「男子オランダ代表のディフェンスを見ても明らかなのですが、3x3のスクリーンディフェンスは5人制とは違った進化を遂げていると思います。それは本当にすごいですが、オフェンス側のスクリーンスキルも5人制では見られない独特な進化をしています。特に、強豪国のラトビアやセルビアのオフェンスは本当に見応えがあり、このオランダのディフェンスに対しても当たり前のようにカウンターが出てきます」
「ピールスイッチしたディフェンダーにとって最も怖いのはダイブからのイージーレイアップなので、ディフェンスもダイブするオフェンスを追いかけて守ります。それを逆手にとって、ビジョンから消えてポップするスキルも3x3の選手は持っています。その逆に、ポップフェイクからのダイブもあります」
映像29_PNR OFF_ピールスイッチカウンター
「ギリギリまで判断をしないということは、スイッチの瞬間にもスクリーナー側にジャム(タッチ)しているディフェンスがいることになります。それを逆手に取り、相手がスイッチと判断した瞬間にスクリーナー(マイマン)にスクリーン(方向転換)し、スイッチを遅らせるスキルを持っています」
「ダウンスクリーンでも、フレアスクリーンでも、相手がスクリーンをスイッチするのかしないのかがギリギリまで分からないため、スクリーナーも”誰に”スクリーンをかけるか曖昧なままスクリーンに行く傾向があります。もちろん、スカウティングよってどういうディフェンスをする傾向にあるかの情報は持っているとは思いますが、結局どのディフェンスをするかは相手の判断でもあり、ユーザーディフェンスか、マイマンか、どちらにでもかけられるような位置にスクリーンをセットし、ギリギリまで誰にスクリーンをかけるかの判断を待っているのがトップレベルのチームのスキルです」
映像31_ピンダウン_スイッチカウンター_"スクリーンする相手を決めない"
「オランダはPNRをディフェンスする時、スクリーンをジャム(タッチ)してギリギリまで判断を遅らせる方法を取っていることはすでに紹介しました。つまり、スクリーナーにくっついている状態がディフェンスにとって良いポジションであるということです。ラトビアはそれを逆手に取り、マイマン、ユーザーディフェンスの両方にスクリーンすることで、ディフェンスの判断を混乱させるスキルを持っていました。ラトビアはこのようなスクリーンスキルを駆使し、優勝したオランダに対して予選プールで21-12と圧倒するノックアウト勝利を収めています」
映像32_PNR_スイッチカウンター_"ダブルヒット"
「セルビアの選手は、ハンドオフでのスクリーンがユーザーディフェンスにヒットできそうな場合、ディフェンスがスイッチを選ぶことを予測しているように見えます。そのためにスイッチを予想した場合、ユーザーにハンドオフのパスをリリースした瞬間にマイマンへヒットし、スイッチを一瞬遅らせるスキルを活用しています。とても地味な動きですが、この細かいヒットによって、オランダのディフェンスはわずかにズレて混乱し、その後のミスコミュニケーションを誘発させています」
映像33_DHO_スイッチカウンター_パス&(マイマン)ヒット