現地レポート

勝負の鍵を握る2人のシューターRSS

2012年01月08日 13時15分

オールジャパン2012も佳境を迎えています。本日は女子の決勝戦、【JXサンフラワーズ×デンソー アイリス】がおこなわれます。JXは5年連続27回目の決勝進出で、4年連続17回目の優勝を目指します。デンソーは初の決勝戦進出で、初優勝を狙います。今シーズンの対戦成績はJXの3勝1敗ですが、一発勝負のトーナメントですから何がおこるかわかりません。鍵を握るのは2人のシューターではないかと思います。


デンソーのシューターは昨年の8月に長崎県大村市で開催された「第24回FIBA ASIA女子選手権 長崎/大村大会(以下、アジア選手権)」の日本代表であり、このオールジャパン2012からチームに戻ってきた大庭久美子選手です。大庭選手はアジア選手権の最終日、3位決定戦のチャイニーズタイペイ戦で眼底骨折をして、Wリーグの前半戦を棒に振っていました。しかし手術とリハビリを乗り越えて、昨日のトヨタ自動車 アンテロープス戦ではスタメン出場をしています。そして3Pシュートを5本沈めて、チームの勝利に貢献しています。


「今までチームとしてやってきたことをすべて出し切ろうという気持ちでやりました。(怪我からの復帰ということで)多少は不安もあったけど、練習でも徐々に上げて実践にも入っていけたので、強い気持ちを持って戦えました」


と言っています。そして初の決勝に向けて、こう続けます。


「いつもどおり自分のリズムで、動きからチャンスができたら3Pシュートを打っていこうと思います。アウトサイドからも打っていかないと、相手にも高田(真希選手)のところに寄られるので自分が外からの3Pシュートトを打つことと、走ることをしっかりやっていきたいと思います」


デンソーは、大庭選手と同じくアジア選手権の日本代表だった高田選手が軸になっているチームだけに、大庭選手のアウトサイドシュートがゲームの展開を大きく左右しそうな気がします。


デンソーに高田選手がいるように、インサイドに核がいるのはJXも同じです。渡嘉敷来夢選手をはじめ、諏訪裕美選手、間宮佑圭選手など日本代表クラスのインサイド陣を多く抱えています。インサイドだけではなく大神雄子選手、吉田亜沙美選手といった世界レベルのガード陣もいます。それらのメンバーを見たときに、強いて弱点を挙げれば3Pシュートの力が少し落ちるということでしょう。その穴を埋めるのが本田雅衣選手です。


東京成徳大学高からJX(当時はJOMO)に入った4年目のシューティングガードですが、高校時代はどちらかといえばスラッシャー、つまりドライブで得点をあげるタイプの選手でした。本人も「元々シュートがすごく下手なので…まだまだ練習中です」と笑っています。しかしJXに入ってから本格的に3Pシュートに取り組み出しました。それこそ「シュートフォームから変えて、すべてやり直しました」と言います。そして昨日のシャンソン化粧品 シャンソンVマジック戦でも3本の3Pシュートを決めているのです。決勝戦に向けて、本田選手は言います。


「この大会、自分的にはシュートタッチがもう1つしっくりきていないんです。でもベンチにいるチームメイトやコーチが『とりあえず打っていけ』と言ってくれるし、落としてもリバウンドを取ってくれるので、決勝も思いきり打つってことは意識してやろうかなと思っています」


アウトサイドのシューターはよく、最初の1本目が入ると波に乗ると言われます。逆に最初の2~3本を落とすと「この試合ではシュートが入らないのではないか」と考え、シュートを打たなくなることがあります。本田選手は特にその傾向があると自己分析しています。今日の決勝戦では強い気持ちで打ち続けられるかどうかがポイントになりそうです。


ガードやセンターにスター選手が揃っていて、ついその選手たちに注目が集まりがちですが、2人のシューターによる「シュート合戦」にも注目してみたいと思います。


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