アラウンドバスケットディフェンスが向上している一方で、3ptを多く決められ過ぎたことが勝敗に大きく影響した。日本だけではなく、世界中のチームが3ptの影響力の高さに注目し、3ptの試投数は増えている。ただ、”3ptが守れなかった”と単純に言い切ることはできず、これはスカウティングの影響も大きかった。
ホーバスジャパンのディフェンス哲学の1つに”オーバーヘルプをしない”というものがある。つまり不必要な3ptを与えないということだ。しかしながら、強化試合のドイツ、セルビア戦を経て、世界トップレベルのオフェンスを相手に、オーバーヘルプ無しで守ることは難しいことが分かってきた。オーバーヘルプをしないことで、簡単なイージー2ptを与えてしまうのだ。事実、強化試合ではドイツの2FG%は59.1%、セルビアには76.1%という高確率でスコアされ、ペイントエリアのディフェンスは崩壊した。そこで、多少ヘルプを厚くしてでも2ptを守るという選択をしたことが3ptの数字に悪いインパクトを与えてしまった。それだけ、世界は強力なペイントでの得点力を持っている。
※スカウティングの章で詳しく紹介する。
一方で、世界レベルのチームは我々の想像を超えるシュート精度を持っていることも事実だ。ブラジルは日本に対して17/28(60.7%)という脅威的な成功率で3ptを沈めた。特に前半の11/13(84.6%)という確率は神がかっていたと言わざるを得ない。この数字は当然、彼らの平均的な数字を大きく上回る。しかし、これが偶然なのかと言われるとそうは言い切れない。この試合のわずか1ヶ月前、オリンピック最終予選を戦っていたブラジルは、決勝のラトビア相手に13/24(54.2%)という成功率で3ptを決めている。しかも1Qは8/8と全ての3ptを決め、ホームのラトビアから34-11のリードを奪って試合の主導権を完全に握った。世界レベルのチームは、数試合に1回は手をつけることができないほどシュートを決める力を持っているのだ。
OPPONENT 3pt Analysis
(パリ2024オリンピック)
3FGM | 3FGA | 3pt% | |
---|---|---|---|
パリ2024 オリンピック |
14.3 | 31.3 | 45.7% |
FIBAワールドカップ 2023 |
8.5 | 31.0 | 27.7% |
東京2020 オリンピック |
12.3 | 34.3 | 34.6% |
FIBAワールドカップ 2019 |
12.0 | 30.6 | 39.2% |
OPPONENT 3FG% & Attempt Raking
(パリ2024オリンピック)
順位 | チーム | 3FG% | 3FGM | 3FGA |
---|---|---|---|---|
1 | カナダ | 29.8% | 9.0 | 30.3 |
2 | プエルトリコ | 30.5% | 8.3 | 27.3 |
3 | アメリカ | 31.6% | 11.0 | 34.8 |
4 | オーストラリア | 31.7% | 9.8 | 30.8 |
5 | ドイツ | 33.8% | 8.8 | 26.2 |
6 | ギリシャ | 36.9% | 10.3 | 27.8 |
7 | ブラジル | 38.0% | 12.3 | 32.3 |
8 | フランス | 38.9% | 11.3 | 29.2 |
9 | スペイン | 39.0% | 10.0 | 25.7 |
10 | 南スーダン | 42.7% | 11.7 | 27.3 |
11 | セルビア | 43.3% | 13.5 | 31.2 |
12 | 日本 | 45.7% | 14.3 | 31.3 |
OPPONENT 3FG% & Attempt
(パリ2024オリンピック)
3FGM | 3FGA | 3pt% | |
---|---|---|---|
ドイツ戦 | 11 | 29 | 37.9% |
フランス戦 | 15 | 37 | 40.5% |
ブラジル戦 | 17 | 28 | 60.7% |
TOTAL | 43 | 94 | 45.7% |