リバウンドの攻防はボールの所有を巡る争いである。パリ2024オリンピックにおける各チームの1試合当たりの平均ポゼッション回数は男子で27.6~33.4回、女子で32.0~36.2回であった。5人制と同様に、リバウンドの攻防によって自チームの攻撃回数を増やす、もしくは相手チームの攻撃回数を最低限に抑えることは試合の勝敗を左右する非常に重要な局面となってくる。
トランジションの攻防において説明した通り、3x3におけるリバウンドの攻防(ポゼッション所有の攻防)はその後の得点もしくは失点に直結することも多いため、尚更その重要性は高い。3x3では2つのチームが1つのゴールを争点とするため、攻守の態勢はボールの所有が切り替わるや否や表裏一体の関係となって現れる。その関係を理解すると、3x3におけるリバウンド参加がボールを所有するという目的だけではなく、それが攻防の切り替えの際に多くのメリットをもたらすことが見えてくる。その主なメリットは次の通りである。
映像62_リバウンドの攻防_オフェンスリバウンド
映像63_リバウンドの攻防_ディフェンスリバウンド
3x3では特にORBへの参加が推奨される。なぜならば、3x3では5人制のトランジションディフェンスのようなハリーバックが必要なく、セーフティという選択肢を考える必要がないためである。仮にORBに参加してボールを奪われても、相手はそのボールをアーク外側に運んだ後に反転してまた同じゴールに向かって攻めてくる。むしろ、積極的にアーク内側やペイント内側へのORBに参加することは、攻防が反転した際にそれらのエリアを守ること(5人制で言うところのゲットバックの体勢でディフェンスすること)に繋がるので、3x3ではORB参加こそがトランジションディフェンスにおけるセーフティとも言えるのである(ただし、攻守の切り替え直後にワイドオープンの2Pシュートを許すことは注意すべきである)。また、2Pシュートの期待値の高さから多く狙われるが、その2Pシュートは1Pシュートに比べて当然ロングリバウンドになる確率も高く、その獲得に際してのランニングリバウンドは有効である。
他方、3x3ではDRBにおけるボックスアウトが、トランジションオフェンスからの得点に直結することもある。DRBでボックスアウトを遂行した後に味方がボールを保持した場合、その瞬間に相手に対してボックスアウトしていたインサイドのポジションが反転することで、オフェンスにとって最もゴールに近いインサイドシールのポジション(状況次第で最もオフェンスにとって有利なポジション)となる。これはアウトサイドでも同様であり、3x3ではDRBにおけるボックスアウトは即ちオフェンスにおけるインサイドのポジション獲得に繋がる。要するに、3x3においてリバウンドの攻防への参加には、多くのメリットが生じることとなる。
男子_1試合当たりの平均TRB獲得数ランキング
チーム | 最終順位 | TRBpg | |
---|---|---|---|
1 | ラトビア | 4 | 15.1 |
2 | フランス | 2 | 14.4 |
2 | リトアニア | 3 | 14.4 |
4 | ポーランド | 6 | 13.8 |
5 | オランダ | 1 | 13.7 |
6 | セルビア | 5 | 11.5 |
7 | 中国 | 8 | 11.3 |
8 | アメリカ | 7 | 10.7 |
平均 | 13.3 |
女子_ 1試合当たりの平均TRB獲得数ランキング
チーム | 最終順位 | TRBpg | |
---|---|---|---|
1 | アメリカ | 3 | 16.3 |
2 | オーストラリア | 5 | 14.8 |
3 | アゼルバイジャン | 7 | 14.7 |
4 | フランス | 8 | 14.57 |
5 | スペイン | 2 | 14.55 |
6 | カナダ | 4 | 13.80 |
7 | ドイツ | 1 | 13.77 |
8 | 中国 | 6 | 12.3 |
平均 | 14.4 |
男子_1試合当たりの平均ORB獲得数ランキング
チーム | 最終順位 | ORBpg | |
---|---|---|---|
1 | フランス | 2 | 5.3 |
2 | ポーランド | 6 | 5.25 |
3 | オランダ | 1 | 4.6 |
4 | リトアニア | 3 | 4.3 |
5 | ラトビア | 4 | 4.2 |
6 | アメリカ | 7 | 3.9 |
7 | セルビア | 5 | 3.62 |
8 | 中国 | 8 | 3.57 |
平均 | 4.4 |
女子_ 1試合当たりの平均ORB獲得数ランキング
チーム | 最終順位 | ORBpg | |
---|---|---|---|
1 | オーストラリア | 5 | 5.8 |
2 | フランス | 8 | 5.7 |
3 | カナダ | 4 | 5.5 |
4 | スペイン | 2 | 4.9 |
5 | アメリカ | 3 | 4.6 |
6 | ドイツ | 1 | 3.9 |
7 | アゼルバイジャン | 7 | 3.1 |
8 | 中国 | 6 | 2.2 |
平均 | 4.6 |
男子_1試合当たりの平均DRB獲得数ランキング
チーム | 最終順位 | DRBpg | |
---|---|---|---|
1 | ラトビア | 4 | 10.9 |
2 | リトアニア | 3 | 10.1 |
3 | オランダ | 1 | 9.11 |
4 | フランス | 2 | 9.10 |
5 | ポーランド | 6 | 8.5 |
6 | セルビア | 5 | 7.9 |
7 | 中国 | 8 | 7.7 |
8 | アメリカ | 7 | 6.9 |
平均 | 8.9 |
女子_ 1試合当たりの平均DRB獲得数ランキング
チーム | 最終順位 | DRBpg | |
---|---|---|---|
1 | アメリカ | 3 | 11.60 |
2 | アゼルバイジャン | 7 | 11.57 |
3 | ドイツ | 1 | 9.9 |
4 | スペイン | 2 | 9.7 |
5 | 中国 | 6 | 9.5 |
6 | オーストラリア | 5 | 9.0 |
7 | フランス | 8 | 8.9 |
8 | カナダ | 4 | 8.6 |
平均 | 9.3 |