公益財団法人日本バスケットボール協会

　今年8月23日〜28日の期間、和歌山県にて4年ぶりとなる「日・韓・中ジュニア交流競技会」が開催されます。女子U18日本代表候補選手の選考会ならびに継続的な強化の一環として、3月10日(金)〜12日(日)に味の素ナショナルスポーツセンターにてエントリーキャンプを実施しました。

　今キャンプに対し、「昨今はオンボールが主流のバスケットスタイルですが、あえて今回はそこをほぼ使わずにオフボールの動きやスクリーンをテーマに強化しました」という藪内夏美ヘッドコーチ。選手にとっても慣れているボールを持ってからのプレーではなく、「あえてボールのない動きで判断することの難しさとともに、その楽しさを知ってもらいたい意図がありました」。オフボールの場合はボールを持っている選手やスクリーナなど見るべき視点が増えます。そこをしっかりと見て判断できるかどうかを藪内ヘッドコーチは見極めていました。

　ボールを持っていない選手は、スペースを広げるために動くことが求められます。しかし、藪内ヘッドコーチは「それ以上に待つことが重要です。アクションさせることよりも、実は待たせることの方が教えていても難しかったです」と話し、ボールマンをサポートするためにも待つことを意識づけします。高瀬ゆのか選手（聖和学園高校2年）は「これまではボールを持っていないときに、ボールマンに近づいて行ってしまっていました。今回、待つことを学べたことは良かったです」と吸収していました。

　今キャンプに候補選手として選出された24名のうち、半分の12名が昨年のFIBA U16女子アジア選手権やFIBA U17女子ワールドカップ出場経験者です。高瀬選手は昨年の選考合宿にも参加しましたが、残念ながら日本代表のユニフォームを勝ち獲ることはできませんでした。しかしその後、「何が足りなかったのかを見直したことで、少しずつ3ポイントシュートの確率も上がってきました。また、トレーニングにも力を入れ、ボックスアウトではフィジカルで負けなかったことが良くなったかなと思いました」と話しており、スタンダードを引き上げて努力した成果を披露します。

　女子U16日本代表と女子U17日本代表の両方に選考され、さらにFIBA 3×3 U18ワールドカップにも出場した東紅花選手（福岡大学附属若葉高校2年）。唯一、昨年だけで3つの国際大会を経験しました。159cmと一番身長が低い東選手ですが、「ディフェンスでは海外の大きな選手に対しても、怖がらずに前からしっかりプレッシャーをかけていく自分の持ち味を出すことができました」と自信を得ています。逆にオフェンスでは、「ドライブからシュートに行ったときに、最後のフィニッシュが悪くてブロックされてしまうことが多かったです」と日本では味わえない感覚を課題として持ち帰りました。

　藪内ヘッドコーチもフィニッシュ力の強化を強調します。今キャンプを通じて具体的な打開策を学ぶ機会となった東選手は、「最後のフィニッシュのときにそのままシュートへ行くのではなくステップを変えたり、もっとリングの近くまで行ってから一歩目を踏み出したり、しっかり表現できるようにしたいです」と話し、4度目の国際大会出場を目指します。

　今年、この世代のFIBA主催大会はありませんが、日・韓・中ジュニア交流競技会が開催されることで、「この年代にしか作れないチームとしての成果と成長、結果と経過の両方を求めていきたいです」と藪内ヘッドコーチは述べ、成長につなげていきます。

■2022年度バスケットボール女子U18日本代表チーム
　エントリーキャンプ（女子U18日本代表候補選手選考キャンプ）参加メンバー表
八木 悠香（京都精華学園高校2年）
下田 美希（埼玉栄高校2年）
絈野 夏海（岐阜女子高校2年）
ドウォーナ 吉田 ニコリー（名古屋経済大学高蔵高校2年）
東 紅花（福岡大学附属若葉高校2年）
渡部 結（昭和学院高校2年）
福王 伶奈（桜花学園高校2年）
志摩 香奈子（四日市メリノール学院高校2年）
岡崎 真依（土浦日本大学高校2年）
黒川 心音（桜花学園高校2年）
殖栗 佳穂（昭和学院高校2年）
島袋 椛（大阪薫英女学院高校2年）
大上 粋奈（広島県立広島皆実高校2年）
高瀬 ゆのか（聖和学園高校2年）
田中 こころ（桜花学園高校2年）
鈴木 花音（明秀学園日立高校2年）
平山 真穂（岐阜女子高校2年）
角 陽菜多（千葉経済大学附属高校2年）
山田 英真（桜花学園高校2年）
松本 加恋（桜花学園高校2年）
堀内 桜花（京都精華学園高校2年）
白石 弥桜（桜花学園高校1年）
深津 唯生（桜花学園高校1年）
内田 理香（聖和学園高校1年）