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【3x3AC2022 / 現地レポート①】3×3アジアカップ開幕 – 男子が予備予選を突破。女子とともに本戦出場へ

2022年7月7日

【アジアカップの初日、男子が 2 連勝】

 3×3 バスケットボール男女日本代表チームが出場する「FIBA 3×3 アジアカップ2022」が 7 月 6 日 にシンガポールで開幕しました。今大会は、参加希望チームが12チームを越えたため、本戦予選ラウンド参加のための予備予選を実施。女子はシードのため予備予選を免除されましたが、男子はこの日が初戦となりました。
 対戦相手はマレーシアとイラクです。3 チーム中 1 位のみしか本戦予選ラウンドへ進出できない条件の下、日本は 2 連勝で予備予選を突破しました。
 初戦のマレーシア戦では #23 保岡龍斗選手 (秋田ノーザンハピネッツ / SAITAMA ALPHAS) が 5 本の 2 ポイントシュートを決めてオフェンスをけん引。#91 落合知也選手 (越谷アルファーズ / ALPHAS.EXE) と #70 小松昌弘選手 (TOKYO DIME.EXE) によるコンビネーションプレーから得点も生まれ、ディフェンスでは #0 佐土原遼選手 (広島ドラゴンフライズ) のブロックショットも飛び出すなどして21-10で快勝しました。
 続くイラク戦はマレーシア戦から約 9 時間後となる19時45分 (現地時間) からとなりましたが、序盤から日本が圧倒します。保岡選手、落合選手がともに 2 ポイントシュートを決めるなど、スタートダッシュに成功。5 人制代表歴のある選手を擁したイラクのオフェンスに対しても粘り強いチームディフェンスと、小松選手や佐土原選手の好守で阻み、21-13で試合を締めくくりました。

【ワールドカップ苦戦の一因をチームで改善】

 今大会、落合選手は男子代表として「金メダル獲得」を目標に掲げています。ただ、6 月の「FIBA 3×3 ワールドカップ 2022」では 4 戦全敗に終わっています。アジア No.1 を目指す思いを抱きつつ、初日には少なからずプレッシャーもあったようです。保岡選手はイラク戦を終えて「通過点ではありますが、ワールドカップで 1 勝もできなかったので率直にホっとしています」とその気持ちを明かしました。

 チームとしての戦いぶりでは 2 戦合計で13本を決めた 2 ポイントシュートへ目が向きますが、選手たちは口々に「ディフェンスの重要性」を説きます。マレーシア戦後、保岡選手は、ワールドカップで 15-17 で食い下がったオランダ戦を例に挙げ「10分の間で相手に21点を取らせないディフェンスをやれば自分たちに勝機があると思います。ディフェンスで勝負するというマインドで試合に入りました」と話しました。今大会は相手に 2 ポイントシュートを打たせないように、守り方を改善した姿が見受けられますが、その背景とも言えるでしょう。
 また、3×3 の試合経験も大きな力になっています。ワールドカップではファウルトラブルに苦しみました。4 戦中 3 戦は相手へ自動的にフリースロー (2 本) を与えてしまう 7 個以上のファウルを犯し、苦戦の一因となりましたが、予備予選ではファウルトラブルを回避しました。奇しくもイラク戦のレフリーはワールドカップの日本戦を担当したレフェリーと同じという状況でもありましたが、佐土原選手は今大会前の準備で分析と対策があったことへ触れました。

「アジアカップに向けた練習で、代表スタッフと選手全員で話をしました。こういうプレーをやったら笛が鳴る。だから、そうさせないようにしよう。オフェンスのスクリーンをかける場面でファウルを取られる頻度が結構あったのでチーム全体で気を付けようなどです。そうした成果が (今大会の) 試合に少しずつ出ていることは、改善した結果だと思います」

【思いを背負ってコートで存在感を発揮】

 一方で、戦い方以外に目を向けると、男子代表は今大会、応援してくれる方々や仲間の思いを背負ってコートに立っています。昨夏の東京オリンピックで 3×3 の注目が高まったなか、今年のワールドカップで 4 連敗。齊藤洋介選手 (UTSUNOMIYA BREX.EXE) とは今大会に向けて代表活動をともにしていましたが、シンガポール渡航前に実施した PCR 検査で新型コロナウイルスの陽性反応が認められたため共闘が叶いませんでした。
 齊藤選手に代わって急遽追加招集された小松選手はマレーシア戦後、「(齊藤選手の思いも) 背負っています」と言葉を強め、「でも齊藤選手の代わりにはなれないので 僕自身の良さをしっかりとチームに落とし込むことが大事だと思っています。齊藤選手の関係者の皆さんもそうですし、僕も急遽召集されたため、色々な人のご理解やご協力があって代表活動に来ることができました。そういう人たちの思いも込めて、勝ったことは忘れて次の試合に向けてしっかりと準備をしていきたい」と胸の内を明かしていました。

 そして味方と息のあったプレーや、ディフェンスやリバウンドなど球際の争い、スクリーンなどチームが機能するための役割へ徹した小松選手。合流して間もないものの、落合選手、保岡選手とは2019年のワールドカップに共に出場した経験があり、昨年は東京オリンピックの代表選考で切磋琢磨した間柄でした。そんな小松選手に落合選手は「急遽入ったなかで自分の持ち味を出してくれて、さすがベテランだと思います。長きにわたって一緒にやってきた仲なので入ってもすぐできるということは感じました」と信頼を寄せています。

【8 日から男女そろって本戦予選ラウンドへ】

 3x3 男女日本代表は明日 8 日 (金) に本戦予選ラウンドへ挑みます。男女ともにチームの顔ぶれは今大会が初めてではありますが、それぞれに伸び代も大きく、可能性に溢れた布陣です。
 男子は、その片鱗を初日に見せてくれました。小松選手と初めての公式戦を迎えた佐土原選手も「予備予選から (アジアカップに) 入って試合をこなしたことは自分たちにとって本当に良い準備期間になりました」と、マレーシア戦とイラク戦を 4 人が成長する確かな機会と実感しています。
 また、女子代表も初の布陣となりますが、#6 今野紀花選手 (ルイビル大学) はアメリカの大学で実力を高め、さかのぼれば2018年の「第18回アジア競技大会」では 3×3 で銀メダルを獲得した一員です。#31 窪田真優選手 (桐蔭横浜大学) は今年 2 月に開催した「3×3 Next College Monsters Festival 2022」をきっかけに 3×3 を始め、成長著しい存在です。期待の大学生 2 人を、ワールドカップを経験した #32 永田萌絵選手 (デンソー アイリス) と #33 中田珠未選手 (ENEOSサンフラワーズ) が引っ張り、きっとチームとしてステップしていってくれることでしょう。

 本戦予選ラウンドで、躍動する 3×3 日本代表にご期待ください。