現地レポート

トップリーグとしてシード枠を奪還せよRSS

2013年01月02日 17時33分

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前回大会ベスト8チームには、3回戦から出場するシード枠が与えられる。男子はJBL勢がその枠を全て確保しているが、女子はトップリーグであるWJBLが6つしか埋められていない。昨年は、インターハイ優勝校・神奈川県立金沢総合高校が秋田銀行を、インカレ準優勝・大阪人間科学大学が新潟アルビレックスBBラビッツをそれぞれ破り、ベスト8進出を決めた。その結果により今大会のシード枠には、WJBL上位4チームとともにインターハイ優勝校・桜花学園インカレ優勝校・大阪体育大学が割り振られ、明日の3回戦から登場する。


大阪体育大学との対戦を決める女子2回戦。関東ブロック予選を勝ち抜いた山梨学院大学を相手に、WJBL9位のトヨタ紡織 サンシャインラビッツが[57-52]と、辛くも初戦突破となった。不甲斐ない内容に、トヨタ紡織の司令塔#21渡邊 佳恵は、「試合前のウォームアップの時からダラダラしており、見かねたキャプテンが一喝したのですが、それでも締まらず、それが前半に出てしまいこういう結果になってしまいました。もっと点数を離して勝つべきだったし、できればベンチにいるみんなをコートに立たせたかったです」と話し、その後も出てくる言葉は反省点ばかり。


トヨタ紡織は昨シーズンW1リーグ1位(WJBL全体で見ると9位)、1シーズン制となった今シーズンも同じく9位。プレーオフ進出を逃したことで、既に今シーズンのWリーグを終えている。そのため、オールジャパンがトヨタ紡織にとって今シーズン最後の公式戦となる。 「1リーグ制になったことで、JXサンフラワーズという全ての面で上回る強豪と対戦することができ、すごく勉強になりました。その経験のおかげでリーグ戦では、トヨタに1勝することもできたと思っています。今大会も準々決勝で(JXと)当たる可能性があるので、どれだけ良い試合ができるかを試したいですし、チームとしても、個人としても成長したいです」と、渡邉は話している。


しかしその前に、シードで登場する大阪体育大学を倒さなければならない。その大阪体育大学出身の選手が4人いるトヨタ紡織。渡邊もその一人だ。 母校との対戦を前に、「インカレを優勝しましたが、毎年母校の目標はインカレ優勝ではなく、オールジャパンでベスト8に入ることやWJBLチームに勝つことであり、私たちの代もずっとそう言われ続けてきました。プレッシャーはあります。逆のベンチに中大路先生がいるのもまた恐いです」と、本音を吐いた。



トヨタ紡織・中川文一ヘッドコーチは、オールジャパンで13度(シャンソン化粧品を2度の4連覇を含む10回、富士通で3連覇)もチームを頂点に導いた名将である。 しかし、試合を終えた後のコメントは歯切れは悪かった。「弱いのか、自信が無いのか、よう分からんが、今シーズンは今日のような試合が多い。練習してきたことを強い気持ちで、前向きに出せるようになり、もっと逞しくなって欲しい」と、チームのメンタルの弱さを嘆いた。


 



あのウォルト・ディズニーの言葉に──現状維持では、後退するばかりだ──という名言がある。


2年連続WJBLを9位で終え、昨年のオールジャパンではJXサンフラワーズに3回戦敗退。明日、大阪体育大学に敗れれば、全てが現状維持となる。すでにWリーグのシーズンを終えたチームにとって、来シーズン開幕までの長い間、真剣勝負から遠のくことを考えても、実力が後退する可能性は否定できない。


「もう一度、JXサンフラワーズと対戦して成長したい」と言った渡邉はその言葉の前に、「(大阪体育大学の)先輩として意地でも勝ちたいです」と、強い言葉を残していた。 そして、名将は言う。「学生に負けてはいけない。まがいなりにもトップリーグのチームなのだから──」


WJBLチームがシード枠を奪い返すためにも、トヨタ紡織が現状を打破しなければ始まらない。


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