大会総括/データから見る日本の立ち位置(ピック&ロール)

ピック&ロール オフェンス

ピック&ロール

ショットクロックが8秒以下になると、できるだけ早くオフェンスをクリエイトしなければならない。多くのチームでは、それはピック&ロール(以下、PNR)をするタイミングであることを意味する。日本代表も例外ではなく、8秒までに良いショットを生み出せなければ、最後はPG(もしくは他のメインボールハンドラー)にボールを持たせPNRをプレーする。日本はパリ2024オリンピックで、全体の33%ほどのショットをPNRを起点に作った。

PNR PPPは0.865で、オフェンスPPP全体と比べると低くなっている。相手チームの対策の影響や、ショットクロックギリギリでの判断が増えるため、多少悪い判断でもショットを打ち切らなければならないことも原因の1つと考えられる。

日本代表で最も多くPNRをプレーする河村は、FIBAワールドカップ2023で大きく成長を遂げた。世界から注目される選手になったことで、相手チームはいろいろな対策をしてきた大会だった。

チームピック&ロールPPP (パスを含む) PPP

大会 %Times POSS 得点 PPP TO%
パリ2024
オリンピック
33.2% 29.7 25.7 0.865 9.0%
FIBAワールドカップ
2023
34.5% 29.6 25.2 0.851 16.9%
FIBAアジアカップ
2022
20.1% 17.8 17.2 0.966 13.5%
東京2020
オリンピック
37.1% 32.7 24.7 0.755 11.2%

プリベント or パニッシュ

PNRはここ数年でも目まぐるしい進化を遂げているが、それはPNRカバレージ(PNRディフェンスの方法)の進化も意味している。しかしながら、それぞれのPNRカバレージには強みもあれば、弱点も必ず存在する。現代バスケにおいて、相手のPNRディフェンスをスカウティングし、攻撃するプランを持つことはもはや当たり前になりつつある。

相手のPNRカバレージに対する攻撃方法を考えた時に、2つの大きなフェーズに分類することができる。この章ではPNRについて深く掘り下げていくが、この2つを頭に入れて読み進めることで、複雑なPNRについての整理がしやすくなるはずである。

  1. PNRカバレージの構造を作らせない(プリベント)
    相手が準備したPNRカバレージをさせないという考え方
  2. PNRカバレージの構造そのものの弱点を突く(パニッシュ)
    相手が準備したPNRカバレージの弱点を突くという考え方