から2FT、10回目から2FT+POSS |
シュート成功後のスタート | エンドラインから | アーク外側(2点ラインの外側)に一度運ぶ |
リバウンド スティール | ー | アーク外側(2点ラインの外側)に一度運ぶ |
ボールデッド | 出た場所からスローイン | チェックボール |
ヘルドボール | 交互にポゼッションを獲得 | ディフェンスボール |
交代 | テーブルオフィシャルに申告 | 申告なしで交代 |