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2025年度 JBA 公認 B 級コーチ養成講習会 (第 1 回・東京会場) 開催報告

2025年12月3日

座学講習では多彩なグループワークを実施

コーチング実践ではコーチ役、プレーヤー役と両者の立場で実践を積む

 当協会 (JBA) では、2025年 6 月20日 (金)~6 月24日 (火) の 5 日間、味の素ナショナルトレーニングセンター (東京都北区) において、2025年度第 1 回の JBA 公認 B 級コーチ養成講習会を開催しました。
 B 級コーチ養成講習会は、年間 5 回、東京都近郊や地方で開催しており、主に育成年代 (18歳以下) において専門性の高い指導が出来る人材を養成するとともに、都道府県のリーダーとなる人材を養成すること」を目的として実施。今回の講習会には、全国各地から37名の方が参加されました。

 5 日間にわたる集合講習では、コーチングの “How” にフォーカスし、座学でコーチングの様々なスキルを学び、午後のコーチング実践でトライし振り返ることで学びを深めていきました。

 
● 講習の主な内容
・コーチングスタイルとコーチングアプローチ
・コーチングフィロソフィー
・コーチングプロセス
・スキル獲得の原理
・年代・習熟度に応じたコーチング
・練習計画の作成
・長期競技者育成計画
・スポーツパフォーマンス向上の取り組み
・インテグリティの向上
・安全管理 (リスクマネジメント)
・レフェリーとのコミュニケーション
・コーチング実践

● 受講者のコメント
〇 青木祐輔さん (福島県 / 福島市立信陵中学校 / U15 女子)
 私は自分が勤務する中学校のチームの指導と、県や地区の育成センターの指導に携わっています。B 級講習会を受講する前までは、良いコーチの定義を「どれだけ専門的な知識を有しているか」や「チームの勝利に直結する戦術的な指導がいかにできるか」と認識していました。しかし、講習会のオープニングで改めて「プレーヤーズセンタードコーチング」の説明を受け、コーチの役割として重要な要素とはプレーヤーの学びに重きをおき、プレーヤーを支え、引っ張り、伴走することであると再認識することができました。同時に自分の認識の間違いに気づき、この講習会でより多くの学びを得たいと思うきっかけにもなりました。
 講習会は様々なテーマのセッションとコーチング実践で構成されていました。すべてのセッションにおいて、コーチデベロッパーの方々の綿密な準備により、受講者が安心して学べる環境にあったという点が印象的でした。特にマイクロコーチングやワークショップ形式でのセッションでは受講者が交流、発言する場面が多く設定されており、主体的に講習会に参加することで、より多くの学びを得られるプログラム構成であることが、受講者の立場からも実感できました。
 コーチング実践は、5 分という限られた時間のなかで、プレーヤーに「何ができるようになってほしいのか」を明確にしたゴール設定を柱として、オープニング・ボディ・クロージングというプロセスを意識しながらコーチングをする内容でした。さらに、コーチング実践の手法として、フリーズ / シンクロコーチングの選択、効果的な質問方法の理解、キーワード設定、失敗体験の設定などを学び、コーチングの幅を広げることができました。
 講習会期間中のコーチング実践の積み重ねとコーチデベロッパーの方々からのフィードバックによって、初日と最終日のコーチング実践を比較してみると、大きな変化が実感できました。受講者同士でそのことを共有し、話題が尽きないほど熱く語り合うという貴重な体験もできました。
 最後に、この講習会において自分が積極的に学ぶことができた背景には志の高い仲間の存在がありました。全国から集まった U12 からプロチームまでのフルカテゴリーのコーチと交流できたことは、これまでにない良い刺激となりました。また、他のコーチの積極的な姿勢や、コーチング実践でのエネルギッシュな姿など、お互いが切磋琢磨して学べたことが何よりの経験となりました。この講習会での経験を自分のチームにだけ還元するのではなく、福島県全体に還元できる人材になれるように日々努力を積み重ねていきたいと思います。

〇 河上貴博さん (鳥取県 / 鳥取城北高等学校 / U18 男子)
 今回この講習会を受講しようと思ったきっかけは、国スポ少年男子チームに関わる機会があり、鳥取県を盛り上げていくためにも自分自身をアップデートする必要があると感じたからです。実際に参加してみて、「講習会に来て本当に良かった」と率直に思いました。安全管理の重要性やインテグリティなど、指導者として必要な基本事項を再確認できただけでなく、興味がありながらもこれまで正面から向き合えていなかった「コーチングフィロソフィー」についてじっくり考える時間を持つことができました。振り返ればきりがないほど多くのことを、5 日間みっちりと学ぶことができたと感じています。そのなかでも特に私にとって印象深く、大きな影響を与えたことが 2 つあります。
 一つ目は「コーチング実践」です。これまで学んできたプレーヤーズセンタードコーチングの考え方を基に、練習には明確なゴール設定が不可欠であることを学びました。日々の練習のなかで、私自身がゴールが曖昧になってしまい、「何のための練習か」が見えづらくなることが多々ありました。また、指導が PUSH 型に偏り、選手が自ら考える機会=学びの機会を奪ってしまっていたことにも気づかされました。明確なゴール設定を含めた練習の計画と準備の大切さを痛感しましたし、これまで自分のコーチングを他者に評価してもらう機会がなかったなかで、コーチデベロッパーの皆さんから評価やリフレクションをいただけたことは、非常に貴重な経験となりました。
 二つ目は、カテゴリー・年齢・地域を超えた指導者仲間との出会いです。様々な問題や出来事を共有・共感できたことで、新たな気づきや学びが生まれ、「この悩みを抱えているのは自分だけではない」と感じられる場面もあり、大きな励みになりました。このように垣根を超え、「バスケで日本を元気に」を合言葉に集まった仲間がいるという事実は、本当に素敵で心強いものだと感じています。
 今回の講習会を通して、これまでぼんやりしていた自分のゴールが少しずつクリアになってきました。日々の学びの姿勢を忘れず、ここで得た学びを日々のコーチングに活かし、目の前の選手たちを幸せにできる指導者を目指していきたいと思います。そして、鳥取県を盛り上げるために、今の自分にできることはまだまだたくさんあると強く感じた講習会でもありました。
 最後になりますが、今回の講習会開催にご尽力いただいたコーチデベロッパーの皆様、そしてともに学んだ受講者の皆様に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。