パリ2024オリンピック総括

絶対女王のアメリカ

絶対女王アメリカ、圧巻の8連覇達成

パリ2024オリンピックにおいて、アメリカは「絶対女王」としての圧倒的な強さをあらためて証明し、8大会連続で金メダルを獲得した。この勝利は、彼女たちが女子バスケ界を支配し続けてきた過去40年以上の歴史の延長線上にあり、オリンピック通算10個目の金メダルという大きな節目でもある。大会を通じて見せたアメリカのパフォーマンスは、バスケ史に新たなページを刻み、世界中のファンに感動を与えるものだった。彼女たちはあらためて世界最強の地位を証明した。

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映像1_絶対女王のアメリカ:相手の自信を奪うトランジションオフェンス

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映像2_アメリカの強みであるペイントを支配する選手たち

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TEAM USA WIN GOLD

大会全体の戦績:圧倒的な支配力を維持

アメリカは予選ラウンドから決勝戦に至るまで、今大会も負けなしで勝ち上がって行った。その過程で、予選ラウンドでは日本、ベルギー、ドイツを次々と撃破した。特に初戦の日本戦では102-76という大差で勝利し、攻撃力と守備力の両面で日本を圧倒。この試合ではエイジャ・ウィルソンが24得点、13リバウンドのダブルダブルを達成、そして4ブロックとディフェンス面でも大きく貢献した。序盤こそ日本は対等な戦いを見せ、素早いボール回しと3ポイントシュートで応戦したが、アメリカの身体能力と組織力には太刀打ちできなかった。

続くベルギー戦では、1Qは同点とベルギーが善戦を繰り広げたものの、試合を通してみるとエースの1人であるスチュワートが26得点、0ターンオーバーと脅威のオフェンス効率でゲームを支配し、87-74で勝利を収めた。

グループリーグ最終戦のドイツは、1Qは16-19とドイツリードで終えた。ドイツは徹底的にペイントを守り、アメリカのリズムを崩した。しかし、2Qからはアメリカのディフェンス強度も高くなり、残り7:45を残し、22-22と同点に追いついたところでドイツはタイムアウトを請求したが、アメリカの勢いは止まらず、2Qだけで25-10のスコアとなり、前半を41-29で折り返した。最終的に87-68で快勝し、危なげなく決勝トーナメント進出を決めた。

決勝戦:地元フランスとの激戦

8月11日に行われた決勝戦は、アメリカにとって最も難しい試合となった。フランスは地元の声援に背中を押され、全力で挑んだ。フランスは徹底的にペイントを守り、2Pシュートが得意なアメリカの成功率を38.6%まで抑え込んだ。試合は終始拮抗した展開となり、第3クォーター終了時点では45-43と、アメリカがわずかにリードしていた。しかし、第4クォーターではフランスが一時逆転に成功し、試合はさらに緊迫感が増す。この局面で、アメリカの選手たちは「絶対女王」としてのプライドを発揮。エイジャ・ウィルソンはリバウンドとブロックで相手の攻撃を封じ、カリア・コッパーが連続得点を決めて試合の流れを引き戻した。

最終的にアメリカは67-66で勝利を収め、僅差で試合を制した。アメリカの精神力と勝負強さを象徴するものであり、「絶対女王」の名にふさわしい内容であった。

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決勝 アメリカ vs フランス

主力選手の活躍:絶対的な個の力とチームへの貢献

エイジャ・ウィルソン:大会MVP

エイジャ・ウィルソンは、今大会を通じてアメリカの絶対的エースとして活躍。彼女は予選から決勝まで安定した得点力を発揮し、リバウンドやブロックでも大きな存在感を示す。特に決勝戦での21得点、13リバウンド、4ブロックのパフォーマンスは圧巻であり、勝利の立役者としてチームを牽引した。

ウィルソンは圧倒的な身体能力でコートを縦横無尽に支配することができる。ディフェンスでブロックをした後に、自らオフェンスの先頭を走る姿は彼女を象徴するプレーの一つだろう。

そして何より1on1、リング近辺のステップワークは世界最高峰である。スピードに乗ってリングにアタックするだけではなく、ストップしてディフェンスをかわす技術も持っている。常にディフェンスと駆け引きをするプレースタイルは、育成世代のモデルになる。

ビッグマンとしてもピック&ロールのハンドラーになることができ、オリンピックMVPとして女子バスケ界を牽引している。

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映像3_Aja Wilson_圧倒的な1on1でペイントを支配した

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映像4_Aja Wilson_スクリナーとしてペイントを支配した

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映像5_Aja Wilson_ビックマンとして、ピック&ロールのハンドラーとしてプレーできる

主力選手の活躍:絶対的な個の力とチームへの貢献

ブリアナ・スチュワート:万能型プレーヤーとしての存在感

ブリアナ・スチュワートは、アメリカの中で最も多才なスキルセットを持つ選手の一人である。彼女は得点、リバウンド、アシスト、ディフェンスといった多岐にわたる役割をこなし、チームの安定感を高めてきた。特にパスによってチームメイトの力をより引き出し、アメリカの攻撃力を高めた。

スチュワートは、試合中に状況を的確に見極める力が際立っており、相手のディフェンスに合わせて自らの役割を柔軟に変えることができる。決勝戦でも、フランスの堅い守備を切り崩す重要なプレーを幾度も見せ、彼女自身3度目の優勝へ導いた。スタッツ上の数字だけではない献身的なプレーができるスチュワートは、影のMVPと言っても過言ではない。

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映像6_Breanna Stewart_アメリカのトランジションオフェンスを象徴する選手

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映像7_Breanna Stewart_スクリナースキル

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Brenna Stewart and A’ja Wilson star for USA