現地レポート

アクセルを踏むための完敗RSS

2014年01月01日 15時53分

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身体能力でも練習量でも相手のほうが上であることは、試合前から十分に理解していた。しかし、だからといって、最初から負けを覚悟して試合に臨むつもりもないし、実際に点差をつけられて投げ出すつもりもない。社業の傍らで行う少ない練習量を言い訳にするつもりも毛頭ない。


「実業団でバスケットを続けるというのはそういうことだし、試合のコートに立てば一緒ですから」


曙ブレーキ工業のキャプテン、田中 洋貴選手はそう言って、[28-59]で始まった第4ピリオドに3連続3Pシュートを沈めた。意地の3連発である。それでも試合は[47-76]で完敗に終わった。


「単純なミスや、自分たちのやろうとしたオフェンスの入り方ができなかったことが悔しいですね」


オールジャパン2014で優勝を狙っていたわけではない。それを口にできるほど簡単な大会でないことくらいわかっているからだ。ただ昨年の大会では1回戦を突破し、当時JBL2の1位だった兵庫ストークス(現NBL11位)と対戦している。今大会も「相手が青山学院大だろうが、目の前の試合に勝つことをモチベーションにして」乗り込んできた。その目標は叶わなかったし、自分たちの持っているものをすべて出し切れたかといえば、そうではない部分もある。だがこの敗戦を生かさない手はない。



「実業団には青山学院大学のようなチームはいません。そういう意味ではすごくいい経験になったと思うので、それをこれからどう落とし込んでいくかが、僕たちの課題だと思っています」


次に目標とするのは、2月に行われる「高松宮記念杯 第46回全日本実業団バスケットボール選手権大会」である。前回大会は準優勝を果たしているが、11月に行われた「第9回全日本社会人バスケットボール選手権大会」では日本無線、九州電力に次ぐ3位に終わっている。頂点に立つためにはまだまだやらなければいけないことが多い。ここで完全停止するわけにはいかないのだ。


元日から応援に駆けつけてくれた会社関係者や家族のためにも、曙ブレーキ工業は再びアクセルを踏み込む。



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【大会前特集】オールジャパン2014展望 新春バスケは丸ごと楽しもう!RSS

2013年12月31日 09時33分

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白熱のJX-ENEOSウインターカップ2013を終え、明日、2014年1月1日からは「東日本大震災復興支援 第89回天皇杯・第80回皇后杯 全日本総合バスケットボール選手権大会(以下、オールジャパン2014)」が始まる。この大会は高校生から大学生、社会人、プロに至るまで国内ほぼすべてのカテゴリーのチームが参戦し、日本一を決定する大会である。


前回大会の男子は休部の決まっていたパナソニックトライアンズが16年ぶり10回目の優勝を遂げ、大雪の中で有終の美を飾った。女子はトヨタ自動車 アンテロープスがJXサンフラワーズ(現 JX-ENEOSサンフラワーズ)の5連覇を阻んで、初優勝を遂げている。


そんな数々のドラマを生み出すオールジャパンの開幕を明日に控えて大会を展望すれば、男子はNBL(ナショナル・バスケットボール・リーグ)勢が、女子はWリーグ勢が上位を独占することになるだろう。


それでも男子は「オールジャパン2013」で青山学院大学がレバンガ北海道を破ったことで、大学1位(今大会では東海大学)がシード権を得ている。1つ勝てばベスト8入りとなるだけに、東海大としてはもう1つ先、2007年以来のオールジャパン・ベスト4を狙っているはずだ。むろんその他の大学や社会人――ここでいう「社会人」はNBL以外の実業団やクラブチーム、そして高校さえも、上位に進出するチャンスがゼロではない。厳しい戦いになることは確かだが、自分たちのできる最大のパフォーマンスを発揮して、異なるカテゴリーのチームにぶつかっていけば、勝利の女神がきまぐれを起こす可能性をある。


女子もまた然り。「オールジャパン2012」で神奈川県立金沢総合高等学校が高校勢で49年ぶりにベスト8に入ったことで、Wリーグ勢のシード独占が崩れている。「オールジャパン2013」ではそのシード権を獲得していた高校総体1位の桜花学園高等学校を筑波大学が倒し、今大会は大学1位(松蔭大学)がシード権を得ている。女子では1999年の日本体育大学以来、学生がベスト4に入っていないだけに、松蔭大学にはぜひその壁に挑んでもらいたい。


またトップリーグであるNBL、Wリーグ、そしてNBLの下部リーグとなるNBDL(ナショナル・バスケットボール・デベロップメント・リーグ)の各チームにはこう言いたい。一発勝負のトーナメント戦であるオールジャパンでは、何が起こるか分からない。つまりリーグでの順位のまま勝ち進めるとは限らないのだ。トーナメント戦では勢いに乗ることが重要になるだけに、下位回戦からこの大会にかける意気込みを出して、下剋上を果たしてほしい。


今大会では、どのチームもトーナメント戦だからこそ繰り出せる秘策を用意してくるはずだ。普段とは異なるカテゴリーの相手と対戦することで、新たな才能が引き出される可能性もある。結果もさることながら、そうしたバスケットの奥深さ、新しいタレントの誕生、そして懐かしの選手に会えるのもオールジャパンの楽しさである。


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