パリ2024オリンピックを振り返る

予選プール:本命不在となった激戦必至のパリ大会

本命不在となった激戦必至のパリ大会

2024年7月30日、都市型スポーツを象徴するに相応しいパリの中心地にあるコンコルド広場。3x3は5,020人の観客を収容できるオープンアリーナにて2度目のオリンピック開幕を迎えた。

女子予選プール:激闘のはじまり

開幕戦に登場したのは、東京2020オリンピックで金メダルを獲得した女王アメリカ。対するは、ドイツである。その結果は17-13でドイツの勝利。しばらくは開幕戦から波乱が起きたのかと驚くも、この一戦は今大会に“絶対本命など存在しない”ということを象徴するかのような男女全68試合中の一つの試合に過ぎなかった。それは競技レベルが拮抗した各国が、しのぎを削り合う激戦のはじまりを告げる試合でもあった。女子予選プールでは、国際大会で安定した結果を残してきた中国、地元開催のプライドを背負う強豪フランスがともに7戦し、僅か2勝に終わる。開幕戦を飾ったドイツも含め、女子予選プールでは全勝するチームがいない事態となった。

男子予選プール:圧倒的なラトビアの戦い

女子予選プールの結果を見れば、男子でも気になるのは前回大会王者のラトビアである。ラトビアはFIBA 3x3ワールドツアーを幾度も制覇してきたメンバーが揃い、東京2020オリンピックの金メダルメンバーのベテラン、ミエジス選手とラスマニス選手、さらにFIBA 3x3 U23ネーションズリーグを経て代表入りしてきたライモ選手とラチス選手のチーム編成で臨む。東京2020オリンピックのメンバー2名を残すものの、若手選手2名を大胆に入れ替えてきた。

ラトビアは初戦から破竹の勢いに乗り、予選プール7戦を終えて全勝全KO勝利にて1位通過を決める。ベテラン選手と若手選手の融合が功を奏し、いつどこからでも期待値の高い2Pシュートを放つことができ、スピードと巧みさを兼ね備えた圧巻の試合展開であった。ラトビアは、FG試投数の半数を越える53.5%が2Pシュート試投数(全体1位)で占められている。また、その2Pシュート成功率は34.0% (全体1位)であり、最大の武器となっていたことを読み取れる。シュート1本当たりで期待される得点値を示すシューティング効率(S-EFF)では0.68点(全体1位)であり、期待値の高いシュートが放たれていた。それを可能にする局面に応じた変幻自在なスクリーンプレーの“駆け引き”は、見ている者も圧倒するほどの精度であった。

ラトビアは予選プールで3敗した東京2020オリンピックとは異なり、パリ2024オリンピックでは他チームを寄せ付けない高いパフォーマンスを如何なく発揮してみせた。おそらく多くの人が、ラトビアの絶対本命を疑わなかったのではないだろうか──少なくともこの時点までは…。尚、バスケ王国のアメリカは元NBA選手の#5 ジマー・フレデット選手が予選プール途中で負傷し、3人での戦いを強いられ、決勝トーナメント進出を果たせずに敗退した。

男子_1Pシュート成功率

順位 チーム 大会順位 1PMpg 1PApg 1P%
1 セルビア 5 10.1 14.3 71.1%
2 ラトビア 4 8.8 12.6 69.9%
3 オランダ 1 10.7 15.7 68.1%
4 リトアニア 3 10.0 15.0 66.7%
5 中国 8 7.6 11.7 64.6%
6 ポーランド 6 9.0 14.1 63.7%
7 フランス 2 9.2 15.1 60.9%
8 アメリカ 7 7.7 14.0 55.1%

平均
9.1 14.1 64.5%

男子_2Pシュート成功率

順位 チーム 大会順位 2PMpg 2PApg 2P%
1 ラトビア 4 4.9 14.4 34.0%
2 セルビア 5 3.1 10.8 28.7%
3 フランス 2 3.5 12.4 28.2%
4 リトアニア 3 2.8 10.0 28.0%
5 アメリカ 7 3.1 12.1 25.6%
6 中国 8 2.7 10.6 25.5%
7 オランダ 1 2.7 10.9 24.8%
8 ポーランド 6 2.5 10.6 23.6%

平均
3.2 11.5 27.0%

男子_シューティング効率

順位 チーム 大会順位 S-EFF
1 ラトビア 4 0.68
2 セルビア 5 0.67
3 リトアニア 3 0.65
4 中国 8 0.63
5 フランス 2 0.614
6 オランダ 1 0.611
7 ポーランド 6 0.58
8 アメリカ 7 0.57

平均
0.63

※シュート1本当たりで期待される得点値
S-EFF = PTS/(1PTA+2PTA+FTA)で計算