「やらされるバスケじゃない、やりたいからやるバスケ。だから新しいバスケが見えてくる」
「勝利に向かって自分で考え、自分で行動するのが3x3。試合中、戦術も選手交代もコーチではなく選手だけで考えて打開していく責任が伴います。だから、強豪チームや海外のチームに勝つと最高に楽しいです」と落合選手は3x3ならではのルールを説明し、それが魅力だと熱を込める。
落合選手と言えば、2012年に開幕した3x3世界最高峰ツアー大会へ参戦し、3x3日本代表活動では当初より日の丸という責任を背負って世界を転戦し続けてきた。若手選手や新たに3x3に参戦する選手に対しても、コート内外に限らず率先して自らの経験やアドバイスなどを伝える中でチームビルディングに貢献してきた。
落合選手は世界を舞台に背負った責任を果たしていく中で、「バスケスキルの幅はもちろん、人間としての幅も広くなり大きく成長しました」と振り返る。また、3x3がまだなかった大学時代の自分自身に、今何を伝えるかと問うと、「もっとバスケを頑張りなさい。この先には良い世界が待ってますよ、と言ってあげたいです」と3x3の存在意義に思いを巡らせながら若き日の自身に対して苦笑いを浮かべた。
3x3は世界へ挑戦する距離が近く、その舞台で自主的に活動していくことで得られる人間的な成長に言及しながら、「3x3はやって損しない、見て損しない、心の底からおすすめします!」と多くのバスケ関係者と若い選手に向けて、今度は力強いメッセージを残してくれた。
「常にチームビルディング、その成長プロセスも3x3の魅力」
「3x3では試合に向けた準備でも、試合中でもメンバーみんなが常に創意工夫し、トライ&エラーを繰り返しながらチームの課題が解決されていく。そのようにして選手間やコーチとの間で結束力や信頼関係が高まっていく。常にチームビルディングが行われていく、その成長プロセスも3x3の魅力です」と中祖コーチは、3x3におけるチームづくりについて説明する。
映像13_チームビルディング_起きたエラーはすぐに改善
映像14_チームビルディング_セルビアvsフランスの改善
「選手の自己有能感が高い」
「3x3では4名のメンバー全員が出場し、試合中はコーチがいないので他人事にできません。勝ちも負けもその責任は全て選手自身にあります。3x3の選手は高い自己有能感を持ってプレーしており、そこが凄いです!だから、3x3では勝った時や負けた時のそれぞれの感情に揺さぶられ、もう一回!もう一回やろう!ってなる中毒性があるんです」と中祖コーチは各個人の責任を果たしながらチームとして揺るがぬ“一体感”で勝利に向かっていく選手たちの姿を思い浮かべていた。
映像15_成長スポーツ_勝っても若手のイージーミスを叱るミエジス
映像16_選手の自己有能感_アメリカの予選突破_#6バリーの勝利後の姿
「バスケが上手い選手だけが集まってもダメ。人間関係を作る選手が必要。3x3で選手たちが過ごす同じ時間、これは“コーチの指示ではない”」
チームビルディングにおいて、少人数で活動する3x3の特徴は、オンコートはもちろんオフコートの時にも影響を与える。「パリ2024オリンピックを目指したメンバーは、オフコートでもよくコミュニケーションを取っていて驚きました。ちょっとした移動中でも、次の試合の戦い方などバスケの話が聞こえてくるほどでした。だから、どんどんバスケIQが高くなっていきます」と長谷川コーチは選手たちの当時の行動を振り返る。
「3x3は少人数で行動するので、食事の時でも全員で会話が交わされます。そうすることで選手間で知らなかった情報が共有され、成功も失敗も貴重な経験としてチームに蓄積されていきます。同じ時間を過ごしてコミュケーションを図るのは、“コーチの指示ではない”です」と加えて振り返る。だから、「3x3のチームビルディングでは、バスケが上手い選手だけが集まってもダメで、人間関係を作る選手が必要です」と指摘する。「もし自分がアンダーカテゴリー世代に3x3に出会っていたら、海外のもっと強い相手を“自分の考え”で倒せたかもしれないですね。3x3は10歳くらいの年代からはじめた方が良いです。自分も現役時代に3x3をしておきたかったです」と語る。
今後の3x3日本代表強化に必要なものにも言及を加える。「パリ2024オリンピックを目指したメンバーには、東京2020オリンピックメンバーからも貴重な情報や経験が受け継がれていました。その東京2020オリンピックメンバーには、それまで日本の3x3をリードしてきた選手たちから多くのものが受け継がれてきています。そうやって歴代の日本代表やそれに関わる方から様々な情報や経験、そして精神も受け継ぎながら、今の日本代表があります。特に3x3は歴史の浅い種目なので、成功も失敗も貴重な財産として次の日本代表へ受け継いで力にしていってほしいです」。現役選手時代に日の丸を背負って戦ってきた実績がある長谷川コーチだからこそ、この言葉には重みを感じる。