現地レポート

日本最高のセンターが見た金沢総合高RSS

2012年01月05日 18時21分

今、日本の女子バスケット界で一番安定感のあるセンターと言えば、デンソー アイリスの高田真希選手でしょう。現在中断しているWリーグでも得点ランキング1位を筆頭に、主要8部門中5部門でトップ5に入っています。昨年8月に行われた「第24回FIBA ASIA女子選手権 長崎/大村大会 兼 2012年ロンドンオリンピックアジア地区予選」にも女子日本代表選手として出場しています。


その高田選手がこう言っていました。


「同じベスト8のチームなので実力のあるチームですし、この舞台に立っている以上、自分たちと立場は同じなので、そのへんは遠慮することなく、デンソーのバスケットと自分のプレイを思いきりやろうって思っていました」


今日、高田選手擁するデンソーと対戦したのは、高校としては49年ぶりにオールジャパンのベスト8に進出した神奈川県立金沢総合高校。結果としては【86-62】でデンソーが勝ちました。高田選手も両チームトップの31得点を挙げています。「ライオンはウサギを捕まえるのにも全力を尽くす」と言いますが、まさに高田選手は普段のWリーグでのプレイとまったく変わりなく、その実力を県立金沢総合高にまざまざと見せつけたのです。


高田選手は県立金沢総合高について


「足が本当によく動いていて、ウチのルーズボールもほとんど相手に持っていかれたし、本当に(インターハイの)チャンピオンチームだなと感じました」


と言っています。積極的なルーズボールやリバウンドは今年度の県立金沢総合高の持ち味の一つでした。以前にも書きましたが、彼女たちはリバウンドを圧倒してインターハイの決勝戦を制しているのです。それは相手がWリーグの3位だろうが変わりありません。


そして高田選手は県立金沢総合高のエース・宮澤夕貴選手についても言及しています。


「ハイポストにフラッシュしてからのプレイが多かったんですけど、ボールを持ったときの駆け引きというのは自分も守っていて嫌だったし、何本もフリーで打たせてしまったので本当にうまいなと思いました。私が言える立場ではないですけど、自分としてもやっぱり若い選手には負けたくないですし、もし(女子日本代表チームで)一緒にやれることがあればいい刺激にもなると思います」


その一方で今日のゲームに関していえば、チームの作戦だったのかもしれませんが、宮澤選手がもう少しインサイドでパスを受けていたら、守っていても嫌だったかなと高田選手は言っています。


「ハイポストでのプレイができるからか外、外のプレイが多かったように思います。もう少しポストでボールをもらったら、周りにもいいシューターがいたので、いいアシストもできたんじゃないかなと思いました」


今後、女子日本代表チームで同じユニフォームを着ることがあれば、そういったさまざまことも――もちろんWリーグや日本代表になれば宮澤選手のポジションは大きく変わると思いますが――学べると思います。もちろん、宮澤選手だけではなく、すべての県立金沢総合高の選手は大きな可能性をまだまだ秘めています。この経験を次のステージに生かしてほしいと思います。そして宮澤選手には、今年度のメンバーの中で一番女子日本代表に近い選手ですから、これからもっともっと精進して、女子日本代表チームを引っ張る存在になってもらいたいと思います。


最後に蛇足ではありますが、この試合が県立金沢総合高の星澤純一コーチのラストゲームになりました。高校女子バスケット界で公立高校の指導者として最後まで戦い抜いた姿勢には本当に頭が下がります。


試合終了後、卒業生でもあるデンソーの小畑亜章子選手から花束が贈呈されたのですが、そのとき同校の卒業生ではないデンソーの選手が星澤コーチを囲んで、感謝のお礼をしていました。高校は違えども、これだけ慕ってくれる選手がいることは指導者冥利に尽きるでしょう。本当にお疲れさまでした。


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