現地レポート

あきらめない男たちRSS

2012年12月24日 22時40分

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あきらめたら、そこで試合終了だよ――バスケットボールファンならば誰もが知っているだろう漫画『スラムダンク』(井上雄彦・集英社)のキャラクター、安西先生の言葉である。その言葉を地で表したチーム同士の戦いは、残り3秒で決着を見た。茨城・土浦日本大学山形・県立山形南の対戦である。

終始試合を有利に進めていた土浦日本大学だったが、残り8秒で山形南に逆転を許してしまう。[76-77]。土浦日本大学、タイムアウト。そこでの佐藤豊コーチの指示は「思い切ってシュートまで持っていけ!」というもの。動きの指示ではなく、最後は選手の勝ちたい気持ちに託したのである。

決勝のジャンプシュートを決めた#4九々堅伍は言う。
「この1年間、自分がキャプテンをやってきたので、最後は自分が決めてやると思って打ちました。」

そのとき山形南ベンチは九々を中心としたアウトサイド陣の1対1を予測していた。山形南のキャプテン、#4柏倉哲平は言う。

「何がなんでも守りたかったので、みんなで声を出して苦しいシュートを打たせようと話していました。アウトサイド陣が1対1をしてくるだろうと思っていたのですが…最後は詰めが甘かったです。」

どちらか一方が「やられた…終わった」と思ったら、そこで試合は終わっていた。でもあきらめの悪い男たちは最後まであがいた。あがき続けて、1点差のゲームを作り出したのである。

ここに来るまでには伏線もあった。チームの精神的支柱である柏倉は第2ピリオドで4つのファウルを犯して、ベンチに下がっていたのだ。

「後輩が必死でつないでくれていたので、後半は自分が責任を持ってやってやろう、自分でやってやろうという気持ちでベンチから声を出していました。」



その言葉どおり、後半、あと1つファウルを犯したら退場という緊張感の中、我慢に我慢を重ねて、残り8秒の逆転シーンを作り出す。その前に一度同点に追いつくアシストを出したが、受け手がシュートを落として流れを引き渡してしまったが、それでもまだ行ける、逆転できると信じていたという。

「あの場面でシュートが外れても、地道にディフェンスをやり続けて、リバウンドを取って、走るバスケットをすれば自分たちの流れが来ると信じていたので、まだ行けると思っていました。」


あきらめの悪い男である。ただ柏倉と同じくらいあきらめの悪いキャプテンが相手チームにいた。それだけのことである。

あきらめたら、そこで試合は終わる。裏を返せば、あきらめなければ、試合は終わらない。その場の試合は終わっても、あきらめなかった事実がこれからの人生に生きてくるのだ。勝ち負けの差は出たが、土浦日本大学と県立山形南のあきらめない気持ちにはまったく差がなかった。

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