パリを振り返って(オフェンス)

ペイントスコア

東京2020オリンピックと比較して、今大会における3Pシュート成功率は減少した。一方で、ペイントの成功率は上昇した。試投数こそ少なかったが、タフなレイアップが課題であったFIBAオリンピック世界最終予選(OQT)から成長した項目だと言える。しかし、他国と比較したときに得点数が最も少ない。サイズ感が大きく異なる中で、いかにリング近辺の試投数を増やすのか、または別の得点の取り方を見つけるのか、いずれにせよ今後の日本バスケ界の課題になっていくことは間違いない。

Around the Basket Point (Not exact paint)


Ave
POSS
Ave
Pts
FG%
パリ2024
オリンピック
17.7 20.0 56.6%
(10.0/17.7)
FIBA OQT 2024 23.3 31.7 65.7%
(15.3/23.3)
FIBA女子ワールドカップ2022 22.2 26.6 57.7%
(12.8/22.2)
東京2020オリンピック 27.7 29.3 51.2%
(14.2/27.7)

Around the Basket(パリ2024オリンピック)



POSS 平均Pts PPP RANK
1 アメリカ 28.2 36.5 1.296 1
2 ベルギー 27.5 32.2 1.170 2
3 オーストラリア 27.2 32.0 1.178 4
4 スペイン 25.3 30.0 1.188 7
5 ナイジェリア 28.8 28.5 0.991 8
6 ドイツ 24.8 27.5 1.111 6
7 フランス 24.0 26.5 1.104 5
8 中国 23.0 26.3 1.145 3
9 カナダ 25.3 26.0 1.026 12
9 セルビア 27.5 26.0 0.945 9
11 プエルトリコ 22.0 21.3 0.970 11
12 日本 17.7 20.0 1.132 10

チーム全体としては、今大会での得点数は世界の中でも少ない結果となったが、個人に目を向けると際立った実績も見られた。特に髙田は、2Pシュート成功率において世界1位という結果を残した。これはゴール下だけでなく、ミドルレンジを含めた多様なシュートを成功させたことを意味しており、彼女のシュート力が世界トップクラスであることを示している。

また、宮崎も注目に値する成績を残している。身長という不利な条件がある中で、彼女の2Pシュート成功率は62.5%と非常に高く、無理なシュートを選択しない判断力の高さがその要因である。

このような髙田や宮崎のプレーからは、日本が今後世界で勝つためのヒントが多く含まれており、彼女たちのスキルとプレースタイルは次世代への重要な手本となるだろう。

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映像87_高田のシュートスキルとディフェンスとの駆け引き

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映像88_チーム2番目の成功率であった宮崎のペイントアタック

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映像89_今後のスラッシャーとして活躍が期待できる赤穂

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映像90_果敢にドライブを仕掛けたエブリン

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映像91_世界の壁は高かった(ショットブロック)

2-Point Field Goals Leaders(パリ2024オリンピック)

# 名前 G PPG 2PMPG 2PAPG 2PM 2PA 2p%
1 Maki Takada (JPN) 3 15.3 4.7 6.3 14 19 73.7
2 Megan Gustafson (ESP) 4 18 6.5 9.8 26 39 66.7
3 Breanna Stewart (USA) 6 16.3 5.7 8.8 34 53 64.2
4 Yueru Li (CHN) 3 17.7 5.3 8.7 16 26 61.5
5 Emma Meesseman (BEL) 6 23.3 9 14.8 54 89 60.7
名前 Pts 2FG%
#8 髙田 真希 7.3 78.6% (3.7/4.7)
#32 宮崎 早織 3.3 62.5% (1.7/2.7)
#30 馬瓜 エブリン 2.7 50.0% (1.3/2.7)
#88 赤穂 ひまわり 2.0 60.0% (1.0/1.7)
#27 林 咲希 1.3 50.0% (0.7/1.3)
#15 本橋 菜子 1.3 100% (0.7/0.7)
#13 町田 瑠唯 0.7 33.3% (0.3/1.0)
#3 馬瓜 ステファニー 0.7 25.0% (0.3/1.3)
#75 東藤 なな子 0.7 50.0% (0.3/0.7)
#23 山本 麻衣 0 0% (0.0/2.0)
#52 宮澤 夕貴 0 0% (0.0/0.5)
JAPAN 20.0 56.6% (10.0/17.7)

今大会における日本代表のシュート傾向を見ると、3Pシュートの試投割合は53.5%、ペイントエリアでの試投割合は29.3%であった。一方で注目すべきは、ミドルレンジからのシュートが全体の17.2%を占めていた点である。もちろん、すべてのミドルシュートが悪いわけではないが、今回の大会ではこのミドルレンジからのシュートの成功率が最も低い結果となった。

先述の通り、日本はサイズ面では他国に対して劣勢であり、リング付近での得点は依然として難しい状況にある。そのため、「走り勝つシューター軍団」という今回のチームコンセプトのもと、3Pシュートの試投数が増えたのは自然な流れと言える。しかしながら、ペイント以外の2Pシュート、特にミドルレンジにおける得点効率の低さは、今後の課題として浮かび上がっている。

世界の舞台では、相手のプレッシャーやショットブロックのレベルが高く、日本国内で「当たり前にできる」プレーが通用しないという現実がある。その中で、フローターシュートの技術には今後注目すべきだろう。ゴール下のショットブロッカーに対抗する手段として、リングから引き出しつつ得点を狙える有効なスキルである。

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映像92_フローター

SHOT ANALYSIS

3PT% MID% Around the Basket %
31.1%
(33/106)
20.6%
(7/34)
51.7%
(30/58)
3FGA/ FGA MID/ FGA Around the Basket / FGA
53.5% 17.2% 29.3%