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「第11回JBAコーチカンファレンス(オンライン)」開催報告

2026年1月30日

伊藤 拓摩(JBA強化委員長)コーリー・ゲインズ(女子日本代表チーム ヘッドコーチ)

鈴木 良和(女子U16・U19日本代表チーム ヘッドコーチ)冨山晋司(一気通貫コーチ・JBA強化委員会テクニカルハウス部会長)

 1月24日(土)、「第11回JBAコーチカンファレンス」をオンラインで開催(※2月上旬より配信予定のオンデマンド受講は現在申込受付中/締切2月1日)。本カンファレンスは、日本代表の実践的な取り組みを共有し、世界基準のコーチングに触れることで、参加者の指導力向上を目的としています。

 オープニングでは、昨年10月に就任した伊藤拓摩JBA強化委員長より、「これからの日本の強化方針」についてお話しいただきました。JBAの理念である「バスケットボールで日本を元気に」のもと、「競技力向上」「人材育成」「普及活動」を柱に強化を推進していることを紹介。日本代表が世界で結果を残すことで、Bリーグや地域、社会全体へ好循環を生み出す意義を強調しました。また、日常から世界を基準とした育成の重要性を示し、選手や指導者が早期から国際経験を積める環境づくりの実現が大切であるとお話しされていました。

 男子日本代表ダイレクターを兼務する伊藤委員長は、オリンピック周期の4年間ではなく、ロサンゼルス2028オリンピックより先の2大会を見据えた「12年強化計画」を発表。そのためにも、「選手がバスケットボールを楽しいと感じることが成長と普及の原点になる」と述べ、参加したコーチの方々へ協力を仰ぎました。

 続いて、昨年より女子日本代表を率いるコーリー・ゲインズヘッドコーチが、自身の経験をもとにコーチングフィロソフィーを紹介。「コーチングに絶対的な正解はない」と前置きした上で、NBAレジェンドコーチから学んだ経験を共有しました。コーチそれぞれに異なる個性があり、他者を模倣するのではなく、自分自身のスタイルを確立することの大切さを語りました。コーリー氏自身は特に、コミュニケーションを重視し、選手との信頼関係が勝利につながることを礎とし、指導に向き合っています。「ミスを恐れず、学び続ける姿勢」を大切にし、「失敗は学びのチャンス。過去や未来にとらわれず、目の前の現在に集中することが大事」とメッセージを送りました。

 最後は女子U16・U19日本代表の活動報告が行われました。JBA強化委員会テクニカルハウス部会長の冨山晋司コーチは、FIBA U19女子バスケットボール ワールドカップ2025で世界6位となった要因として、高い運動量とディフェンス、オフェンスリバウンドの強さを挙げる一方、シュート率低迷という課題も指摘します。FIBA U16女子アジアカップ2025では、若年層の遂行力向上を評価。今後の課題として、コンタクトを受けた状況でのフィニッシュ力やショートレンジのシュート技術が世界基準として求められることを共有しました。

 その両チームを率いた鈴木良和ヘッドコーチは、実際の試合動画を用いて、国際大会で得られた手応えと課題について発表。世界6位となった女子U19日本代表では、リバウンドやトランジションで世界と互角に渡り合えた手応えとともに、サイズとスキルを兼ね備えた世界トップチームに対して、シュート力やフィニッシュの完成度といった個の局面で差が生じたという課題を実感。戦術面で対抗できるからこそ、最終的には「個の質」が勝敗を分けることが改めて浮き彫りとなったと話しました。はじめての国際大会に挑んだ女子U16日本代表については、プレッシャーディフェンスや速い展開といった日本の強みを維持しながら、状況を見て最適解を選ぶ「考えてプレーする力」が随所に見られたことを評価しました。

 2つの国際大会を通じた世界的なトレンドとして、全ポジションのプレーヤーが3ポイントシュートを打ち、パスや判断にも関与する“多機能化”が急速に進んでいる点も今後の課題として示します。これまでの役割分担型の育成では対応が難しくなることを危惧し、早い年代から幅広いスキルを身につける環境づくりが不可欠であることを強調しました。そのためにも、各カテゴリーでバトンをつなぎながら育成していくことが課題解決への近道であると鈴木ヘッドコーチは述べ、すべてのセッションを終えました。

