現地レポート

キャプテンが示した陸川イズムRSS

2014年01月03日 20時12分

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ゲームの中にある些細なプレイが、そのチームの強さを示すことがある。石川ブルースパークスを[91-58]で一蹴した東海大学のキャプテン、田中 大貴選手がそれを証明してくれた。


第1ピリオド残り6秒で東海大のベンドラメ 礼生選手がシュートを決めたときのことだ。石川は残り6秒で最後の反撃に出るべくエンドラインからボールを大きく前に投げ出そうとした。そのボールを素早い飛び出しでカットしたのだ。田中選手はまた第2ピリオド残り1分47秒にも、コートの外に出そうになったボールを飛び込んでマイボールにしている。



「天理大学と石川の1回戦を見た陸川(章)監督から『ルーズボールなどは石川のほうが追いかけていた。本来なら下のカテゴリーである天理大がやらなければいけないことを石川がやっていた。東海大はその点で負けてはいけない』と言われていたんです。僕は口でチームメイトに言うよりも、行動で示そうと思って、そのプレイをしました」


経験を重ねれば重ねるほど、プレイの先を読めてしまい、1つくらいやられても勝敗に大きく影響はしないだろうとか、ボールが外に出ても、もう1度ディフェンスを立て直せばいいと考えがちになる。しかし田中選手はそうしなかった。それが田中大貴という選手であり、東海大の強さでもある。


陸川監督はそんな田中選手の成長をこう評価している。


「大人になりました。それは今年度の日本代表に入って、世界を経験したことが大きいと思います。世界を自分の目で見て、肌で感じて、今の自分の立ち位置と、次に向かうべき位置を考えたのでしょう。考える力のあることですから」


陸川監督は選手たちに「プレイで相手に隙を見せてはいけない」と言っているのだが、それをすぐに具体的な行動に移せるのが田中選手なのだそうだ。その意味では第1ピリオドの飛び出しも、第2ピリオドのルーズボールへのダイブも、隙を見せなかったという点では田中選手にとっては当然のプレイだったのかもしれない。ただその“当然のプレイ”をどんな試合でもやり続ける田中選手は、大学生であっても、日本を代表するトッププレイヤーだと言える。


明日は東芝ブレイブサンダース神奈川との対戦になる。今シーズンのNBLで「一番強い」と田中選手が見る東芝を相手にどのような戦いを見せてくれるのか。


「力は完全に向こうのほうが上。普通にやったら勝てない相手だし、今日よりも気持ちを1つにして、東海大のバスケットをすべて出すだけです」


40分間、隙を見せず、逆に東芝の隙をうまく突くことができれば、6年ぶりのベスト4も見えてくるはずだ。


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