洗練されたチームワークと高い強度のディフェンスで、FIBAワールドカップ2023では金メダルを獲得したドイツ。しかし、パリ2024オリンピックは準決勝でフランスに敗れ、金メダル争いから姿を消した。予選リーグでは同じフランスを相手に格の違いを見せつけたかに見えたが、準決勝ではわずか数日で別のチームと言えるほど成長したフランスに完敗した。ドイツは、FIBAワールドカップ2023でのロスター12人のうち10人が同じであり、主力選手の変更はない。また、オフェンスとディフェンスのシステムも大きく変わりはなく、よりチームを成熟させる形で大会を迎えた。エースPGのシュルーダーは30歳、大黒柱のタイスは32歳とキャリアのピークを迎えている。一方で、今大会チームのトップスコアラーとなったフランツ・ワグナーはまだ23歳であり、河村勇輝と同学年。若手とベテランが上手く融合できており、黄金期はまだまだ続きそうだ。
東京2020オリンピックでの8位から、一気にFIBAワールドカップ2023では優勝を果たし、パリ2024オリンピックでも4位と素晴らしい成績を収めているドイツ。しかし、2016年に代表を引退したスーパースター、ノビツキーがプレーしていた17年間(1999-2016)でオリンピックに出場したのは北京2008の1回のみ。それ以前は1992年のバルセロナ大会まで遡る。今では不動のバスケ強豪国に見えるドイツ代表の歴史も、決して順風満帆だったわけではないことが分かる。シュルーダー、タイス、ワグナー兄弟とNBAレベルのタレントが多数揃うドイツ代表にとっても、オリンピック出場はいつ逃してもおかしくないくらい過酷な道のりだった。
ドイツ代表のハーバートHCが2024年1月に開催された「第9回 JBAコーチカンファレンス」に来日し、日本の指導者に大きな気付きと学びを与えてくれたことは記憶に新しい。2021年に代表HC就任と同時に、実質3年間の代表活動にコミットできる選手のみを招集してチームを強化し、NBA選手と言えど例外的な途中参加は認めず、まさにファミリーと言えるチーム作りは代表強化の1つのスタンダードとして世界にインパクトを残した。