3x3男女日本代表強化の軌跡

メンタルの充実について

3x3日本代表選手に求められる「メンタルの充実」について

倉石平 (JBA3x3代表強化部会長/早稲田大学)

私の主観にしかならないですが、メンタルの充実は競技力の根幹を支える必要不可欠な要素であると感じています。スキルやその表現に注目が集まりがちですが、実際にはその土台となるのは、目には見えない個々人の「心の在り方」であり、それがプレーの質に大きく影響していると思われます。

現在、日本代表となると「チームジャパン」という言葉のもと、忠誠心であったり母国愛であったりと、様々な意味が込められるようになってきました。しかし、諸外国などを見ていると、そのような意味に加えて、精神的なプレッシャーのかかる場面でも自信に満ちた堂々としたプレーや、経験に裏打ちされた落ち着きを感じることも多くあります。私たちもそのような姿を目指していけると感じています。

ここ数年、プロなどへの道筋が大きく変化しています。特に、欧米のプレーヤーなどは、プロを強く意識し、自分の進路に覚悟を持ってチャレンジしています。幼少期、育成期といわれる13歳くらいから本格的にプロを目指す意識づけがなされ、現実ユーロのビッククラブは、13歳からエリート教育が行われています。子供の時からこのエリートに入るべく指導を受けていることも事実です。

以上のことから、環境が人を作るではないが、環境がクリエイティブなプレーヤーを作り、環境がファンを増やし、それがスポーツ熱を上げプレーヤーへのリスペクト、スポーツへのリスペクト、そしてスポーツの質を向上させ、文化、生活の質の向上へもつなげているようにも感じます。このような背景が、スポーツへの取り組みを変え、プレーにも影響を与えているのです。そのような環境では、プレーヤー自身がスポーツに価値を感じ、その対価も感じていると思われます。したがって、常に多くの方々に見られ、あらゆることにこだわりを持ってプレーする、生活をするという好循環を生んでいます。幼少期から、常に多くの方々から様々な評価や反応を受け止めながら良いプレーヤーが育っていくのではないでしょうか。

我々もこのような環境を作るべく努力は惜しまないのであるが、欧米と比べて評価が若干異なり、また選択の自由もあることから、スポーツ現場に対する見方は若干異なっています。貪欲なまでの取り組みを行う欧米をはじめとする諸外国において、スポーツのトップを目指すこと、それがどのくらい名誉なことか、そしてトップになったプレーヤーへの温かい眼差しそしてリスペクトなどは日本のスポーツ環境下では考えられないものがあります。

このような環境が、ゲームに対するどん欲なまでの勝利へのこだわり、絶対にあきらめない強さ、ルールへのこだわり、そしてそのずる賢さを生むのです。このような環境を作るのは並大抵ではないが、それぞれの良さがあることを理解し、日本に合った方法でメンタルの強さを育む環境を模索していくことが大切だと感じています。

オリンピック予選では、思い通りにいかない部分もありました。限りある時間や資金のなかで「メンタルの充実」を図り、心を整え、結束し、成長していくチャンスも常にあると思います。この経験を活かし、よりチャレンジ精神あふれるプレーヤーが育っていくことを願い、私たちもその環境づくりに尽力していきたいと考えています。