二刀流で最強に！驚きの3x3の世界
ゲームを制する“勝負強さ”
3x3の魅力や楽しさ
3x3の魅力や楽しさに関して、「実は驚きの3x3の世界がある」という内容をいくつか紹介したい。正直なところ、3x3について「聞いたことはあるけど…」「関心がないわけではないけど…」などと気になってはいるものの、今まで3x3に対して積極的でなかった方々が多いのではないだろうか。ここでは、3x3の醍醐味を紐解きながら、「3x3って面白そう！もっと知ってみたい！」と3x3に触れるきっかけ作りになるような資料をお届けする。5人制と3x3のどちらもプレーするからこそ、バスケがもっと楽しくなり、その神髄をさらに極められることを伝えたい。
3x3の醍醐味を紐解くにあたり、これまで3x3男女日本代表として活躍してきたコーチや選手たちのコメントを踏まえて説明を加えている。彼らが日の丸を背負い3x3の世界で戦う中で「3x3で何を感じ、3x3とどう向き合って、どのようなバスケットの価値を継ぐんでいるのか」。その貴重な生の声にもぜひ触れてほしい。
KO勝利こそ一番の魅力
中祖嘉人（3x3男子日本代表HC／一般社団法人アルボラーダ）
「3x3では5人制でいう”ブザービーター”が毎試合のようにある。劇的なシュートが成功すると同時に試合がバーンっと終わる！3x3のKO勝利は競技性の魅力として一番に挙げられます」
3x3では残りの試合時間に関係なく、対戦相手より先に“21点以上を挙げた瞬間”に「KO勝利」となる。また、オーバータイムでも試合時間に関係なく、対戦相手より先に“2点を挙げた瞬間”に「KO勝利」となる。いずれの勝利も劇的なシュート成功の瞬間とともにやってくる。 （パリ2024オリンピックにおけるKO勝利数：42試合／男女全68試合）
両チームのプライドが激しくぶつかり合い、勝敗を分ける攻防が最大の見せ場だ。そして、その瞬間がやってくる。劇的なシュート成功と試合終了のブザー。感情を爆発させる選手たちの姿、割れんばかりの歓声で全てが一体となる会場。ボルテージが最高潮に達する瞬間は、想像するだけで胸が熱くなる。
「ブザービーターが毎試合のようにある」。言い換えれば、誰でもその瞬間の一人になれる可能性が高いということでもある。KO勝利ではゲームを制する“勝負強さ”が発揮され、3x3の魅力を最も象徴する劇的な瞬間だ。
映像1_KO勝利こそ1番の魅力
個の力で局面を打開するシューティングスキル
東京2020オリンピック 3x3男子日本代表
富永啓生（5人制男子日本代表／インディアナ・マッドアンツ）
「個の力がなければチームに貢献できない」
「3x3では個で打開しなければならない状況があり、チームに貢献しようとするならば個の力でクリエイトするスキルが必要です。また、スポットシュートだけでなく、3x3の激しい動きの中でシュートを放つことも多いです。それはシューティングスキルを大きく向上させます」と富永選手は指摘する。
3x3ではスポットシュートが上手いだけでは、優秀なシューターと言えないかもしれない。なぜならば、少人数の戦いにおいて味方を頼れない状況が増えるからだ。自身でディフェンスを振り切るスキル（個の力）を持ち合わせていなければ、いくらスポットのシュートの精度が高くても、期待値の高いシュートチャンスそのものを得ることが難しいのが3x3でもある。
3x3における優秀なシューターといえば、激しいムーブや自在なステップ、巧みなハンドリングを武器とし、ディフェンスのプレッシャーをものともせず、自らの力でプルアップジャンパーを決めきる選手がイメージされる。
映像2_個の力で打開するシューティングスキル
パリ2024オリンピックのMVP選手
パリ2024オリンピックで金メダル獲得の原動力となり、チームを牽引した3x3男女チームの大会MVP選手を紹介する。男子ではオランダ代表の#54 デヨング選手、女子ではドイツ代表の#14 グライナハー選手である。両者ともにチームに勝利と金メダルをもたらし、どのような逆境であろうとここ一番の“勝負強さ”を発揮する活躍を見せた。特に、3x3では規定の試合時間が10分間という短期決戦になるために、大会中は毎試合のようにゲームを制する“勝負強さ”が求められる。そのような“勝負強さ”が光るプレーには、個の力に裏打ちされる劇的なシュート決定力もさることながら、攻守に渡る様々な場面での“勝負強さ”も垣間見ることができる。
3x3男子オランダ代表
#54 ウォシー・デヨング選手（Worthy de Jong）
36歳/194cm
アムステルダム所属
主なバスケ歴
【5人制】
2010～2021 ZZ Leiden所属（FIBAヨーロッパカップなど出場）
2012～2022 5人制男子オランダ代表（FIBA EuroBaket，FIBA World Cup欧州予選など出場）
【3x3】
2018～ 国内3x3イベントに初参戦
2019～現在 ユトレヒトやアムステルダムに所属（FIBA 3x3 World Tourなど出場）
2023～現在 3x3男子オランダ代表（FIBA 3x3 World Cup，パリ2024オリンピックなど出場）
プレーの特徴
切れ味鋭いドライブと変幻自在なステップから繰り出される個人技で対戦相手を圧倒する。絶対的エースとして勝負所での決定力の高さをいかんなく発揮してオランダを金メダルに導いた。
映像3_デ・ヨング(オランダ)_194cm
3x3女子ドイツ代表
#14 ソニア・グライナハー（Sonja Greinacher）
32歳/190cm
主なバスケ歴
【5人制】
2017～2020 Arka Gdynia等所属（女子ユーロリーグなど出場）
2012～2024 5人制女子ドイツ代表（FIBA Women’s EuroBaket，FIBA女子オリンピック予選など出場）
【3x3】
2019～ 3x3女子ドイツ代表として初参戦（Eropean Games，FIBA 3x3 Euro Cupなど）
2021～現在 3x3女子ドイツ代表など（FIBA 3x3 Women’s Series ※優勝あり，FIBA 3x3 World Cup，パリ2024オリンピックなど出場）
プレーの特徴
長身選手でありながら柔らかいシュートを持ち味として内外どこからでも得点でき、どのようなプレーでもこなせるオールラウンダー。頼れるエースとして要所での安定感をいかんなく発揮してドイツを金メダルに導いた。
映像4_グライナハー(ドイツ)_190cm
