現地レポート

成長をつづけるジュニアオールスターたちRSS

2014年03月29日 23時19分


「東日本大震災復興支援 第27回都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会2014」は第2日目を終え、男女のベスト4が出揃った。男子は大阪府、福岡県、石川県、山口県。女子は広島県、北海道、兵庫県、そして福岡県である。


 



ジュニアオールスターに出場してくる選手たちは、各都道府県で認められた、中学生としてはトップレベルの選手たち。とはいえ、まだまだ中学生。身体的にも、精神的にも、もちろんバスケットの技術的にもまだまだ発展途上にある。だからこそ彼ら、彼女らは「もっともっとうまくなりたい」と日々の努力を重ねている。


決勝トーナメントの1回戦で敗れはしたが、徳島県女子のエース、藤本 愛瑚選手は昨年もジュニアオールスターに出場している。ただ昨年は何もできないままに試合を終えていた。その悔しさが残っていたのだろう、今回はチームの目標である「決勝トーナメント進出」に、文字どおりエースとしての活躍で貢献している。


「この1年間、3Pシュートを確実に決めるように練習してきました。特にパスをもらったらすぐにシュートを打つことを意識していて、それはできたと思います。シュートも入ったし、よかったです」


きょうの神奈川県との対戦では2本の3ポイントシュートを含む、両チームトップの19得点を挙げており、藤本選手は2度目のジュニアオールスターで、昨年からの成長を感じたようだ。


その一方で、もう1つ、昨年からの課題だった「インサイドでのポストプレイ」については、うまくできなかった。練習を重ね、自分としては「得意」になったつもりだったが、やはり全国の舞台はそう簡単に通用するものではない。もっともっとレベルを上げなければいけないと実感したことだろう。


でも、それでいいのではないだろうか。「すぐにできる選手は、すぐに忘れてしまう」といわれるように、簡単にできないからこそ、自分なりの工夫を加えていけば、それは将来的な武器にもなりうる。もちろん、今回うまくいった3Pシュートも同じである。


レブロン・ジェームズ(NBA / マイアミヒート)が好きだという藤本選手は「2020年の東京オリンピックにも選ばれたい」と意欲を見せている。現在14歳。6年後は20歳。日本の女子バスケット界をひっぱる「キング」となりうるのか。この1年間の成長に拍手を送りつつ、今後一層の成長を期待したい選手の1人である。


 



藤本選手のような個々の成長もさることながら、チームとして、この数か月で劇的な成長を遂げたのが、15大会ぶりにベスト4に入った山口県男子である。山口県はけっして「バスケットが盛ん」と胸を張れる地域ではない。「全体的に背も低いし、技術も高くはない」と中村 高之コーチも認めている。それでも「オールラウンドにできる選手は2人くらいで、あとは彼らが持っている個性…速く走るとか、シュートが入るといった、1つしかない個性を生かしながら、それぞれが役割を果たすようなチームつくりをしてきた」と言う。


そうして常日頃から「チームのために」ということを言い続けてきて、それが今大会のために東京に入ってから、目に見えるほど周りに気配りができるようになったと中村コーチは驚く。そんな人としての成長がベスト4進出につながったというわけである。


選手自身も、チームの成長を感じているようだ。数少ないオールラウンドプレーヤーの1人、江木 亮太選手は言う。


「チームのモットーが『明るく元気なチーム』なんですけど、初めのうちは暗かったんです。でも練習から盛り上げるようにしてきたし、試合を重ねるごとに絆も深まって、チームが1つになったように思います」


江木選手自身も、所属するチームでは負けそうになると「諦めてしまって、周りに声をかけることもできなかった」そうだが、選抜チームでは負けそうになっても周りの選手が声をかけていることを体感して、今では「強いチームと対戦して、競り合いになればなるほど勝ちたいと気持ちを強く持てるようになったし、声もかけられるようになりました」と言っている。


ジュニアオールスターは1つの中学校から最大4人までしか出場できない、文字どおりの選抜チームである。でも、だからこそ、他校の選手から学べることもあるわけだ。



さまざまな成長を見て取れるジュニアオールスター。毎日2試合ずつを戦っていけば、おのずと体力は奪われていく。いくら中学生が若いといっても、やはり動きは少しずつ失われていくものだ。だがそれはすべてのチームに共通の条件でもある。どのチームも体力的に厳しい。しかし2日間を勝ち抜いたという自信が、彼ら、彼女らにとってはさらなる成長の糧となる。勝ち残った8チームには、成長した自分やチームメイトを信じて、最終日を精いっぱい戦ってほしい。


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