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【インカレ2025レポート】世界6位になった経験をファイナルで発揮した女子U19日本代表選手たち

2025年12月17日

東京医療保健大学 #7 後藤音羽選手

白鷗大学 #77 東 小姫選手

 「第77回全日本大学バスケットボール選手権大会 (インカレ)」は男子が白鷗大学(2年ぶり3回目)、女子は東京医療保健大学(3年ぶり7回目)がそれぞれ日本一に返り咲き、幕を閉じました。50年ぶりに男子決勝に進んだ第1シードの早稲田大学、3位になった日本経済大学は関東勢以外では2011年の天理大学以来となるメダル獲得。九州勢としては初の快挙となり、今年のインカレを盛り上げてくれました。7年連続同じカードとなった女子決勝を制した東京医療保健大学は関東大学女子トーナメントやリーグ戦、新人インカレも含めた全てのタイトルを獲得し、全勝・完全優勝です。

 女子決勝を争った東京医療保健大学と白鷗大学から、今年の女子U19日本代表へともに3人を輩出。#7 後藤音羽選手(東京医療保健大学1年)と#77 東小姫選手(白鷗大学2年)は強豪校の先発を任されました。白鷗大学 #30 清藤優衣選手は準決勝、決勝では劣勢を跳ね返す3本の3ポイントシュートを決め、チームに勢いを与えます。同じく1年生の東京医療保健大学 #34 メンディー シアラ選手、#61 深津唯生選手、白鷗大学 #7 伊藤知里選手は決勝こそ出場機会はありませんでしたが、インカレでは3試合に臨んで経験値を高めています。

 優勝した東京医療保健大学ですが、順当に勝ち上がって来られたわけではありません。準決勝の早稲田大学戦は、第3クォーター途中まで相手にリードを許していました。早稲田大学はケガで欠場した#7 西 ファトゥマ七南選手に代わり、女子U19日本代表の#12 阿部心愛選手が奮闘し、13点・6リバウンドを記録。「初めてのインカレですが、自分がチームを勝たせるという思いを持ってプレーしています」と話していた後藤選手が劣勢を跳ね返します。準決勝では11点、白鷗大学との決勝でも10点を挙げ、発言どおりに勝利へ導く活躍を見せました。そのきっかけとなったのが、女子U19日本代表で鈴木良和ヘッドコーチからのメッセージでした。

「『音羽がエースでチームを勝たせるんだ』と言ってもらえたことで気付いた部分もありました。言われなくても自分がやるという姿勢を見せないといけないとも思いました。自分がチームを引っ張っていくことで、勝利に近づけるということも大会を通じてさらに深く知る機会になりました。このチームでも、そこをしっかり出していけるようにしたいです」

 高校までもオールラウンドで活躍した後藤選手ですが、東京医療保健大学ではハンドラーとしてプレーの幅を広げています。時には、これまで培ってきたポストプレーでインサイドで攻め、相手に対応しながら自らの強みを生かし、「さらにオールラウンドでプレーできることを目指しています」

 白鷗大学も第3クォーターを終えた時点で54-56、筑波大学に2点ビハインドを背負っていた準決勝。この試合も女子U19日本代表が目立ちます。先に挙げた白鷗大学の清藤選手、同じくベンチスタートの筑波大学 #10 鈴木花音選手も約17分間出場し、11点・6リバウンドで昨年の優勝校と対等に渡り合います。先発で起用された白鷗大学の東選手は、「この1年を通して自分の強みがドライブだということを他のチームも分かり、狭く守って対応してきたときにどう攻めを続けていくかが課題でした。逆に、そこがうまくいけばチームの流れが良くなることも多くなっています」と手応えを感じており、2年目のインカレでチームに貢献します。武器であるドライブはスピードや勢いだけではなく、しっかり止まってステップを踏んで相手をかわすプレーは世界と戦った経験を生かします。

「FIBA女子U19ワールドカップでも、関東大学女子リーグ戦でも相手を抜ききれなかったあとの対処が自分の課題でした。日本に帰ってきてからコーチと一緒に、その対処法を身に着けるための練習をしてきました。アタックに行って抜けなかった時も、(しっかりまわりを見て状況判断をして)落ち着いてプレーできるようになりました」

 FIBA U19女子ワールドカップ2025が行われた7月、後藤選手ら1年生にとっては入学まもない時期であり、2年生の東選手も後輩となる清藤選手や伊東選手との距離を縮めることができたそうです。「合宿や大会中にコミュニケーションを取る機会が多かったので、2人(メンディー選手と深津選手)とは思い違いがあるかもしれないけど、しっかり話し合ってプレーに生かせるようにしています」と後藤選手は言います。インカレでは女子U19日本代表の仲間と対戦する機会も多く、「お互いの強みや弱みはもう分かっています。それに対してどう上回っていくかがカギになると思っていました。スタートで出ているので責任感を持ってプレーしていますし、交代で出た伊藤も清藤もそこを意識して臨んでいました」と話し、世界6位になった経験を大学バスケ日本一決定戦を通じて表現してくれました。

 ファイナリストの両チームは、新春1月5日(日)より開幕する「皇后杯ファイナルラウンド」へ出場します。それぞれ1回戦を突破すると、Wリーグの強豪との対戦できるチャンスが待っています。両監督とも優勝を目標に掲げていることを公言しています。インカレでの課題を持ち帰り、真の日本一へ向けた新たな準備をはじめています。

■2025年度 女子U19日本代表メンバー
#6 後藤 音羽(F / 178cm / 東京医療保健大学1年)
#7 東 小姫(F / 177cm / 白鷗大学2年)
#9 伊藤 知里(F / 170cm / 白鷗大学1年)
#10 鈴木 花音(F / 174cm / 筑波大学2年)
#11 堀内 桜花(G / 167cm / シャンソン化粧品シャンソンVマジック)
#22 清藤 優衣(F / 174cm / 白鷗大学1年)
#27 曽根 妃芽香(G / 159cm / 拓殖大学2年)
#28 松本 莉緒奈(F / 175cm / 関西外国語大学2年)
#30 白石 弥桜(C / 184cm / デンソー アイリス)
#34 メンディー シアラ(C / 182cm / 東京医療保健大学1年)
#57 阿部 心愛(F / 175cm / 早稲田大学1年)
#61 深津 唯生(C / 179cm / 東京医療保健大学1年)