現地レポート

越えるべき山に挑むRSS

2012年12月23日 22時49分

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ある登山家が山に登る理由を問われて「そこに山があるからだ」と答えたそうだ。もしそうであるなら、高校生プレイヤーたちは自らが成長する理由を「そこにアイツがいるからだ」と答えるのかもしれない。


男子1回戦の好カードと言われた岐阜・美濃加茂と香川・尽誠学園の一戦は[77-113]という大差で美濃加茂が敗れた。尽誠学園には越えるべき「山」ともいうべき身長197センチの#7渡邊雄太がいる。その渡邊に、男子U-18日本代表のチームメイトであり、美濃加茂のエースセンターでもある#8赤土裕典が挑んだ。


「渡邊は身長が大きくて、ドリブルが器用で、それでいて当たりに弱いわけでもない。本当に素晴らしい選手だと思っています。今日の試合では途中、自分から渡邊を守ることを志願しました。チームの中心選手である渡邊をどれだけ止めるかでチームの雰囲気もガラリと変わると思ったからです。自分で志願した以上、必死で守ったつもりです。」


2年生センターの#13武藤崇正もまた、ベンチからコートに出ていき、渡邊の高さに挑んだ。


「いい経験ができました。練習で教えられていたテクニックをこれまでは実戦でうまく使えていなかったけど、渡邊さんを相手に思い切ってやってみようと思ってプレイしたら、少しだけですけど手応えを得ることもできました。」


結果として越えることはできなかったが、得ることもあった。それはほんの少しの手応えだが、その小さな手応えこそが今後に生きてくる。赤土は関東の大学に進学し、武藤はチームに残る。渡邊の去就はわからないが、ともにいつかは渡邊を越えたいと思っている。


その渡邊にもまた越えるべき山がある。昨年より1つ上の世界である。そのためにはまず夏に敗れた埼玉・正智深谷という山を踏破しなければならない。越えるべき山があることは男たちをまたひとつ大きくさせる。


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