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								2025年度 ジュニアユースアカデミー 第1回キャンプ レポート「挑戦することはどんな結果でも得るものが絶対にある」鈴木良和コーチ							
							2025年11月4日
							     3ポイントシュートを打つ上重寛太選手(川崎ブレイブサンダース U18)
							     片岡真心選手(willways imizu Basketball club)はワンハンドシュートの利点を実感
9月末にトライアウトを実施した「2025年度 ジュニアユースアカデミーキャンプ」。応募資格は、男子が190cm以上の中学1年から194cm以上の高校2年生、女子は175cm以上の中学生を対象とし、未経験でも応募可能。選手自身が決断して臨んだトライアウトから約半分となる男子17名・女子16名が合格し、11月1日(土)より3日間の第1回キャンプがスタートしました。
鈴木良和コーチ(アンダーカテゴリー女子日本代表ヘッドコーチ)、冨山晋司コーチ(男子日本代表アシスタントコーチ・一気通貫コーチ)がバスケスキルを向上させる各セッションを担当。日本代表全カテゴリーを支えるスポーツパフォーマンスコーチ陣、ブロックコーチの協力を得ながら体力面・心理面・技術面の向上を図る機会とします。
長身選手が揃う本キャンプのコンセプトは、「自分の体を思ったどおりに動かせるようにすること」。鈴木コーチは、「身長差に関係なく脳の力は同じでも動かす部分が大きくなり、そのために不器用になってしまうことが一番難しいです」とポイントを挙げます。スキルを向上させるセッションと、運動課題に取り組むスポーツパフォーマンスセッションを連動しながら身体に刺激を加えます。
もうひとつは「アウトサイドのスキルを紹介し、意識づけをしてオールラウンドにプレーできる選手になっていくこと」と鈴木コーチが話すとおり、これまでも「テクニカルレポート2024」や「Basketball Japan’s Way 2023」でも『オールラウンド』をキーワードとしてきました。日本が世界と戦うためにはシュート力が必要であり、長身選手も当たり前のように3ポイントシュートを打てることを目指します。
5on5のゲームでは、積極的に3ポイントシュートを狙っていた上重寛太選手(川崎ブレイブサンダース U18)と片岡真心選手(willways imizu Basketball club)。「中学校の頃からシュートが好きで打っていました」という上重選手。「今まではインサイドでのポストプレーが多かったですが、最近は3ポイントシュートを打ったり、外から1on1で攻めたりしています」と片岡選手もプレーの幅を広げています。
鈴木コーチによる「シュートフォーム作り」のセッションでは、『シューティングの7つの習慣(※JBA公式YouTubeにて解説動画配信)』をもとに説明します。チームメイトとお互いに動画を撮影し、シュートフォームをチェック。上重選手は「打つ時に軸がぶれていたことで、ボールが曲がっていました」と自ら気付き、すぐさま修正したことで「まっすぐ打てるようになりました」。また、女子の主流はボースハンド(両手)シュートですが、鈴木ヘッドコーチはワンハンドシュートの利点を説明し、まずは両方試すことを勧めます。中学に入ってからワンハンドシュートに変えた片岡選手は「回転もよくかかるし、まっすぐ飛ぶので入りやすい」とその利点を実感していました。
最終日は冨山コーチによる「ピック&ロールの攻防基本」セッション。片岡選手は「いつもはスクリーンをかける側」と言い、上重選手も「ハンドラーとしてのプレーはあまり経験できていません」と話すように、異なる立場のピック&ロールにチャレンジ。片岡選手は「ハンドラーを経験でき、スクリーンをかけたときにどこへダイブして欲しいのか、ガードの気持ちが分かったことが良かったです」と感想を述べ、新しい発見が多いのもこのキャンプの特徴です。
女子U16と女子U19日本代表を率いて国際大会を戦ってきた鈴木コーチに、長身選手の発掘・育成を担うこのキャンプが強化に与える影響について伺いました。
「清水天翔選手(花小金井南中学校〜佼成学園女子高校)は強豪校ではないですが、彼女自身が高いレベルでバスケがしたいとトライアウトを受けました。その意識の高さや賢さがあり、ここで学んだことを積み上げたからこそ、女子U16日本代表選手として活躍できたわけです。過去にも井上宗一郎選手(現・仙台89ers)や長谷川比源選手(現・滋賀レイクス)など、このキャンプで一緒にバスケをした選手たちがBリーグで活躍する姿を見て、少しでも貢献できていればうれしいです」
トライアウトを受けた約半数の選手や、キャンプへの参加資格を得られませんでした。「常にスポーツ選手として自分を磨く場を求め続けることが大事」という鈴木コーチは、以下にメッセージを送ります。
「セレクトアウトしたからといって、選手としてレベルが低いと評価されたわけではありません。現段階ではまだ力が足りない部分があっただけです。その結果を踏まえてこれからも自分の可能性に向き合い、磨き続けていくことで、この先の日本代表セレクションキャンプを通過するケースはよく起きることです。セレクトインして慢心せず、セレクトアウトしてもチャレンジし続ける。挑戦することはどんな結果でも得るものが絶対にある。失敗を恐れずに挑戦しに来る姿勢そのものが大事なことです」
第1回キャンプで学んだことを所属チームに戻ってから継続し、仲間たちに伝えることも参加メンバーの大事な役割です。次回、第2回キャンプは12月13日(土)から3日間実施します。
■2025度ジュニアユースアカデミー 第1回キャンプ
 主な実施プログラム
【1日目】11月1日(土)
・コーディネーション、ファンダメンタルスキル、3×3(鈴木良和コーチ)
・スポーツパフォーマンスセッション・栄養講習
【2日目】11月2日(日)
・シュートフォーム作り(鈴木良和ヘッドコーチ)
・スポーツパフォーマンスセッション(鈴木良和ヘッドコーチ)
・1on1・ポストムーブ・局面ごとの基本
・講習:一流アスリートの考え方(鈴木良和ヘッドコーチ)
【3日間】11月3日(月・祝)
・スポーツパフォーマンスセッション
・ピック&ロールの攻防基本・ゲーム(冨山晋司コーチ)
