2022年7月にはインドネシアでFIBAアジアカップが行われた。FIBAワールドカップ2023 アジア予選とは別で行われるため、”ホーバスジャパンのスタイルを浸透させること”が明確な目標となる大会であった。河村、井上、吉井、テーブス、富永の5名がディベロップメントキャンプから引き続き参加し、NBAでプレーしていた渡邊雄太もホーバスジャパンに初参戦した。
グループリーグではカザフスタン、シリア、イランと対戦。元NBA選手ハダディを中心に黄金世代の晩年を迎えているイラン相手に惜敗するも、カザフスタン、シリアに完勝し、グループ2位で決勝トーナメントへ進出。トーナメント初戦のフィリピン戦では、試合途中で15得点していた渡邊がケガで離脱する厳しい状況となったが、富樫、エヴァンス、西田、須田が2桁得点をあげ、得点の取り合いを制した。ベスト4を賭けた準々決勝でオーストラリアに敗れ、日本はベスト8という成績で大会を終えた。
FIBAアジアカップ2022 ロスター
No | 選手 | P | 身長 | 生年 | 年齢 |
---|---|---|---|---|---|
2 | 富樫 勇樹 | PG | 167 | 1993 | 28 |
3 | ルーク・エヴァンス | C | 203 | 1991 | 31 |
12 | 渡邊 雄太 | SF/PF | 206 | 1994 | 27 |
16 | 佐藤 卓磨 | SF | 197 | 1995 | 27 |
17 | 須田 侑太郎 | SG | 190 | 1992 | 30 |
19 | 西田 優大 | SG | 190 | 1999 | 23 |
33 | 河村 勇輝 | PG | 172 | 2001 | 21 |
39 | 富永 啓生 | SG | 188 | 2001 | 21 |
45 | テーブス 海 | PG | 188 | 1998 | 23 |
71 | 井上 宗一郎 | PF | 201 | 1999 | 23 |
88 | 張本 天傑 | PF | 198 | 1992 | 30 |
91 | 吉井 裕鷹 | SF | 196 | 1998 | 24 |
日本平均 | 191.3 | 25.7 |
2022/6/13[グループフェーズ]
日本 100-68 カザフスタン [BOXSCORE]
2022/6/15[グループフェーズ]
日本 117-56 シリア [BOXSCORE]
2022/6/17[グループフェーズ]
日本 76-88 イラン [BOXSCORE]
2022/6/19[ベスト16]
日本 102-81 フィリピン [BOXSCORE]
2022/6/21[ベスト8]
日本 85-99 オーストラリア [BOXSCORE]
残念ながら、FIBAアジアカップはベスト8で終わった日本だが、オーストラリア戦では3ptを20本を決めるなど、ホーバススタイルのバスケを見せつけ世界を驚かせた。一時は20点差をつけられながらも、諦めないディフェンスと3ptで食らいつく日本は、アリーナの観衆を味方に付け、会場は日本ホームのような雰囲気となった。3pt8本を含む33点を挙げた富永は、3ptの正確性だけではなく、センターサークルのロゴ付近から3ptを決めるなど、常識を超えたシュートレンジを見せつけた。大会を通して日本の平均3pt試投数は40.2本。東京2020オリンピック時の28.3本を大きく上回り、FIBAアジアカップでは圧倒的No.1。またグループラウンドのシリア戦では、チームで27本の3pt成功という大会記録も叩き出し、平均成功数も16.6本で大会No.1となった。ただ数多く打つだけではなく、41.3%の高確率で、日本のシュート力を世界中に見せつけた大会となった。
また、ホーバスジャパンでは4番、5番ポジションのビッグマンも3ptで脅威になれることが必要不可欠である。その意味ではストレッチビッグとして台頭した井上の存在は大きく、大会を通して50%(8/16)という高い成功率を見せつけ、相手チームのディフェンスを難しくさせた。
3ptが大きく成長した一方で、アラウンドバスケットでのスコアには変わらず課題を抱えており、平均33点は大会出場16チーム中12番目という成績だった。
映像16_FIBAアジアカップ2022_オーストラリア戦で33点の富永
映像17_FIBAアジアカップ2022_須田はシリア戦で9本の3ptを沈めた
映像18_FIBAアジアカップ2022_井上_ビッグマンの3pt
FIBAアジアカップ2022 3pt 試投数ランキング
順位 | チーム | 平均3FGM | 平均#FGA | 3FG% |
---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 16.6 | 40.2 | 41.3% |
2 | ニュージーランド | 11.9 | 35.3 | 33.6% |
3 | オーストラリア | 11.3 | 32.5 | 34.9% |
4 | ヨルダン | 9.3 | 28.3 | 32.8% |
5 | フィリピン | 9.3 | 27.8 | 33.3% |
6 | バーレーン | 10.3 | 27.7 | 37.3% |
7 | シカゴ | 12.4 | 27.0 | 45.9% |
8 | インドネシア | 6.5 | 26.5 | 24.5% |
FIBAアジアカップではFB%が25.7%、FBの平均得点26.0も圧倒的No.1だった。また、全体のオフェンスPPP(OFF PPP)も大会1位となり、ホーバスジャパンが目指す5アウトのバスケが正しい方向に進んでいることを証明する大会となった。スピードのあるボールプッシュからのペイントアタック、ディフェンスが縮まったらファーストチャンスでも3ptを思い切り打ち切る。シンプルなコンセプトがどんどんチームに浸透し、選手自身もシステムとチームの成長に自信を持ち始めた。
映像19_FIBAアジアカップ2022_日本の武器はスピード
Fast Break 分析
順位 | チーム | FB% | PPP | AvePTS |
---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 25.7% | 1.140 | 26.0 |
2 | ニュージーランド | 22.1% | 1.007 | 20.7 |
3 | 中国 | 21.2% | 1.196 | 22.0 |
4 | チャイニーズ・タイペイ | 20.2% | 1.240 | 23.3 |
5 | オーストラリア | 19.9% | 1.060 | 17.7 |
6 | インド | 19.2% | 0.706 | 12.0 |
7 | 韓国 | 18.4% | 1.045 | 17.3 |
8 | ヨルダン | 17.3% | 1.113 | 16.9 |
Offense PPP
順位 | チーム | OFF PPP |
---|---|---|
1 | 日本 | 1.084 |
2 | 中国 | 0.988 |
3 | レバノン | 0.979 |
4 | オーストラリア | 0.976 |
5 | フィリピン | 0.966 |
6 | チャイニーズ・タイペイ | 0.941 |
7 | 韓国 | 0.939 |
8 | ニュージーランド | 0.919 |
9 | ヨルダン | 0.912 |
10 | イラン | 0.879 |