オフェンスにおいて、ホーバスHCが取り組んだのが、”速いバスケット”である。女子日本代表から、男子日本代表のバスケに頭を切り替えたばかりのホーバスHCが試合を見て、「日本の武器はスピード。スピードを活かしたバスケをしたい」がキーワードであった。ファーストブレイク(以下、FB)を増やすために、相手がスコアをしてもしなくても、素早くボールを運び、ペイントアタック、または3ptを積極的に打っていくスタイルに変えた。
前任のラマスHCも速いバスケットを目指し、東京2020オリンピック時点でもFB%(FBを出した割合)は18.1%で、すでに3番目に速いバスケをしていたが、そのスピードをもう一段上のレベルに上げていったことになる。
就任1年後のFIBAアジアカップでは脅威の25.7%というFB%を達成。FIBAワールドカップ2023においてもFB%は20.0%で、アメリカ、カナダに続いて32チーム中3番目にFBを出すことに成功した。さらに、FBのPPPにおいてはアメリカ、カナダを上回り、こちらも32チーム中3番目に高い効率のFBを展開した。FIBAワールドカップ2023において日本は、実質世界トップレベルのトランンジションバスケを展開していたと言って良いだろう。
映像9_日本のスピードを武器に変える
FAST BREAK DATA
大会 | FB%TIME | FB PPP | FB PTS |
---|---|---|---|
FIBAワールドカップ 2023 |
20.0% | 1.256 | 21.6 |
2022 FIBA ASIA CUP |
25.7% | 1.140 | 26.0 |
東京2020 オリンピック |
18.1% | 1.106 | 17.3 |
FIBAワールドカップ 2019 |
17.5% | 1.027 | 15.0 |
FIBAワールドカップ2023のFB割合トップ10 (32チーム中)
順位 | チーム | %TIME | PPP | Ave |
---|---|---|---|---|
1 | アメリカ | 28.1% | 1.085 | 28.6 |
2 | カナダ | 20.9% | 1.101 | 20.4 |
3 | 日本 | 20.0% | 1.256 | 21.6 |
4 | フィンランド | 18.8% | 1.160 | 18.8 |
5 | オーストラリア | 18.7% | 1.110 | 18.2 |
6 | 南スーダン | 18.2% | 1.367 | 21.6 |
7 | フィリピン | 17.9% | 1.152 | 18.2 |
8 | セルビア | 17.8% | 1.342 | 19.6 |
9 | カーボベルデ | 16.5% | 0.811 | 12.0 |
10 | エジプト | 16.0% | 1.085 | 15.4 |