スカウティング

スカウティングの考え方

日本のスカウティングは「自分たちの軸」を持ってこそ意味があると考え、注力するスクリプト10ヶ条をいかに遂行できるかを重要視していた。つまり、「相手をどう攻略するか」よりも、「自分たちがどう戦いたいか」を起点に考える。

① 目的の明確化:何のためにスカウティングをするか?

  • 相手チームの戦術・特徴を把握して対策を立てる(=勝利の可能性を最大化)
  • チームのスタイルと照らし合わせ、優位性・脆弱性を分析する
  • プレースピード、フィジカル、スキル、メンタルなど多角的に評価する

②5つの局面で分析を行う

  1. フィニッシュ:シュートの脅威性を分析
  2. ブレイク:ヘルプシチュエーションのスペーシングや動きを分析
  3. チャンス:オープン、クローズアウト、ミスマッチのどのチャンスを多く生み出し、得点につながっているか分析
  4. クリエイト:チャンスを作り出すアクションの分析
  5. キャスティング:トランジションやエントリーの分析

③ディフェンスの視点におけるスカウティング:SWOT分析の活用法

ディフェンスの視点におけるスカウティング:SWOT分析の活用

分析軸 観点 ポイント例
S(自チームの強み) どんな守備なら優位に立てるか ・スピードあるローテーション
・5人全員がスプリントバックできる
・プレッシャーDF(1線〜3線)
・タグアップ→クラッシュでリバウンドが取れる
W(自チームの弱み) どこで失点リスクが高いか ・サイズ/高さ不足
・ファウルトラブル傾向
・スイッチミスマッチ後のケア不足
O(相手の弱み) 相手のオフェンスで機能していない部分はどこか ・ボール運びに不安(PG頼み)
・アウトサイドの精度が不安定
・ハーフコートでクリエイティブな選手が少ない
T(相手の強み) 何を止めなければ勝てないか ・ピック&ロールの精度
・インサイド起点の得点力
・オフェンスリバウンドへの執着

【SWOTの掛け合わせ】でディフェンス戦術を立てる

自分のS × 相手のO(=“守れて流れを掴む”)

  • 例:日本のプレッシャーディフェンス × 相手のPG依存
    → フルコートで揺さぶり、ミスを誘発 → トランジション得点につなげる
  • 例:日本のスプリントバック × 相手の得点源が遅攻タイプ
    → 速い戻りでハーフコートで守る状況を作る

自分のW × 相手のT(=“失点リスクを管理する”)

  • 例:日本のサイズ不足 × 相手が高さで押すチーム
    →ヘルプ&ローテーションの早さで高さを潰す/ダブルチーム
  • 例:日本のファウル率の高さ × 相手がフィジカルに突くチーム
    → ギャップヘルプなどで相手がスピードに乗る前に対応する

自分のS × 相手のT(=“真っ向勝負に勝てるか”)

  • 例:日本のプレッシャーディフェンス × 相手のピック&ロールの精度
    →ピック&ロールを使われる前が勝負/2線・3線のローテーションの徹底る

自分のW × 相手のO(=“苦手を突かせない工夫”)

  • 例:日本のスイッチ後のポスト対応が弱い × 相手のミスマッチ活用が雑
    → 敢えてスイッチさせて時間を使わせる(“あえて苦手を突かせる”選択)、トラップを行い、パスのターンオーバーを誘発させる