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【インカレ2025レポート】ウインターカップ2021ベスト5プレーヤーがラストイヤーではじめて挑む全国大会

2025年12月3日

同志社大学は逆転勝利でグループステージ突破

第3クォーター終了時のブザービーターを決めた島倉欧佑選手

 1970年(第22回)「全日本大学バスケットボール選手権大会」(インカレ)で準優勝を飾った同志社大学。しかし、近年は全国の舞台へ上がって来られないまま月日が過ぎていました。創部100年目のメモリアルイヤーとなった今年、7年ぶりにインカレへ帰還。現在のメンバーにとっては初の全国大会です。男子グループステージから登場し、仙台大学を70-56で破って1勝目。同志社大学の勝利は2008年に準々決勝へ進み、8位となったとき以来。17年ぶりに白星を飾り、新たな歴史の一歩を踏み出しました。

 トーナメント本戦への出場権を懸け、1勝同士で並ぶ九州共立大学とのグループステージ最終戦。2年連続出場で一日の長がある九州共立大学が、第1クォーターから11-26とリードを広げて先手を取ります。セカンドユニットで臨んだ第2クォーター、「見ても分かるとおり、僕や柄澤(日向)ら後から出るメンバーが『まくり隊』なんです」と紹介してくれたのは、同志社大学4年 #30 島倉欧佑選手。

 帝京長岡高校出身の島倉選手は4年前のウインターカップ2021決勝のメインコートに立った経験があり、大会ベスト5にも選ばれました。立ち上がりの戦況をベンチで見つめながら、「しっかり準備し、試合に出たら全力でプレーすることを意識しています」と同志社大学を勢いづけ、劣勢をまくるシックスマン。「第1クォーターでどれだけ点差を離されても、僕らで追い上げる」という強い言葉どおり、その10分間は31-24で上回りました。前半を終え、島倉選手は早くも10点をマークし、42-50と点差を縮めて反撃の狼煙を上げます。

 昨年からチームの指揮を執る村上直コーチは、京都ハンナリーズやシーホース三河で活躍した元Bリーガー。現在も京都ハンナリーズのGM補佐兼普及担当を担いつつ、地元京都府の同志社大学でプロで培った経験を還元します。新コーチを迎えた当初は、「今までとは全然違う部分があり、コーチの気持ちを僕たちは分からないですが、『なんでこういう采配をするんだろう』『なぜ、自分が出られないんだ』と思うところもありました」と島倉選手は当時の心境を振り返ります。しかし、1年が過ぎると「『この時間帯だったらアイツだな』と仲間に託すことができる信頼関係を村上コーチと一緒に結ぶことができています」とチームの結束力が高まり、この舞台に立っていることが成長の証です。

 「ディフェンスやリバウンド、時にはシュートを決める」役割も明確となり、第3クォーター終了間際にはそのリバウンドで島倉選手が流れを引き寄せました。「高校時代に全国大会を経験したときもそうでしたが、笛が鳴るまで諦めないことが結構大事です。たぶんあの瞬間は、もうタイムアップだから動かなくても良いと思った選手が大半がだったと思います。でも、やっぱりブザーが鳴るその直前まで諦めなかった自分の意思や経験で、同志社大学のバスケを現すことができたと思います」という島倉選手がランニングリバウンドを奪ってブザービーターを決めました。64-70、6点を追って最終クォーターへ向かいます。

「今日の試合は8割方負けるようなゲーム展開がずっと続いていました。残る2割はチーム全員でできることを、リバウンドやディフェンスをしっかりやり切った成果がこの勝利につながりました」

 追いかける同志社大学は残り5分、島倉選手がふたたびオフェンスリバウンドでつなぎ、柄澤選手がセカンドチャンスをものにし、71-71と同点に追いつきます。その後のディフェンスを成功させてつかんだチャンスに、#11 谷口 律選手が3ポイントシュートを決めて74-71。同志社大学がついに逆転。島倉選手も強気のドライブからこの日16点目を挙げ、78-73とリードを広げます。最後はファウルゲームとなる中、井口選手と柄澤選手が確実にフリースローを沈め、84-81で2勝目をつかんだ同志社大学が決勝トーナメント進出決定。横澤選手はゲームハイの29点、島倉選手と二人で35点をマークし、リバウンドはともに8本を奪った『まくり隊』が逆転勝利を呼び込みました。1回戦の相手は九州1位の東海大学九州です。

「これからが本番であり、苦しい戦いになると思います。僕は僕なりにできることを全部出し切りたいです。柄澤くんという頼れる後輩もいるので、それぞれに任された役割をこなして1戦1戦勝っていきたいです」

 過去3年間は、「ずっとインカレを狙えるチームと言われ続けてきましたが、関西から6枠に増えても全然出られず、悔しい想いを繰り返してきました」と苦労した島倉選手がラストイヤーに、仲間たちと一緒に大学バスケ最高峰の舞台に立っています。東京体育館メインコートで福岡大学附属大濠高校との決勝戦を経験した高校時代と比較し、「やっぱりウインターカップの方がメチャクチャ緊張しましたね」とアリーナのサイズなど違いはあります。しかし、この日の会場では九州共立大学とともに、サイドラインいっぱいの応援席を埋め尽くしてお互いに熱戦を盛り上げ、日本一を争う情熱は変わりありません。