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「2021年度 JBA オンライン女性コーチカンファレンス」開催報告(2022年 2 月11日開催)

2022年3月3日

講師を務めていただいた小柳茂子氏(相模女子大学)

参加者の様子(女性コーチとのコミュニケーションを学ぶためなどの理由で男性の方の参加もありました)

 当協会 (JBA) では、去る2022年 2 月11日 (金・祝) に「2021年度 JBA オンライン女性コーチカンファレンス」を開催いたしました。
 女性コーチカンファレンスは2019年度から継続して実施しています。昨年度までは女性コーチを取り巻く現状の理解や、女性コーチが直面する課題の共有を目的に行いましたが、その中で女性コーチは家庭、チーム、職場、社会など様々な場面で多くの課題に直面していることが明らかになりました。
 そこで本年度は、女性コーチ自身が直面する課題を解決できる 1 つのスキルとして「アサーティブ・コミュニケーション」に着目し、その基本を学ぶことを目的としたカンファレンスを実施しました。
「アサーティブ・コミュニケーション」とは、相手も自分も尊重しながら自分の気持ちや考えをその場に合った方法で、率直かつ明確に相手に伝えることを目指したコミュニケーション方法です。今回は講師として女性カウンセリングを専門とし、男女共同参画に関する講演も多く行っている小柳茂子先生 (相模女子大学) をお招きし、講義やケーススタディを用いたグループワークを通じてその基本的な技法を学びました。

 
<第 1 部:女性の社会的な活躍とアサーティブ・トレーニング>
 第 1 部では「女性の社会的な活躍とアサーティブ・トレーニング」というタイトルで講義が行われ、アサーティブ・コミュニケーションの歴史や基本知識について説明がありました。人の言動は大きく分けて攻撃型、非主張型、アサーティブネスの 3 つに分類されますが、このアサーティブな考えや行動は思考、感情、行動といった日常生活における学習から身につくものであるため、普段から前向きな思考や穏やかな感情、そして一歩勇気を出して行動してみるといったプラスの循環を心がけることが重要であるとお話がありました。
 また、なぜアサーティブ・トレーニングが女性の社会的活躍に役立つのかという点について、①自分の意見や考えを主張することで性別に関係なく対等な関係性を築くことができること、②社会に残る「女性らしさ」のステレオタイプにとらわれず自分の個性を活かすことができること、③リーダーシップを発揮できるようになること、④社会において協働していくコミュニケーション能力を身につけること、といった理由が説明されました。

<第 2 部:グループワーク>
 第 2 部では女性コーチが日々直面するであろう場面を用いたケーススタディを通じて、アサーティブな表現を参加者のみなさんと一緒に考えました。NO (ノー) を伝える各場面について、どうしたらアサーティブな表現になるかをグループワークも交えながらそれぞれの参加者が考え、意見を交わしました。

<全体を通して>
 講義やグループワークの合間には、自分の直面する場面について参加者から講師に様々な質問が寄せられ、講師が親身になって答えるという場面も多く見られました。また研修会後にフリートークの時間を設けましたが、多くの参加者に残っていただき意見交換が活発になされていました。
 本カンファレンスを通じて、日々の生活で直面する難しい状況を改善するために、自分の意見を伝える大切さやその方法について理解できた、という参加者が多くいらっしゃいました。それぞれの参加者が、家庭や職場、チームでのコミュニケーション、コーチングの場面を想定しながら、今後「アサーティブ・コミュニケーション」を活用していく手応えも感じているようでした。
 また社会の中で、まだまだ女性らしさに関するステレオタイプや役割認識が存在する中で、女性コーチが活動しやすい環境を整えていくために、個人個人が果たす役割についても再認識させられるカンファレンスとなりました。さらに、今回は女性コーチに関する文脈で「アサーティブ・コミュニケーション」を扱いましたが、暴力・暴言に頼らない、プレーヤーの主体性を引き出すコーチングを考えるうえでも役に立つ内容であったと感じました。