現地レポート

ピンチはチャンスRSS

2013年12月25日 19時55分

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苦しい展開を打ち破ったのは1年生だった。といっても、並みの1年生ではない。スーパールーキーである。だが、これまた表現が難しいのは、中学時代は決して全国的な脚光を浴びていたわけではない。つまり静かに研ぎ澄まされていた才能を、高校で一気に表へ出したスーパールーキーと言っていい。福岡大学附属大濠(福岡)の牧 隼利選手である。


ウインターカップ3日目、優勝候補の1つである福岡大学附属大濠は土浦日本大学(茨城)を[88-68]で破り、3回戦進出を決めた。土浦日本大学は福岡大学附属大濠が苦手と言われてきたゾーンディフェンスを敷き、攻撃ではエースの山崎 拓選手が積極的に1対1を仕掛けてきた。その思い切りのいい攻撃に福岡大学附属大濠のキャプテン・青木 保憲選手、切り込み隊長の葛原 大智選手がともにファウルトラブルに陥り、ベンチに下がることを余儀なくされてしまう。


傍から見ると福岡大学附属大濠の苦しい状況なのだが、牧選手は笑って言う。


「僕はいつも、3年生を押しのけてでも試合に出たいと思っているので、あのときはラッキーと言えばラッキーでした」


片峯 聡太コーチも「一言でいえば、相当負けず嫌いな選手」と認めるほどのルーキーは、チームの苦境をむしろ楽しんでいた。さらに片峯コーチは牧選手をこうも評する。


「安定感という意味ではスタメンで出してもいいくらいなんです。でも牧がベンチにいることで青木も葛原もアグレッシブにプレイできる。今日のようなファウルトラブルになったときでも安心して出せる選手です」


スタメンでも、シックスマンでもどちらでも使える、いわば二刀流。今日の土浦日本大学戦では、その片峯コーチの信頼に応えた形になる。


もう1つ付け加えれば、牧選手は今年度の男子U-16日本代表の主力でもある。男子U-16日本代表は9月末にイランで行われた「第3回FIBA ASIA U-16男子バスケットボール選手権大会」に出場し、来年の「第3回FIBA U-17男子バスケットボール世界選手権大会」への切符を初めて手に入れている。


「アジア選手権に出て、体を強くする意識が芽生えました。それは今日の試合でもリバウンドなどで出せたと思います」


だが、これで終わりではない。ここからさらに戦いは厳しくなるのだ。負けず嫌いの牧選手にとって、インターハイのように再び途中で負けることは許しがたいに違いない。


「3年生に負けないプレイをして、絶対に日本一になります」


この勝利から福岡大学附属大濠と、スーパールーキー・牧隼利選手の勢いが加速する。


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