小学校の頃は、何よりもまず『バスケットを好きになること』が一番大切だと思っています。僕にとってのヒーローは、マイケル・ジョーダンと田臥勇太選手。テレビや映像で彼らのプレーを見るたびに、『僕もあんな選手になりたい!』って、強く憧れていました。その憧れが、僕のバスケットへの情熱をどんどん大きくしてくれたんだと思います。
好きな選手のプレー映像は、それこそ飽きるほど見ました。ただ単に動きを真似するんじゃなくて、『この人がこう動いたら周りはどう動くか』とか、『こういうフェイクを入れたらディフェンスはこうつられるんだな』とか、プレーの意図や相手の反応までセットで考えるようになっていました。
プレーを見る時も、ボールを持っている一人だけじゃなく、コートにいる5人全員の動きを捉えることがすごく大事。そうやって試合全体を俯瞰して見る経験を重ねるうちに、自然と想像力が豊かになったと感じています。僕のプレーの『創造性』みたいなものは、そうやって養われた部分が大きいと思っています。それに、僕がバスケットを始めた頃に出会ったコーチの教えが、『とにかくバスケットを楽しむこと』だったんです。その言葉の影響も大きく僕にとっての原点になっています。
好きな選手のプレーを見て『真似する』というのは継続して続けていて、中学高校でもすごく大事にしていました。そして、中学校、高校時代は、僕にとってバスケットボールだけじゃなくて、人間的な成長もすごく大切にしていた時期でした。 ちょうど子どもから大人になっていく段階なので、 『人としてどう成長していくか』という視点を常に持つようにしていました。
僕の中では、『バスケットボールは、人間が成長していくための一つの方法で、それに付随するもの』という感覚です。だから、バスケだけじゃなく、学校生活や勉強といったこともおろそかにしてはいけないと思っていました。
特に、人として成長するための『人間関係づくり』は、すごく意識していました。そうやって色々なことを経験しておくことが、将来、自分が何かを選ぶ時の選択肢を広げることに繋がるんじゃないかと考えていたからです。
アンダーカテゴリー日本代表を意識し始めたのは、中学校3年生ぐらいの頃でした。きっかけは、過去に試合でマッチアップしたことのある選手が、代表のキャンプに入っているのを見たことでした。それを見たとき、すごく悔しい気持ちが湧いてきて。それと同時に、『自分も絶対にその場に立ちたい』って、強く思うようになったんです。同世代の選手の活躍が、僕にとって大きな原動力になりました。
高校に入って、1年生の冬に初めて高校代表に選んでもらえました。その年の年末年始にはチェコ遠征があって、それが初めての海外遠征でした。初めての世界との対戦だったので、『相手はどれだけすごいんだろう』って、正直、緊張や不安もありました。でも、いざ試合をしてみると、『ああ、これは気持ち次第でどうにでもなるんだ』って感じられたんです。日々の練習が自信になったと実感しました。
その後のU16やU18といったアンダーカテゴリーでの経験も大きかったですね。世代別のトップレベルを経験すると、自分の現在地がより明確に分かるようになります。海外の同世代の選手と対戦することで、自分の物足りないところや、目指すべきゴールに対して今自分がどのくらいの位置にいるのかが、しっかり把握しやすくなります。 そうした経験が、自己分析に繋がり、さらに上のA代表への意識を高めてくれたんだと思います。
目標設定については、僕なりの考え方があります。いきなりすごく遠い最終目標だけを立ててしまうと、今の自分とのギャップに圧倒されてしまう可能性があります。だから僕は、ちゃんと『自分を認めてあげる』というか、達成感を味わえるように、『小さな目標』を段階的にクリアしていくやり方が好きです。
その『小さな目標』も、『手が届きそうで、でも頑張らないと届かない』っていうぐらいのレベルに設定するのがポイントです。それを達成することで自信をつけて、また次の目標へと着実に進んでいけると感じています。 小さな目標を達成しながら、そこで見えてくる景色を感じて、また次の目標を立てる。これまでずっと、そんな感じでやってきました。
具体的な話をすると、例えば中学校の時には『全中ベスト16まで行きたい』という目標を立てました。そして、それを達成できた時に見えた景色から、『バスケで日本一を目指したい』って、自然と思うようになったんです。高校で日本一を達成して、アンダーカテゴリーを経験したら、今度は『アンダー22に入りたい、Bリーグでプレーしたい、A代表にも入りたい』って思うようになって。さらに、日本代表としてワールドカップを経験したら、『NBAに行きたい』と。
本当に、一つの目標を達成するたびに、次の新しい景色が見えてきて、それがまた次の大きな目標に繋がっていった。僕の目標設定の仕方は、この経験がすべてを表していると思います。
まず、すべての土台となるのは『バスケットボールを好きである』という気持ちです。その上で、『自分の目標とする選手像』を常にイメージしてください。そして、好きな選手の映像を繰り返し見て、プレーをどんどん真似すること。これが上達への一番の近道だと思います。
さらに踏み込んで、その選手のプレーだけでなく、彼らの『マインドセット』、つまり振る舞いや考え方まで真似をすることも、とても重要です。日々の練習においては、『将来どんな自分になりたいか。そのために必要な練習、トレーニングは何なのか』を、常に自己分析しながら取り組む習慣をつけてください。
次に、コーチに言われたことだけをやるのではなく、自分自身を客観的に見つめて、『今の自分には何が必要なんだろう』と、自分で考える。この『自分で考える』ということが、本当に、本当に必要だと思います。
そうやって自分で考えたことを、ぜひコーチと話してみてください。コーチとコミュニケーションを取りながら練習を進めていく。 一方で、コーチからのアドバイスも、素直な心でしっかりと受け入れる。コーチは選手の意思を汲み取ってくれて、選手はコーチを信頼する。このお互いの関係が、自身をより高いレベルへと引き上げてくれるはずです。バスケを心から楽しんで、自分の頭で考えて挑戦し続けること。皆さんのことを、心から応援しています。