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車椅子バスケットボール男子日本代表チーム 平成28年度第1回強化合宿 -リオ2016パラリンピック競技大会へ向けて本格始動-

2016年5月31日

周りを生かすパスを出してチーム全体のレベルアップを図る藤本 怜央選手

「苦しいけど、楽しい」と話す香西 宏昭選手はチームに手応えを実感

 車椅子バスケットボール男子日本代表チームは、5月23日(月)~29日(日)までの期間、千葉ポートアリーナにて、第1回強化合宿を実施しました。
 合宿前日の5月22日(日)、一般社団法人日本車椅子バスケットボール連盟は「リオ2016パラリンピック競技大会」に出場する車椅子バスケットボール男子日本代表チームの内定選手を発表。目標が明確となった選手たちの集中力は高く、充実した合宿となりました。

 昨年10月にパラリンピック出場権を獲得したアジアオセアニア予選から7ヶ月が経過し、それぞれがレベルアップして戻ってきた今合宿。藤本 怜央キャプテンは、「足りないものを補う一方、これまで完成されたものを一度崩して、さらにレベルアップを図ることも必要です。今、できているものが本当にリオでも戦えるものかどうかをもう一度チームで考える時間を積極的に取りたいです」と話しており、あらためて自分たちのスタイルや長所を見極めています。
 「ここからチームづくりが始まり、スタートで出ているユニット1も、これまでの藤本選手と僕が得点を取るだけではなく、バリエーションを増やすことに努めています。千脇(貢/2.5)や豊島(英/2.0)、藤井(新悟/1.5)、石川(丈則/1.5)の得点シーンを作り上げる、もしくはそこを見逃さないことをすごく意識して取り組んでいました」とエースの香西 宏昭選手は話すように、選手の組み合わせ(ユニット)を試しながら、それぞれの力を引き出す練習が行われました。

 障害レベルの重い順から1.0~4.5の持ち点が定められ、合計14.0以内の選手しかコートには入れないのが車椅子バスケットボールのルールです。ハイポインターと言われる3.0~4.5の選手が得点源となるケースは多く、日本が誇る不動のエースは藤本選手(4.5)と香西選手(3.5)です。さらに、シューターの土子 大輔選手(4.0)に加え、新たに若手の村上 直広選手(4.0)を選出したことも得点力向上を目指すため。ただし、持ち点の合計14.0以内のルールにおいてはローポインターの役割も大きく、それを最大限生かす組み合わせを及川 晋平ヘッドコーチは考え、6つのユニットで強化を進めています。

 「リオでの7試合を想定すると5人だけで戦うことが無理なのは、この3年間を通して重々分かっています。例えばファウルトラブルやケガ、車椅子が壊れたなど、どんなアクシデントが起きても目の前の試合を戦っていける戦略や力を出せるように準備するところが始まっています。40分間を12人全員で戦えるようにするために、例えば藤本にトラブルが発生したときに香西だけでも戦えるユニットや、二人を同時に休ませるユニットなどを考えて、6つのチームを作ったという考え方です。それぞれのユニットのチームビルディングをさせながらどんな形であってもみんなで乗り越えていくことも一つの戦略です」

 今年3月に行われたカナダ遠征では、ドイツでプレイしていた藤本選手、香西選手、千脇選手を招集しませんでした。京谷 和幸アシスタントコーチは、「昨年のアジアオセアニア予選時は、ユニット1(藤本選手と香西選手の両方を使う組み合わせ)とユニット5(藤本選手と香西選手の両方を休ませる組み合わせ)を多く使っていました。ただ、ユニット5に対しての選手の信頼度はそれほど高くはなかったです。その後、ユニット5だけでカナダ遠征を行い、彼らがカナダ相手に勝ちきる力を証明しました。今合宿中も、ユニット5がユニット1に勝ってしまうこともありました。段々と選手の中でもユニット5の価値を見出しはじめています」と話しており、選手それぞれが自信を身につけ、チーム全体でのレベルアップが図れている証拠です。

 それぞれの組み合わせを洗練させていくためにも、「なかなか難しいのが現状であり苦しいですが、やっていて楽しく、これを乗り越えられたら日本はもっと強くなるという手応えは感じています。根気よく頑張っていきたいです」と香西選手は話し、殻を破るべくコミュニケーションを密に図ってチーム力を向上させています。

 先日、リオパラリンピックのスケジュールが発表されました。日本の予選リーグの対戦順はトルコ、スペイン、オランダ、カナダ、オーストラリアです。「どこでピークを持っていくかを踏まえ、ターゲットが絞りやすくなりました」と言う及川ヘッドコーチ。今後はスカウティングを強化していきながら、選手がいつでも映像を閲覧できるようにし、「次の合宿までの間にも情報共有できるようになることも、大きなステップにつながっていきます」と期待していました。藤本選手も、「初戦の相手がどこになるか気になっていました。トルコに決まりましたが、実際に対戦したことはこれまでない相手です。データを集めて、まずは選手の顔と名前をしっかり覚えることが重要です」と話しており、着実に本番が近づいており、残る3ヶ月で完成形を目指します。

 
■リオ2016パラリンピック競技大会
日 程:2016年9月1日(木)~20日(火)
開催地:ブラジル・リオデジャネイロ
参加国・組み合わせ:
【グループA】トルコ、スペイン、オランダ、カナダ、オーストラリア、日本
【グループB】イラン、アメリカ、イギリス、ドイツ、アルジェリア、ブラジル

■日本戦スケジュール
9月8日(木)  日本 vs トルコ
9月9日(金)  日本 vs スペイン
9月10日(土) 日本 vs オランダ
9月11日(日) 日本 vs カナダ
9月12日(月) 日本 vs オーストラリア
9月14日(水) 準々決勝
9月15日(木) 準決勝/順位決定戦
9月17日(土) 決勝/順位決定戦

■今後の強化スケジュール
6月20日(月)~6月26日(日) 能代山本スポーツリゾートセンターアリナス
6月27日(月)~7月7日(木)  イギリス遠征/2016コンチネンタルクラッシュ
7月25日(月)~7月28日(木) 清水ナショナルトレーニングセンター
8月24日(水)~8月29日(月) 千葉ポートアリーナ
8月30日(火) 日本出国予定
9月7日(水)  リオ2016パラリンピック競技大会 開会式