トランジションオフェンスは、ディフェンスがセットされていない状態の攻撃になることから、PPPが高くなりやすいとされている。実際に今大会もメダルを獲得した国はPPP1.00以上であった。しかし、日本は全体10位(0.77)であった。
日本のトランジションにおいて3Pの試投数が多いことは、他国との違いとも言えるだろう。トランジションの得点が多くなれば、相手はトランジションディフェンスに注力するために、リバウンドバトルを有利にすることができると考えられていた。結果として3P成功率が27.8%、2P成功率が40%と低い結果になった。ただし、日本のスピードは世界の中で通用する部分もある。トランジション時にペイント内のフィニッシュを狙うことで、ファールをもらうことが多くなる。また、トランジションを止められそうになっても、流れの中でのゲットアクションやドラッグスクリーンはディフェンスしづらい状況を作ることができた。
課題として、3Pの成功率以外にタフシュートとミッドジャンパーのシュートセレクションが挙げられる。今後、トランジションの成功率を安定的に高くしなければ、メダル争いが難しい状況になると考える。
映像76_トランジションプッシュでファールドロー
映像77_トランジション(ゲットアクション)
映像78_初速の速さは日本の強み」を共有
映像79_トランジション3P
日本のトランジション3Pの成功と課題
映像80_トランジションでのミッドジャンパーとブロックショット
FAST BREAK(パリ2024オリンピック)
FB POSS% | FB Pts | FB PPP | eFG% | 3pt% | 2pt% | TO% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
東京2020 オリンピック |
13.1% | 9.8 | 0.881 | 45.7% | 30.0% (1.5/5.0) |
46.4% (2.2/4.7) |
7.5% |
FIBA女子ワールドカップ 2022 |
19.4% | 13.4 | 0.859 | 45.2% | 18.9% (1.4/7.4) |
69.2% (3.6/5.2) |
12.8% |
FIBA OQT 2024 | 14.3% | 11.0 | 1.000 | 52.0% | 26.7% (1.3/5.0) |
70.0% (2.3/3.3) |
12.1% |
パリ2024 オリンピック |
13.7% | 9.0 | 0.771 | 41.1% | 27.8% (1.7/6.0) |
40.0% (1.3/3.3) |
11.4% |
vsアメリカ | 10.1% | 5.0 | 0.556 | 31.3% | 16.7% (1.0/6.0) |
50.0% (1.0/2.0) |
11.1% |
vs ドイツ | 14.1% | 10.0 | 0.833 | 45.5% | 28.6% (2.0/7.0) |
50.0% (2.0/4.0) |
0% |
vs ベルギー | 17.1% | 12.0 | 0.857 | 44.4% | 40.0% (2.0/5.0) |
25.0% (1.0/4.0) |
21.4% |
FAST BREAK ANALYSIS
After Turn Over (ATO) | After Defense Reb (ADR) | After Make (INB) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
POSS | Pts | PPP | POSS | Pts | PPP | POSS | Pts | PPP | |
vs アメリカ | 5 | 3 | 0.60 | 3 | 2 | 0.67 | 2 | 0 | 0.00 |
vs ドイツ | 3 | 2 | 0.67 | 9 | 6 | 0.67 | 2 | 2 | 1.00 |
vs ベルギー | 9 | 9 | 1.00 | 4 | 3 | 0.75 | 3 | 2 | 0.67 |
TOTAL | 17 | 14 | 0.824 | 16 | 11 | 0.688 | 7 | 4 | 0.571 |
AVE | 5.7 | 4.7 | ー | 5.3 | 3.7 | ー | 2.3 | 1.3 | ー |
※()内は、Incomplete POSSを除いた実際のPOSS数
ファストブレイクをTOから(ATO)、ディフェンスリバウンドから(ADR)、メイクから(INB)に分けると、上記の数字となった。
TOからのファストブレイクが最も多い回数であり、得点期待値は3つのシーンの中で高い数字であった。これは日本が高い強度でプレッシャーをかけて誘発させたことが要因になっている。今後は得点の期待値を上げることと同時に、リバウンドやメイクの後のトランジション回数を増やすことで相手に脅威を与えることができる。
FAST BREAK(INDIVIDUAL)
POSS | Pts | PPP | 2FG% | 3FG% | %FT | TO% | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
#27 林 咲希 | 3.3 | 3.7 | 1.100 | 100% (0.3/0.3) |
33.3% (1.0/3.0) |
0% | 0% |
#30 馬瓜 エブリン | 3.0 | 0.0 | 0.000 | 0.0% (0.0/1.3) |
0.0% (0.0/0.7) |
11.1% | 22.2% |
#23 山本 麻衣 | 2.0 | 0.0 | 0.000 | 0.0% (0.0/0.0) |
0.0% (0.0/2.0) |
0.0% | 0.0% |
#15 本橋 菜子 | 1.0 | 0.0 | 0.000 | 0.0% (0.0/0.0) |
0.0% (0.0/0.0) |
0.0% | 33.3% |
#8 髙田 真希 | 0.7 | 0.7 | 1.000 | 100% (0.3/0.3) |
0% (0.0/0.3) |
0% | 0% |
#32 宮崎 早織 | 0.7 | 0.7 | 1.000 | 0% (0.0/0.3) |
- | 50.0% | 0% |
#88 赤穂 ひまわり | 0.7 | 1.7 | 2.500 | 100% (0.3/0.3) |
100% (0.3/0.3) |
0% | 0% |
#3 馬瓜 ステファニー | 0.7 | 1.0 | 1.500 | 0% (0.0/0.3) |
100% (0.3/0.3) |
0% | 0% |
#75 東藤 なな子 | 0.7 | 0.7 | 1.000 | 100% (0.3/0.3) |
- | 0% | 50.0% |
個人別で見てみると林が攻撃回数も多く、得点期待値も高いことがわかる。攻撃回数は少ないが、髙田、宮崎、ステファニー、東藤はPPP1以上、赤穂に関しては2.5以上と高い水準でファストブレイクに点数に絡んでいたことがわかる。