大会総括/データから見る日本の立ち位置(ディフェンス)

ディフェンスを振り返る

PAINT DEFENSE

アラウンドバスケット ディフェンス

サイズのない日本にとって、アラウンドバスケット(いわゆるゴール下)は最も守るのが難しいエリアである。FIBAワールドカップ2019、東京2020オリンピックを見てもこのエリアの相手FG%は70%を超えていたのが現実だ。しかしながら、FIBAワールドカップ2023ではこのFG%を約5%下げることに成功し、パリ2024オリンピックにおいては54.2%と、大会No.1の数字を記録した。

FG%を低くできたとはいえ、FIBAワールドカップ2023でスコアされた平均38.4点は、32チーム中31位という厳しい数字だった。しかし、このパリ2024オリンピックでは平均30.7点となり、12チーム中6位と大きく向上した。

アラウンドバスケットエリアの数字が向上した要因はいくつか考えられるが、1つは日本のインサイドがサイズアップしただけではなく、機敏でブロックショットを武器にできるホーキンソン、渡邊雄太の存在が大きい。その証拠にチームの平均ブロックショット4.3本は、なんと大会3位の数字である。特に渡邊は平均1.7本で2位タイ、ホーキンソンは平均1.3で6位タイとなっている。渡邉飛勇の0.7本も平均プレータイム9分だと考えると、40分換算では渡邊雄太、ホーキンソンを超える数字である。特に、フランス戦のゴベアのダンクに対するブロックショットは試合の流れを大きく変えた、日本バスケ史上に残る”The Block”。間違いなく大会のハイライトの1つだ。

ブロックの効果は数字だけで測ることはできない。ブロックに至っていないプレーでも、「ブロックがある」と相手に思わせることでショットを落とさせているようなプレーも多くあり、実際は4.3本の数字以上にゲームへの影響を及ぼしている。

▶ 動画を見る

映像98_アラウンドバスケットディフェンス_渡邊雄太:ホーキンソン

▶ 動画を見る

映像99_アラウンドバスケットディフェンス_ブロックの驚異

Block Per Game Ranking
(パリ2024オリンピック)

  1. Wenyen Gabriel(南スーダン)3試合 / 6本(平均2本)
  2. Santi Aldama(スペイン)3試合 / 5本(平均1.7本)
    Yuta Watanabe(日本)3試合 / 5本(平均1.7本)
    Victor Wembayama(フランス)6試合 / 10本(平均1.7本)
  3. Anthony Davis(アメリカ)6試合 / 9本(平均1.5本)
  4. Josh Hawkinson(日本)3試合 / 4本(平均1.3本)
    Rudy Gobert(フランス)6試合 / 8本(平均1.3本)
    Shai Gilgeous-Alexander(カナダ)4試合 / 5本(平均1.3本)

OPPONENT AROUND THE BASKET POINT
(Not exact paint)


Ave Pts FG%
パリ2024
オリンピック
30.7 54.2%
(15.0/27.7)
FIBAワールドカップ
2023
38.4 66.2%
(18.8/28.4)
東京2020
オリンピック
41.7 70.9%
(20.3/28.7)
FIBAワールドカップ
2019
39.4 71.1%
(16.2/22.4)

Around the Basket Def (2024)

順位 チーム Pts FG% Block
1 ギリシャ 22.3 59.5% 2.5
2 フランス 23.8 54.3% 4.8
3 セルビア 24.5 60.7% 3.0
4 ドイツ 25.0 58.9% 2.5
5 カナダ 26.5 62.7% 2.5
6 日本 30.7 54.2% 4.3
7 アメリカ 31.0 61.8% 5.2
8 オーストラリア 31.3 61.0% 1.8
9 南スーダン 31.7 63.9% 3.3
10 スペイン 32.3 62.2% 3.3
11 ブラジル 33.3 73.3% 2.3
12 プエルトリコ 45.7 64.8% 2.0