現地レポート

もう一度、明日…RSS

2012年12月28日 19時53分

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「強いチームが勝つのではない。勝ったチームが強いのだ」――スポーツの世界でよく聞く言葉だ。


ウインターカップ直前の練習試合では15点差で京都・洛南が勝っていた。敗れた香川・尽誠学園の色摩拓也コーチは、点差以上に完敗だと感じていたという。しかし選手たちには「実力が上の者が勝つとは限らないのが全国大会。負けたくない気持ちや一発勝負のプレッシャーに打ち勝てるようにしなさい」と伝えていた。その結果が[66-63]の勝利に結びつき、2年連続の決勝進出となったのである。


「ベスト4まできたら何が起こるかわかりませんし、昨年も尽誠学園に練習試合で勝って、ウインターカップでも勝てるという思いで対戦して負けました。だから今年は油断をせずに自分たちのできることを全力でやろうと最初からみんなで決めていました。」


敗れた洛南のキャプテン、#4河合祥樹は尽誠学園戦をそう振り返る。その言葉どおり油断はなかった。大会前に怪我人は出たものの、チームの状況は決して悪くなかった。モチベーションも高かった。だが最後の詰めが甘かったと河合は認める。


「第1ピリオドから渡邊(雄太)くん以外のところでやられないようにということと、全員でリバウンドを取ろうというところを意識していました。でも第3ピリオドの初めから渡邊くんや川上(潤平)くんに以外のところでリバウンドを取られたり、ルーズボールで負けたことで気持ちよくスタートが切れなかった…絶対に徹底しなければいけないことをできなかったことがこの結果になったのだと思います。」


リバウンド、ルーズボールへの不徹底。そのことに河合自身も徐々に心を乱され、最終盤の雌雄を決する場面で2度シュートを外している。1本は渡邊にブロックされ、もう1本は「まっすぐ打つことだけを意識して打って、自分では入ると思ったシュートが外れた。


河合は夏のインターハイ決勝で勝負強さのなさを露呈した。それを試合直後に自分でも認め、冬までに克服したいと言っていた。


「夏以降、できるだけのことはやってきました。インターハイではシュートが入らなかったり、詰めが甘かったり、ミスが多かったりしたので、今回は常に集中して、これまでは『外れてもいい』くらいの気持ちでシュートを打っていたんですけど、今回は一本一本を大切に、全部決める気持ちで打ちました。その結果、つなぎの部分では決めることができたので、そこは夏よりも成長できたところだと思います。」


だが今日も最後の重要な場面で決められなかった。そのことには悔いが残る。


「今日でこの負けは切り替えて、明日は銅メダルであってもメダルを持って帰りたいと思います。」


準決勝で負けた選手が気持ちを切り替えるのは簡単ではない。だがウインターカップの協賛企業であるナイキの創始者、フィル・ナイトは言っている――チャレンジしなかったら、成功するかどうかさえわからない。


気持ちを切り替えて、本気でチャレンジをすれば、勝敗以上の何かをつかめるはずである。明日、もう一度…


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