現地レポート

はじめてのウインターカップRSS

2011年12月23日 21時45分


「このままでは終わりません」。初出場の高知・高知中央の木伏智久コーチは囲み取材の最後をそう締めくくりました。


大会初日の今日、ウインターカップに初めて出場する13チームのうち、8チームがその舞台に立ちました。結果からいうと3勝5敗、つまり3チームが2回戦に進み、5チームが敗れていきました。



 



高知中央も敗れた5チームの1つ。同校の木伏コーチはこうも言っています。


「県内でやっているときには(リードを奪われていても、その相手を)捕まえられるところが、全国大会では捕まえられそうで、逃げられる。これがウインターカップなのかなとも感じました」


高知中央としてはオフェンスには自信を持っていたそうです。木伏コーチもその計算を立てていました。しかしウインターカップという真の日本一を決める大会のなかでは、その計算が狂ってしまうものです。エースの得点が伸びず、これまで幾度となくチームの流れをつないできたキャプテンの3ポイントシュートも今日はなりを潜めてしまった。


「これも全国大会かなと。子どもたちには失礼ですけど、私自身勉強させてもらいました。今度は全国で勝つバスケットを考えていかなければいけないと思います。今日の負けは私の責任です」


高知中央というのは、今、高知県内で唯一生徒数が伸びている高校だそうです。勢いがある。その勢いに乗じて、これからどんなチームに変わっていくのか、彼らの「JX-ENEOSウインターカップ2011」は終わりましたが、今後が楽しみです。高知県には明徳義塾がいますし、同じ四国には香川・尽誠学園という強豪校もいますので、彼らと切磋琢磨しながらレベルアップしていってもらいたいと思います。


宮城・聖和学園といえば女子の強豪校として全国にもその名を知られていますが、実は今大会、同校の男子バスケット部が初出場を果たしています。結果は【95-78】で長崎・西海学園に勝利、2回戦に駒を進めました。




 




「初戦突破が一番難しいことを、私自身が高校のときに経験していたので、選手たちが硬くならないようにミーティングなどでもおもしろい話をするようにしていたのですが、やはり試合になると選手たちは硬さが出てしまった。だから試合の途中から伝え方を変えてみたら、徐々に硬さがとれてきて、なんとか後半は聖和らしさが出てきたかなと。初戦を突破する難しさを自分がわかっていてよかったなと思います。もしかしたら前半のまま行ってしまったかもしれないので…」


そのように言う聖和学園の阿部昭弘コーチは、宮城・仙台高校の選手としてウインターカップを経験しています。高校時代の経験が、コーチになった今、生きたというわけです。しかも恩師である佐藤久夫コーチ率いる明成を宮城県予選の準決勝で、今年のインターハイに出場した東北学院を決勝で破っての出場です。


「宮城代表としてのプレッシャーはボクだけがすごく感じていました。だから変なバスケットをしたら帰れないなと。ましてや恩師に勝って出場を決めた大会なので、やはり恥ずかしい内容では終われないと思っていました」


激戦区を勝ち抜いたという自負と、そのプレッシャーに打ち勝ったことで、ウインターカップの壁を乗り越えたのでしょう。もちろん東日本大震災を乗り越えたことも彼らの――それは聖和学園だけではなく、影響を受けた東北の高校すべてにいえることですが――最後まで戦う力になったのではないでしょうか。


明日は男子の残り5校と、女子で1回戦を突破した相模大学女子と郡山商業が、今大会の初出場組としてコートに立ちます。どんな結果になるにせよ、自分たちのバスケットを最後まで、たとえ計算外のことが起きたとしても、やり抜いてもらいたい。初出場組がウインターカップの舞台にのみ込まれず、ノビノビと戦うことを祈っています。


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