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【鹿児島全中2025 第1日 大会レポート】ひたむきなプレーは未来につながる

2025年8月22日

 本日から鹿児島県薩摩川内市および鹿児島市で「第55回 全国中学校バスケットボール大会(以下、鹿児島全中)」が始まりました。予選リーグは当初の予定時刻よりも 1 時間遅れてのスタートとなりました、前日に発生した台風第12号の影響です。状況によっては大会中止もありえましたので、開催が決まったことで、選手たちはこれまで練習してきた成果を存分に披露することができました。

 女子の予選Jリーグを 2 位で通過したのは、開催地代表の鹿児島純心女子中学校です。鹿児島県予選を 2 位で終え、九州ブロック大会に臨みましたが 2 回戦敗退。全中への道は閉ざされたかのように見えました。しかし鹿児島県 1 位のれいめい中学校が、九州ブロック大会で 3 位に入ったため、鹿児島純心女子中学が開催地代表の座を得ることになりました。
 鹿児島純心女子中学を率いる前田孝一コーチはこう言います。
「今大会は自力で出場権を得たわけでなく、開催地のご褒美をいただいたと思っているので、大会役員として一生懸命頑張っている鹿児島県の先生方や、スタッフとしてサポートしてくれている生徒たちが試合を見たときに『開催地枠でもこんなに頑張っているんだ』と思えるような姿を見せようということがテーマでした。予選リーグではそれを選手たちが実現してくれたので、嬉しく思っています」

 今年度の鹿児島純心女子中学は 3 年生が 2 人しかいません。そのうちスターターとしてコートに立っているのは 1 人だけ。下級生が主体のチームですが、前田コーチは「チームを作っているのはやはり 2 人の 3 年生。この 2 人の頑張りと、ギスギスせず、周りを包み込むような人柄が下級生の多いチームをうまくまとめているように思います」と認めます。

献身的なプレーで決勝トーナメント進出に貢献した鹿児島純心女子中学 #15 前田藍子選手

 それはプレーにも現れていました。スターターとして出場している #15 前田藍子選手はリバウンドやルーズボールなど献身的なプレーで、周りの下級生をサポートしていましたし、#12 中村つむぎ選手もシックスマンとして、懸命に流れを変える役割を担っていました。
 決勝トーナメントに向けて、#15 前田選手は言います。
「明日はまたレベルアップしたチームが対戦相手になると思うので、試合に出ている選手も、そうでない選手もみんなで声を出し合って、純心らしく、ディフェンスとリバウンド、ルーズボールで勝てたらいいなと思っています」

 鹿児島純心女子中学のように決勝トーナメントに進んだチームもあれば、予選リーグで敗退し、全中を後にするチームもあります。そのひとつが女子予選Kリーグの新居浜市立川東中学校です。全中は 2 度目の出場となりますが、初出場の全中では「試合ができなかった」「その年はコロナ禍で、試合直前にチームの関係者がコロナにかかってしまったんです。そのため、選手たちは試合できる状態だったにもかかわらず、試合ができませんでした。そのことを知っていたり、当時悔しい思いをした子たちの妹が今の 3 年生なので、まずは試合ができたことに、本当に感謝しています」

 そんな川東中学が挑み、敗れた相手は、札幌市立東月寒中学校と八王子市立第一中学校。ともに全中の経験が豊富な強豪校です。佐々木コーチはその差をこう振り返ります。
「フィジカルコンタクトだったり、ファンダメンタルのの差はすごく痛感しました。また私たちのオフェンス 2 2試合を通しても、なかなかシュートまで持っていけなかったり、シュートが入らなかったところは、全国大会のプレッシャーもあったと思うんですけれど、それよりもディフェンスの強度が違うなとすごく痛感しました」
 選手も同じ思いだったようです。川東中学のキャプテン #4 佐薙里緒選手はこう言います。

予選リーグ敗退もキャプテンとしてチームを引っ張った川東中学 #4 佐薙里緒選手

「四国ブロック大会はチーム数が多くないので、たくさん勝たなくても全中まで勝ち上がることができました。でも北海道や、関東ブロック大会はチーム数が多いし、その分、試合数が多いので、そこを勝ち抜いてきたチームは強いなと思いました」

 それでも #4 佐薙選手は、予選リーグを通しての感想として、第一声でこんなことも言っています。
「東月寒中学も、八王子第一中学も、どちらのチームもすごく強かったけれど、高校でもバスケットを続けて、追いつきたいなと思いました」
 これが中学バスケットの醍醐味のひとつです。経験の差が試合の結果に反映されることもありますが、彼女たちのバスケットボールは終わりません。むしろ、まだ序盤です。そこで多くの経験がある強豪校と対戦したことが、彼女たちの新しい扉を開くスイッチにもなるのです。

 それはまた、選手たちがひたむきにプレーしたからこそ得られるものでもあります。
 2 位で予選Jリーグを通過した鹿児島純心女子中学の #15 前田選手と #12 中村選手も、予選Kリーグを 2 敗で終えた #4 佐薙選手を中心とした川東中学の選手たちも、どの選手もひたむきにボールを追いかけ、シュートを狙い続けました。その経験は彼女たちの未来につながります。
 予選リーグを勝ち抜いた男女16チームは、明日から決勝トーナメントになります。彼ら、彼女らは明日もひたむきにプレーし、いくつもの失敗や、新たな課題さえも成長の糧として、大会最終日を目指します。

▽決勝トーナメント組み合わせ等詳細は大会公式サイトをご参照ください
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