パリ2024オリンピックを振り返る

2大会連続の全勝不在!オリンピックでメダルを勝ち取るための大会戦略と考察

オリンピックでメダルを獲得したチームの対戦成績の傾向

今大会の男子において、オランダは予選プールで初戦の中国戦に勝利したが、2戦目のラトビア戦では12-21で大惨敗、3戦目のセルビア戦でも19-21と連敗を喫するというスタートであった。しかし、その後の試合では、個人技で圧倒するエースの#54 デヨング選手と献身的なチームメイトとの連携が徐々に機能していくことで、チームのパフォーマンスは大会を通して徐々に上がっていく。準決勝のリトアニア戦では20ー9と圧倒し、決勝ではフランスを延長の末に破り、金メダルを獲得している。また、そのフランスは予選プールで7戦中4敗を喫している。しかし、決勝トーナメントに入ると古豪のセルビアに続き、前王者のラトビアを破った。オランダもフランスも、オリンピックという大舞台で大会を通してパフォーマンスを上げていったことがうかがえる。

女子のチャンピオンに輝いたドイツも同様に、予選プールのオーストラリア戦で19-21でKO負けを喫している。また、決勝戦の対戦相手となったスペインは、予選プールで7戦中3連敗を含む4敗を喫して負け越しているにも関わらず、決勝トーナメントでは元女王のアメリカを延長の末に下した。

東京2020オリンピックでも男子金メダルチームのラトビアは予選プールで3敗、女子金メダルチームのアメリカは予選プールで日本に敗れた。2大会連続して全勝不在となったが、その敗戦を乗り越えながら決勝トーナメントで全勝したチームが金メダルを獲得している。

オリンピックでメダルを獲得するための大会戦略とその考察

パリ2024オリンピックでは男子のラトビアが予選プールで全勝していたものの、決勝トーナメントでは1勝も挙げられないままメダル獲得を逃してしまった。これはオリンピックの大会スケジュールが長丁場であることに影響されているのかもしれない。前大会に続き今大会でも、予選プールが全チーム総当たりの7試合、そして決勝トーナメントが勝ち残りの最大3試合、中休み1日を含む計7日間の日程となっている。

それに対して、各選手たちが主な活動の場としているFIBA 3x3ワールドツアー(男子)やFIBA 3x3ウィメンズシリーズ(女子)は予選プールが2試合、決勝トーナメントが最大3試合で組まれ、計2日間で実施されるのが一般的な日程だ。

つまり、長丁場となるオリンピックでは、女子のドイツとスペイン、または男子のオランダとフランスのように予選プールでは負けを喫したとしても最低限の勝ち星を積み重ね、課題を解決しながらチームの“一体感”を高めていき、そしてピークパフォーマンスを決勝トーナメントに合わせて勝ち上がっていくことがメダル獲得のために大切なのかもしれない。今後もオリンピックでメダルを獲得するための大会戦略に関する考察を深めていく必要がある。