FIBAワールドカップ2023において、屈辱の下位順位決定戦に回ったフランスにとってはリベンジの大会だった。フランスはロンドン2012、リオ2016、東京2020と4大会連続のオリンピック出場に加え、FIBAワールドカップ2019では銅メダル、東京2020オリンピックでも銀メダルを獲得してきた。主力であるゴベア、バトゥーム、フォーニエ、デ・コロは若干ピークを過ぎ、全盛期の輝きを失いつつあるも、このパリ2024オリンピックではまだ20歳のウェンバンヤマを中心にチームを若返らせつつ、再び銀メダルに輝いた。大会前の強化試合を見ると若返りという新たなチーム作りにかなり苦しんだものの、大苦戦した日本戦をきっかけにベテランと若手の融合を一気に加速し、大会中にチームを成長させることに成功している。
フランスは5人の現役NBA選手を擁しているが、今回の躍進に欠かせなかったのは、ユーロリーグ選手の大活躍である。決勝トーナメントで平均19.7点を記録したヤブセレ、準々決勝カナダ戦に19分で14本のFTを獲得しインサイドを支配したレソート、ドイツ戦勝利の立役者でありスコアラーとしても覚醒した守備職人コーディニアの3人である。言うまでもなく、パリ2024オリンピックはNBAルールとは違うFIBAルールで行われる。長い準備期間を取ることができない代表戦においては、ルールへアジャストする必要のないNBA選手以外の存在が、ますます重要視される可能性がある。
また、2023年のNBAドラフトで1位指名、新人王に輝いたウェンバンヤマは、1試合平均の得点(15.8点)、リバウンド(9.7本)、アシスト(3.3本)、スティール(2.0本)、ブロック(1.7本)の主要5部門でチームトップの大活躍で、大会ベスト5にも選出された。2021年の東京2020オリンピックでは若返りが必要と言われたフランスだが、この”エイリアン”ことウェンバンヤマの出現だけではなく、2024年のNBAドラフトでもザッカリー・リザシェール、アレックス・サーの2人が1位、2位指名を独占し、最も将来が明るい代表チームとなった。2022年にはまだFIBA U17ワールドカップでプレーしていた2人のライジングスターが、歴史あるフランス代表のユニフォームを着る日も近い。
映像3_ユーロリーグで活躍するレソート
映像4_決勝トーナメント平均19.7ptのヤブセレ(PF)
映像5_19歳のウェンバンヤマ(PF/C)
映像6_守備職人のコーディニア(SG/PG)
USA defend their gold medal with a win over France in men's basketball