現地レポート

3年間貫いた「限りなき挑戦と前進」RSS

2013年12月23日 20時17分

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「全国のレベルがわかっていませんでした…」


東海大学付属第四(北海道)に[94-107]で敗れた県立小林(宮崎)の岩松 永太郎選手が言う。前回、前々回と2年連続でウインターカップを制していた延岡学園を倒して、今大会に宮崎県「1位」で乗り込んできた県立小林のキャプテンである。だが彼、もしくは彼らが本当にわかっていなかったのは「全国のレベル」ではない。なぜなら延岡学園も、それを倒した県立小林も全国レベルのチームだからである。もし県立小林の選手たちがわかっていなかったとすれば、それは全国に東海大学付属第四をはじめとした、さまざまな“スタイル”のチームがあることだ。


県立小林はディフェンスに自信を持っていた。あの延岡学園の攻撃を食い止めたディフェンスなのだから、全国でもある程度は通用する。そう思っていたに違いない。それはある一面で正しいが、ある一面では間違っている。それが全国大会のなかでも最もレベルの高いといわれるウインターカップなのである。


「今大会はディフェンスで勝負をしようと考えていました。でも今日のゲームは最後までそのディフェンスが機能しませんでした。1対1をやられて、それを守ろうとすると合わせのプレイをやられてしまう。1対1も、そこからのパスセンスも、そしてシュートセレクションも東海大四のほうが一枚上手でした」


石川 祐二コーチも、延岡学園にはない東海大学付属第四のうまさに脱帽といった様子だ。


それでも、繰り返しになるが、延岡学園を倒して今大会に出場してきたことは、彼らの努力のたまものである。そのことを忘れてはいけない。


さまざまな面で苦しんだ今年の延岡学園であったが、それでも全国制覇への過程をつぶさに見てきた選手たちが多数いる。そうしたチームに勝つのは簡単ではない。現に今シーズンの初戦は県立小林が20点近く離されて大敗しているのだ。


「でも4月に2回目の対戦をしたときに勝って、それが自信になりました」


岩松選手がそう言うように、たった1度の勝利が彼らに転機となり、そこで得た自信がウインターカップ出場の扉をこじ開けることになる。


これは彼らにとって大きな財産である。ただ、もし3年生たちが母校をもっと「どげんかせんといかん」と思うのなら、自分たちが肌で感じた全国のレベルを後輩たちにしっかりと伝えてほしい。それがチームの伝統となり、新たな歴史を築く第一歩になるのだから。チーム横断幕の1つにもある「限りなき挑戦と前進」を3年間してきた彼らなら、それができるはずである。



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