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男子U19日本代表:エントリーキャンプ開催報告「U16で学んだことをプロの中でも生かすことができた」菅原佳依選手

2021年3月26日

ケガから復帰した加藤陸選手の3ポイントシュート

岩手ビッグブルズで経験を積んだ菅原佳依選手

 7月3日よりラトビアにて開催予定の「FIBA U19 バスケットボール ワールドカップ2021(以下U19ワールドカップ)」への出場が決まった男子U19日本代表チームは 3 月22日 (月)~25日 (木) の期間、箱根高原ホテル体育館にてエントリーキャンプを実施。2017年に八村塁選手(現ワシントン・ウィザーズ)らが世界10位と活躍したとき以来、4年ぶり2回目の出場です。2020年1月まで活動ができていたU16日本代表候補とU18日本代表候補を合わせた30名を招集してスタート。大会へ向けた選手選考を重視し、男子U19日本代表が目指す方針やシステムを理解することに注力しました。

 U16とU18に続き、男子U19日本代表を指揮するのは佐古賢一ヘッドコーチ(※男子日本代表アシスタントコーチ)です。これまで強化してきた方針やシステムは変わりありません。コロナ禍によって1年以上も合宿期間が空いてしまったことで「最初は忘れていましたが、練習の時間を重ねることで選手たちも思い出し、2日目以降はこのチームの色を出しはじめてくれました」と佐古ヘッドコーチは話し、充実したキャンプとなりました。

 フリオ・ラマスヘッドコーチ率いる男子日本代表をトップに、一気通貫での強化を掲げています。所属チームではパワーフォワードやセンターを担う身長が高い選手を積極的にポジションアップし、コンバートさせてきました。1年以上ぶりとなりましたが、「選手自身が考えながら取り組んできてくれたことで、技術もメンタルもかなり成長しています」と佐古ヘッドコーチを驚かせます。

 琉球ゴールデンキングスの特別指定選手として、B.LEAGUEのコートに立ったハーパー ローレンス Jr選手(福岡第一高校)は、「ガードとしてたくさん学ぶことができました。リーダーシップやバスケットIQをしっかり発揮してがんばっていきたいです」と意気込みを語ります。キャンプ中には、「日本のバスケスタイルは個人ではなくチーム一丸となってプレーすることが大事です。セルフィッシュにならず、まわりを生かしてプレーすることを佐古さんから学びました」とさらなる成長を遂げ、世界を視野に入れています。

 早生まれの大学2年生になる世代には、「下の世代に伝えるためにもリーダーシップが執れるような選手を選んでいきたい」と佐古ヘッドコーチは期待を寄せます。その一人である元田大陽選手は、大学チャンピオンとなった東海大学で1年過ごしたことにより、「スクリーンの使い方やディフェンスの守り方などの理解度が上がったことで、これまでの合宿よりも良くなっていると感じています」。後輩たちに積極的に声をかけ、「疲れてきたときこそディフェンスをがんばったり、コミュニケーションを取ったりすることを多くしています」と早くもリーダーシップを発揮していました。

 ウインターカップ2020チャンピオンの仙台大学附属明成からは、5人の候補選手を選出。当時はケガにより、コートに立てなかった加藤陸選手と菅野ブルース選手も元気に練習に励んでいました。加藤選手は「みんなよりも出遅れている部分があるので、しっかり取り返せるように自分のできることを出していきたいです」と持ち味を出し、アピールを続けます。

 ウインターカップには出場できなかった菅原佳依選手(岩手県立一関工業高校)ですが、早くからB3リーグの岩手ビッグブルズの練習に参加。「必ず2人の外国籍選手がコートに出ている中で、ドライブするためのスペーシングの取り方やプロのディフェンスの強さや体の当たりを目の当たりにしました」という経験を積んできました。岩手県の高校生の中では一番大きい菅原選手ですが、プロの環境に身を投じたことで、これまで男子U16日本代表合宿で取り組んできたコンバートの意味が明確になったようです。「3番や2番までポジションを上げてもらい、合宿で学んだことをプロの中でも生かすことができたと思っています」と自信を持って新たな競争に臨んでいます。

 全ての選手たちがこの1年余りの間に大きく成長して戻ってきてくれました。だからこそ、佐古ヘッドコーチは「ワールドカップではいろんなことを挑戦させたいです」と言います。

「もちろん成功体験をさせたい思いは強いですが、その反面、失敗体験から学ぶこともこの世代には必要です。将来の日本代表になれる能力の持ち主も多くいます。コロナ禍で期間が空いてしまいましたが、彼らの成長が止まっていなかったところに将来が非常に楽しみです。U19ワールドカップでは楽しんで、挑戦してもらいたいです。トップの日本代表になると楽しんで挑戦することがもうできなくなります。世界を体験する機会をこの世代で感じられることはひとつの良い指針になります。我々は将来の日本代表へしっかりとつながるような強化をしていきます」

 大会までは約3ヶ月。今後は月1回招集し、選考と強化を行う合宿開催を希望していますが、コロナ禍による世の中の情勢次第ではこれが最初で最後のキャンプになってしまう可能性も否定できません。キャンプ中は1日3回の練習を行いながら、このチームが目指すシステムなどを落とし込むために時間を割いていました。アジア予選が相次いで中止になったことで、佐古ヘッドコーチにとってもこのU19ワールドカップが初の国際試合で指揮する機会となります。「自分自身も全力で取り組まなければなりません。今回起こっている変化や雰囲気などが、今後のコーチ人生にとってのベースになるとも思っています」という思いを胸に、全員で世界へ挑戦します。