パリに向けた準備と挑戦

カウンターバスケ

恩塚亨ヘッドコーチが掲げる「カウンターバスケ」とは、相手の守備やプレー状況を“受け身”で見るのではなく、常に先手を打って連続的に攻撃を仕掛けるスタイルのことを指す。具体的には、以下のような特徴を持つ。

素早い状況判断と連続的な攻撃

相手チームがディフェンスを整える前に一気に攻め込むだけでなく、たとえハーフコートに移行しても、直ちに次の攻撃を仕掛けるチャンスを作り出す“連続性”を重視する。「自分たちの強みを消すために、相手が仕掛けてくるディフェンスに対してワンプレーで終わらず、常に“次のチャンスを作り出す攻め”を用意する」という考え方がベースにあり、ディフェンスの弱い部分を見つけたら即座に仕掛ける。

原理原則・プレー原則の共有

恩塚HCは、“カウンターバスケ”をより実践的な形に落とし込むため、チーム全体で共有する「原理原則(ベースとなる考え方)」と「プレー原則(具体的な動きのガイドライン)」を作成。これにより、選手はコート上で迷わずに“どう動けば次の攻撃につながるか”を理解し、即座に判断できるようになり、連動性が高まる。

速さとスペーシングの徹底

従来の日本代表は小柄ながら“速さ”や“3ポイントシュート”で勝負してきたが、カウンターバスケではさらに「スペースの使い方」を重視している。フロアを広く使うことでパスコースやドライブのレーンを確保し、相手の守備が追いつかないうちに決定機を作り出す。

ディフェンスからの素早い切り替え

カウンターバスケを効果的にするうえで重要なのが、ディフェンスからオフェンスへの切り替え(トランジション)。相手のシュートミスやターンオーバーを奪った瞬間に一斉に動き出すことで、守備だけでなく“攻撃の起点”としてのディフェンスも重視する。

まとめ

恩塚HCが考案・導入した「カウンターバスケ」は、自分たちの強みを最大化させるともに、自分たちの強みを消すために、相手が仕掛けてくるディフェンスに対してワンプレーで終わらず、常に“次のチャンスを作り出す攻め”を用意することで、主導権を握り続けるスタイルだ。選手全員が「原理原則」と「プレー原則」を共有し、迷いなく動くことを目指した。日本代表は速さとスペースを最大限に活かし、さらなるオフェンス効率や連携力の向上を実現している。これは単に足の速さやシュート精度だけでなく、『常に得点の可能性を探りながら素早く実行に移す“考える力”と“連動性”』が求められる戦術と言える。