■カンファレンスの主な内容
【セッション1】これからの日本の強化方針について
スピーカー:伊藤 拓摩(JBA強化委員長)

<主なトピックス>
・強化委員会として「強化」とは?「競技力向上」「人材育成」「普及活動」
・12年強化計画
・ロサンゼルス2028オリンピック出場、そしてオリンピックで勝つためのキーコンセプト
 「最強メンバー」「最高の一体感」

【セッション2】女子日本代表活動について
スピーカー:コーリー・ゲインズ(女子日本代表チーム ヘッドコーチ)
      通訳:下條 海

<主なトピックス>
・コーチングは科学ではない。絶対的な正解はなく、不正解もない「経験の中で見て分かるもの」
・NBAレジェンドコーチたちからの学び
・時代や社会の変化とともに変わるコミュニケーション力

【セッション3】女子アンダーカテゴリー日本代表の活動報告
スピーカー:冨山晋司(一気通貫コーチ・JBA強化委員会テクニカルハウス部会長)

<主なトピックス>
・女子U19日本代表:「走力×リバウンド」で世界6位、ただし決定力は課題
・女子U16日本代表:ボールプレッシャーは健在、フィニッシュの進化が鍵
・世界の変化:全員が3ポイントシュートを打てる時代へ
スピーカー:鈴木 良和(女子U16・U19日本代表チーム ヘッドコーチ)
<主なトピックス>
・女子U19日本代表:世界と戦えた6位、その先にある「個の完成度」
・女子U16日本代表:「考えてプレーする力」でつかんだ銅メダル
・世界の進化:「全員が多機能」な時代への対応

■参加者からのコメント
これからの日本が目指す強化方針について、日本基準ではなく世界基準を前提条件として育成・強化・普及を目指す方針が示された中、自身のカテゴリーで出来る指導とは何なのかを考えさせられるきっかけになりました。
競技力の向上、人材育成、普及活動といろいろなカテゴリーがあるが、バスケを始める年代を受け入れる指導にあたり、バスケの魅力をより解り易い言葉で伝え、より多くのバスケ好きの子ともを増やす努力を行う事が重要だと思いました。


アンダーカテゴリーを指導していく中で、日常において世界基準を意識しながら、土台となる基礎を細部にわたって指導していくことの大切さを痛感いたしました。
世界基準を私たちが学び続けなければ、逆算して子どもたちに伝えるべきことが分からず、経験値に頼ってしまうような指導になりかねないと思います。
それを示していただけること、そして私たちがそれを学び続けることで、私たちも、子どもたちを安心して次のカテゴリーへとつなぐことができると思いました。


コーチングについて正解はない。強調されていたことは、信頼関係を選手と気づくこと。いろいろなやり方があるが、信頼を得るために、とにかくコミュニケーションをとること、寄り添ってあげることが大切だと何度も口にされていました。また、失敗を恐れずに何度も挑戦しコーチも成長を止めないことが重要だと学びました。


日本代表の活動報告はとても分かりやすく、数値が嫌いな私でも見入ってしまうほどでした。
オフェンスの技術として、身体を当てて押し込んでシュートする技には驚きました。
私はもうアクティブにプレーができる歳ではないですが、バスケットボールのレベルが時代にあわせて変わっていることを踏まえ、私たちも「学び続ける」ことを大事にし、時代にアジャストしてコーチングをしていかないといけないことに改めて気づかされました。


データから具体的な事実が読み取れ、その後の試合に役立つことが確認できました。データを正しく分析して、選手に落とし込み、練習する、試合で活かす。そこをしっかり学習する必要があることが学びになりました。
また、コーチがデータを分析し次の課題を明確にすることが出来るかが重要であること、今のバスケはオールラウンダーを育成する必要があること、1on1のオフェンス、ディフェンスの強化、速さの追求など世界基準の育成を改めて感じました。