現地レポート

名門・桜花学園のキャプテンとしてRSS

2011年12月24日 18時38分

「JX-ENEOSウインターカップ2011」の2日目も半分の試合を終え、女子のベスト16が出そろいました。例年だとシード校のうち何チームかが波乱に巻き込まれるのですが、今年のシード校は初戦の怖さをよくわかっているのでしょう、順当にベスト16に進みました。もちろん完璧な試合運びというわけではありませんが、これから徐々にペースを上げていくのでしょう。



そのなかで少し気になったのが女王、愛知・桜花学園です。ベンチから井上眞一コーチが何度も声を張り上げる場面がありました。「絶対的な女王」という数年前の風格は、少なくとも今大会のチームからは感じられません。それでも負けない、どんなに内容が悪くても2回戦で負けるようなことはないところは「さすが桜花」です。


試合後、そんなチームをまとめるキャプテンの三好南穂選手に少し話を伺うことができました。三好選手は下級生主体になっている今年のチームで、唯一3年生としてスタメン起用されている選手です。


「今日のゲームはもっと最初から離すようなゲーム展開にしたかったんですけど、先生(井上コーチ)のやりたいことを自分が今、コートのなかでやりきれていないんです。そういうところが今日も離せなかった原因だと思います。今年の桜花学園は1年生が中心のチームということもあって、その1年生が思いきりプレイするのはいいことだと思っているんです。でもそこでやりすぎるときに自分が『待て!』とブレーキをかけなければいけないんですけど、それができていない…」


名門・桜花学園のキャプテンというのは、我々が想像する以上にプレッシャーのかかる立場なのでしょう。しかも最上級生でありながら、今年のチームは「自分たちの代」となかなか言いきれない。秋の国体で負けた後、井上コーチは負けた直後ということもあって、「(気持ちはすでに)来年、来年。これからは完全に下級生チームに切り替える」とまで言っていました。そう言われれば、3年生としても、キャプテンとしても悔しさがあるでしょう。



ただ秋の国体のときに比べると、ヒル理奈選手など他の3年生の出場時間が伸びてきています。高校生活最後の大会に向けて、少しですが桜花学園が変わってきたようにも見えました。


「インターハイのときに3年生がダメで下級生チームになっていくなかで、秋の国体ではまだ3年生が気持ちの切り替えができていませんでした。だからチームにも貢献できていませんでした。でもウインターカップに向けて、3年生がすごくよくなってきて、1年生がスタメンで出ていくにしても、そのあとにゲームを作っていけるようになっていると思います。特にこの1カ月くらい3年生がすごく集中できていて、チームみんなで勝つんだという気持ちになっています」




桜花学園は前身の名古屋短期大学付属高校時代を含めて、ウインターカップ(春の選抜を含む)で17回優勝しています。これは今大会出場している男女100チームを合わせてみても、男子の秋田・県立能代工業の20回に次ぐ記録です。


そして三好選手たちが1年生のときには、渡嘉敷来夢選手(現JXサンフラワーズ)を擁して優勝しています。昨年はメインコートの一歩手前、つまりはベスト8のところで東京・東京成徳大学に敗れています。優勝の喜びと、メインコートに立てない悔しさを知る三好選手としては、何としても優勝で高校生活を終えたいところでしょう。



「今年のチームは先生に怒られると少し暗くなるところがあります。だから本当は今日から調子を上げていかなければいけなかったんですけど、明日からもう一度切り替えていきたいと思います」


名門チームのキャプテンという重責を全うし、苦しかった日々を乗り越えたときに、また1つ大きく成長できるはずです。


桜花学園の巻き返しとともに、キャプテン・三好南穂選手がどうチームをまとめ上げていくのかにも注目です。

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