現地レポート

苦しみの先にある成長RSS

2014年01月01日 19時22分

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厳しい言い方をすれば、あってはならないゲームである。NBLの兵庫ストークスと大学6位の白鴎大学の一戦である。残り44秒、兵庫ストークスの谷 直樹選手が沈めたジャンプシュートで[66-64」となり、なんとか勝利を得たのである。


兵庫ストークスにとって難しいゲームだったことはわかっている。カテゴリーの下に位置するチーム(ここでいえば白鴎大学)が、カテゴリーが上のチームと対戦するとなれば、十分に研究し、さまざまな戦術を駆使してくる。敗れて失うものもないという、いわば開き直りの強みもある。一方の迎え撃つ側は必死に戦いながらも、どこかで余裕を持って、「これがNBLだ」と見せなければいけないプレッシャーがある。そうしたところに難しさが生まれてくるのだ。


言葉を変えると、上に立つ者の“余裕”は、えてして“油断”に変わる。


「NBLとしてのプライドが足りず、油断をしてしまったのかもしれません。僕も含めてまだまだ若いチームで、本当に甘いと感じました」


兵庫ストークスのキャプテン、梁川 禎浩選手は苦しんだ試合をそう振り返る。梁川選手自身も4得点。チームの勝利に貢献できたかと言えば、疑問が残る。


「それが今日の試合の一番の反省点です。僕が得点面でもチームを引っ張らなければいけないのに、僕が一番油断をしていました」


白鴎大学の齋藤 一人監督はそうした油断が生まれることを想定して、戦術を練り上げたという。エース・白濱 僚祐選手のファウルトラブルは誤算だったが、それ以外はほぼプラン通りだった。そうした術中に梁川選手をはじめとした兵庫ストークスがはまってしまったのである。



ただ勝ったことで次につなげることはできた。リーグ戦とは異なるトーナメント戦の難しさを、彼らはこの試合で感じ取ったことだろう。けっして喜ばしい経験ではないが、この経験を生かして、「NBLチームとして明日からは今日のようなゲームをしない」と梁川選手も誓う。


秋田県立能代工業高校、筑波大学、パナソニックトライアンズ、そしてリンク栃木ブレックスと各カテゴリーのトップチームでプレイしてきた梁川選手だけに、強いチームに共通するものが何かはわかっている。


「“自覚”です。僕はこれまで多くの偉大な先輩たちと接してきて、強いチームにはそれがあることを見てきました。先輩たちが僕に見本として見せてくれたことを、兵庫ストークスでは僕が見せていきたいと思います」


苦しんだ1回戦を無駄にはしない。


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