現地レポート

夢をあきらめないキミへRSS

2013年01月04日 16時11分

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手前みそになるが、当協会では中学生の育成プログラムとして「U-15トップエンデバー」を毎年開催している。その原点をたどっていくと、名目こそ違うものの大神雄子(JXサンフラワーズ)が中学3年生のときが初代となる。そこから約15年が経つわけだが、より多くの方々に知ってもらおうと公式サイトを立ち上げたのが5年前、今20歳の選手が中学3年生のときである。


大学6位・白鴎大学2年の鶴見彩(20)は5年前のU-15女子トップエンデバーの中心にいた。抜群のボールハンドリングと視野の広さを生かした正確なアシスト、得点能力も高く、バスケットに対する姿勢までも指導するコーチングスタッフ陣は認めていた。2年後に行われることが決まっていた「第1回FIBA ASIA U-16女子バスケットボール選手権大会」に「鶴見がいれば、もっといいチームが作れるのでは」と言われていたほどだ。


しかし当の本人は、そういった指導者の思いとは違う感覚を抱いていたと明かす。


「U-15トップエンデバーでは自分ができることではなくて、できないって感じたり、通用しないって思えたことがプラスでした。確かにコーチングスタッフが自分のことを認めてくれているのは感じていましたけど、実際のところ身体能力は1つ年下の子のほうが高かったし、体格も下の子のほうがよかった。注目されるのも自分たちの代というより下の子たちというなかで、最上級生してプレイしなければいけないことにプレッシャーも感じていました。コーチングスタッフが自分を認めてくれるのはバスケットの技術ではなく、人間性を認めてくれているんだろう、そうだとしたら私は下の子たちよりも劣っているんじゃないかって考えたりしていました。」


あれから5年。オールジャパンでの鶴見は、怪我のキャプテン・宮崎優子の代わりにスタメンに抜擢され、WJBL12位の山梨クィーンビーズ、大学2位の早稲田大学を破る一翼を担ってきた。3回戦のトヨタ自動車アンテロープス戦は[55-121]と完敗を喫したが、最後までコートに立ち続け、中学のときと変わらぬ視野の広さを見せていた。


「高校を卒業するとき、できればWリーグに行きたいという思いはあったんですけど、声はかかりませんでした。これはもっと修行をしなければいけないんだろうなと思って、声をかけてくださった白鴎大学に進むことにしました。」


同大学からWリーグに進んだ先輩はいる。今日の対戦相手、トヨタ自動車の藤井美紀もその一人だ。鶴見もまだWリーグ入りをあきらめたわけではない。


「今度こそ声がかかるように、あと2年間、しっかりと修行を積んで頑張ります。」


そう笑顔で話す鶴見に、昨年亡くなったアップル社の創業者であるスティーブ・ジョブスの言葉を贈りたい――点と点のつながりは予測できません。あとで振り返って、点のつながりに気付くのです。今やっていることがどこかにつながると信じてください。


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